「ママ〜!」

「もう、一人で勝手に行っちゃダメでしょ。心配したんだから・・・」


駆け寄ってきた子供を抱きとめる母親。

見間違えるはずもない。

ずっと俺達が探し求めていた名前だった。


「・・・・・・名前?」


カラカラに渇いた喉から、どうにか声を絞り出して名前の名前を呼んだ。


「っ!!…な、んで」


子供に夢中になっていた名前は、どうやら俺達の存在に気付いてなかったようだった。

一瞬だけ目を見開いた後、子供を抱き上げて走り出した。

俺達に背を向けて・・・。


――2、3歳の銀髪の子供。


浮かび上がる1つの可能性。

俺は次第に小さくなっていく背中に向かって、思いっきり駆け出した。



―なぁ、そうなんだろ?

―気付いてやれなくて、悪かった。

―もう後悔はしたくねぇえんだ。

―こうなるまで分かんなかった俺を許してほしい。



伝えたい言葉が沢山ある。

でも、その前に・・・、



世界



名前を抱きしめさせてくれ。


「・・・銀ちゃん」

「会いた、かった・・・」




→end&後書き
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