ギロッと名前を睨みつけると、名前はビクッと体を振るわせた。 何故こうなったのか、この女は全く分かっていない。 ただでさえイラついているというのに、その事が更に俺をイラつかせる。 俺をイラつかせた原因をいくつか上げてみようと思う。 まずは今朝の事。この俺がわざわざ名前を家まで迎えに行ってやったというのに、既に名前は家には居らず、名前の母親曰く、 ―『オレンジ色の髪した男の子がお迎えに来て、一緒に学校に行ってしまったのよ』 それを聞いて、俺が青筋を立てたのは言うまでもない。 名前に文句の1つでも言ってやろうと、それから急いで学校に向かった。 教室に着いたのはいいが、先に来ているハズの名前の姿はなく、猿を捕まえて名前の居場所を吐かせてみれば、 ―『それがさぁ、俺様が目を離した隙に元親に持っていかれちゃったみたいなんだよねぇ』 それを聞いた瞬間、怒りで青筋が立っただけじゃなく、口元が引き攣っていくのが自分でも分かる。 次に元親を捕まえてみれば、 ―『トイレに行ったまま戻って来てねぇんだよっ!』 逃げられてんじゃねぇよっ!! 目撃情報から名前が誰と一緒にいるのかは直ぐに分かったが・・・、 ―『夢吉と3人で一緒に飯食った後に別れたよ。ところでさ、名前ちゃんて料理上手いよな』 名前の手作り弁当を食ってんじゃねぇっ!! ―『名字?確かに質問があると職員室に来ましたが、まだ教室に戻ってないのですか?』 何故俺じゃなくて、小十郎に聞くんだっ! そんなこんなでようやく俺が名前を捕まえる事が出来たのは、その日の夕方だった。 家に帰ろうとしてた名前を、問答無用で車に押し込んで俺の家に連れて来た。 俺は悪くねぇっ! 寧ろこうして名前を捕まえられた事を誉めてもらいてぇぐらいだっ!! →next [*前] | [次#] |