隣に座る彼の肩に頭を預ければ、ゴツゴツした大きな手で優しく頭を撫でてくれた。


「どうした?」

「幸せを実感してるの」

「・・・そう、だな」


ほんの一瞬、家光は悲しそうな瞳を見せたけど、優しく笑ってくれた。

幸せなのは間違いない事。

けれど、その幸せを手にするまでには大きな壁がいくつも立ちはだかっていた。

幸せを実感出来る今でも、まだ多くの問題が残されている。


「大丈夫だ、なんとかなるさ」

「うん、家光が側にいてくれるなら・・・どんな事にだって立ち向かえる。頑張れるよ」


そう言って家光に微笑んだら、私の唇に触れるいくつもの優しい感触。


「・・・・んっ」

「名前・・・・っ」


それは次第に激しいモノへと変わっていった。

私と同じで、家光もまだ不安なのかもしれない。

私とこういう関係になってしまった事で、私以上に家光は多くのモノを失ってしまった。

それでも家光は私と共に歩んでいく道を選んでくれた。


素直に嬉しいと思う気持ちと心の片隅にある罪悪感。


相反する2つの気持ち。


「余計な事は考えるな・・・」

「・・・家・・光・・・・・」


私を見下ろす家光の首に、私は答える様に腕を回して、瞳を閉じた。


「「愛してる・・・」」


その気持ちさえあれば、十分だから。





重なる影は
ひとつになった証



(…子供欲しくないか?)(えっ?勿論欲しいよ)(じゃあ、今夜から頑張ろうな)(家光?)(途中で気失ったりするなよ?)(そんなに急いで作らなくても…)(さぁて、頑張らねぇとな)(ちょ…、あっ……)

→end&後書き
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