どれくらいそうしていたか分からないが、気が付けば隣から微かに寝息が聞こえてきた。 「名字?」 音をたてない様そっと名字の顔を覗き込めば、案の定、気持ちよさそうに眠っている名字の姿があった。 どうしたものかと悩んだが、真田は自分のブレザーを脱いで名字に掛けてやる事にした。 そうして、自分も芝生の上で横になる。 芝生や木々の香りが風に運ばれて、真田の鼻をくすぐっていく。 真田までも暖かな日差しに誘われるように、目を閉じたのだった。 ◇◆◇ 移動教室での授業だった為、自分の教室へと戻る途中で柳はある騒ぎと出くわした。 中庭を囲むようにある人垣。 しかし、不自然だったのが皆が小声で話をしているという事だった。 そしてその人垣の中には、丸井を羽交いじめしているジャッカルの姿もあった。 その事から、おおよその検討はついたのだが、確認の為に人垣の中へと足を進め始める。 「・・・やはり、そういう事か」 木陰て寄り添って眠る弦一郎と名字。 こんな時間にここで眠っているという事は、あの弦一郎が授業をサボったという事。 しかし、それ以上に穏やかな顔をして眠っている弦一郎に驚いた。 「クソッ、真田の野郎っ!!」 「ブン太、落ち着けって!」 「落ち着いていられるかよぃ!放せ、ジャッカルッ!!」 そんな声が背後から聞こえてくる中、俺は携帯を取り出し眠る2人の姿を1枚撮る事にしたのだった。 春色メモリーズ その後、立海ではある木の下で一緒に昼寝をすると永遠に結ばれるという伝説が語り継がれるのだった。 →end&後書き [*前] | [次#] |