妙な緊張感が漂っている部屋の中。

俺の高鳴る鼓動が、煩いくらいに聞こえてくる。

晩飯も食ったし、風呂にも入った。

んで今は、以前に名前が見たいって言っとった新作のDVDを薄暗い部屋ん中で鑑賞中。

俺も見たいと思っとった映画やけど、これっぽっちも頭に入ってけぇへん。

時々隣に座っとる名前の肩が俺に触れる度に、俺の心臓はびっくりするくらい反応する。

その上、俺の鼻をくすぐる甘い香り。

おんなじシャンプーを使ったハズやのに、どうしてこうも違うんか…。


(・・・・っ、よしっ!)


映画も既にエンドロールが流れとる。

恐る恐る腕を回して、名前の体を抱きしめた。

ビクッと体を震わせたものの、俺の腕は振り払われる事もなく名前はそっと俺の背中へと腕を回してくれた。

体ん中の全てで名前を感じる。

ただ抱きしめとるだけやのに、俺の心の中から次々と“想い”が溢れ出してきて目頭が熱くなってきた。


(・・・あかん、泣いてまいそうや)


「・・・好きや」

「うん」

「俺、ホンマに名前の事が好きやから・・・」

「・・・っ、うん」


名前の頬にそっと触れてみれば、名前も泣きそうな顔をしとった。


名前の瞳に映る俺がユラユラと揺れる。


言葉に出来ない想いが名前に少しでも伝わるようにと、俺は名前の唇に自分の唇を重ね合わせた。




















名前を優しく押し倒せば、ベッドのスプリングがギシッと音をたてた。

俺の全てを名前にあげるから、名前の全てを俺にくれへんか・・・。




→end&後書き
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