真っ赤な顔して、口をパクパクさせる名前。 恥ずかしさのあまり言葉がでーへん。 まぁ、そんな感じなんやろうな。 付き合うまでは大人びた表情しか見せへんかったせいか、こういう年相応の表情を見せてくれる事が、めちゃくちゃ嬉しい。 ―俺は名前にとって特別な存在。 そう実感出来るからや。 名前と出会うまで、自分がこんなにもノロケる男やと思わんかった。 自分でもビックリや。 どちらかと言うたら、俺にとって恋愛は二の次で、淡白な方やと思っとった。 それやのに、名前と出会ってからは自分だけやなくて、周りの奴等までもビックリするぐらいの“恋愛バカ”、いや、“名前バカ”になってもうた。 どんなに情けなくて、格好悪くても、素の自分を出さな本気の相手―名前を振り向かす事なんて出来へん。 テニス以外でこんなに夢中になれる人に、これから先もう出会えへんかもしれへん。 「・・・だったら、私も大阪に行った方がいいのかな?」 「へっ?」 さっきまで真っ赤な顔して黙り込んどった名前が、急に立ち止まって、そう口にした。 「・・・っ、いや、だから・・・ね」 「どうしたんや、名前?」 「私の方が不安なんだから・・・」 小さな小さな声やったけど、名前のその言葉はちゃんと俺の耳に届いた。 自惚れとかじゃなくて、名前も俺の周りの女の子達に妬いてくれとるって事やんな? (うわぁ、うわぁ・・・っ、めっちゃ嬉しい・・・) 名前の気持ちを疑っとるワケやないけど、俺の方がより名前の事を好きな気がしとった。 せやから、今日だって立海の奴等の前でノロケ話を大放出したったんや。 (名前がヤキモチ・・・) それだけで、俺の不安なんて一気に宇宙の彼方に吹き飛んでった。 「って、青学も氷帝もそっちちゃうやん」 「そんな事より、2人で居る事の方が大切でしょ」 真っ赤な顔した名前が、今度は俺の手を引いて先を歩き始めた。 ―2人で居る事の方が大切 「・・・確かにそうやな」 名前が言う“そんな事”は俺にしたら大問題やけど、それ以上に名前と2人で過ごす時間が大切なのは違いない。 それに、名前に2人きりで居りたいって言われて、断る理由なんてもんはどこにもない。 結局、俺は名前にだけはめちゃめちゃ弱いねん。 後、俺から1つだけちょっとしたお願い。 今は振り向かんといてな。 名前以上に真っ赤な顔してんの、見られたくないから・・・な。 ただいま、恋愛中毒中 ((よし、これで羞恥プレイ回避したっ!))(青学と氷帝には、近いうちに一人で挨拶に行くか…)(えっ?今何か言った?)(何も言うてへんよ、ほな2人で何処行こか?)(?そうだなぁ…)((一緒に行って、わざわざアイツ等に名前を会わせるんも釈やしなぁ)) →end&後書き [*前] | [次#] |