必死に冷静さを装いながら、隅にいる名前をソファーへと移動させようと抱き上げた時、またしても信じられない物を目にする事となった。 スカートの裾からチラチラ見える“尻尾”の様な物。 気を失いそうになりながらも、何とか名前をソファーに座らせた。 「・・・・・・・・」 「・・・・・・グスッ、ズズッ」 何度見ても、名前の頭には耳があるし尻尾もある。 確認の為に耳や尻尾を引っ張ってみたが、「ひぎゃあっ!」と名前が叫んだだけで、取れる事はなかった。 また引っ張られるのではないかと、名前はさっき以上に身を縮こませた。 耳らしき物を両手で押さえながら、フルフルと震えながら政宗の動向を伺っている。 よっぽど痛かったのか、うるんだ涙目のままで・・・。 (・・・really cute!) 耳に尻尾付きという、まるでコスプレさせているかの様な名前。 そんな名前を見ていたら、次第に胸を擽られるような感覚に襲われてきた。 (・・・これが俗にいう“萌え”なのかっ!?) 本音を言えば、今すぐにでも襲いたい。 あんな事やそんな事、はたまたこんな事までヤりたい。 しかし、今の名前の心情を考えてやましい気持ちをぐっと我慢する。 「・・・名前」 脅え困惑している名前に、政宗は出来るだけ優しく声を掛ける。 「Don't worry・・・、俺が何とかしてやるよ」 「・・・・っ」 名前をゆっくりと抱き締めて、なだめる様に背中を撫でてやる。 「もし一生そのままだとしても・・・」 「・・・ううっ・・・」 「俺が一生面倒見てやるよ」 あなたの温もり 独り占め そう言った途端、名前は政宗にしがみつきながら大声で泣き始めた。 名前が小さな手で必死に政宗を掴んでいる。 自分が掴む事はあっても、名前から自分に触れてきた事は一度もなかった。 不謹慎だと分かってはいるが、もう暫くこの幸せを噛み締めていたい。 政宗は名前を抱き締めながら、そんな事を願った。 →end&後書き [*前] | [次#] |