脅えている女の子を挟んで睨み合う2人の男。 本人達は穏やかに笑っているつもりらしいが、目は据わっているし、口元は引きつっている。 結果、より彼女は脅えてしまっているのだが、本人達は全く気付いていない。 (あぁ、何でこんな事になったんでしょうか・・・。) “帰りたい、帰りたい”と呟く彼女の頭は、授業の事で一杯だった。 そう、今は授業中なのだ。 しかし、いつもの様に伊達政宗に引きづられこの場所へと連れてこられたのだが、そこには満面の笑みで猿飛佐助が待っていた。 嫌な予感が確信へと変わり、一応逃げ出そうとはしてみたものの、いつもと同じ様に無駄な努力で終わってしまった。 (これはきっと悪い夢なんだ・・・) 彼女に残された道は、現実逃避しかなかった。 ◇◆◇ 時は1時間程前に遡る。 何故か今日はいつものメンバーがなかなかこの部屋には来なかった。 そう、政宗と佐助の2人きりなのだ。 「・・・・・・・・」 「・・・・・・・・」 政宗はソファーに座ってボンヤリとテレビを見ていおり、一方佐助は携帯をいじっていた。 お互いに無言のままで・・・。 2人の仲が悪いという訳では決してない。 だが、彼女―名字名前と出会ってから、微妙にお互いに対する意識が変わってしまったからだ。 政宗からすれば、後からしゃしゃり出てきたくせに、やたらと名前の周りをうろついたり、時には名前の警戒心がまだ薄い幸村や手作りのお菓子をダシにして近づいたり・・・、そんな佐助の行動が勘に障る。 また佐助は佐助で、政宗の方が先に出会ったからと名前の所有権が恰も自分にあるかのように、いつでもどこでも名前を連れている事が、面白くなかったりする。 「「俺/俺様以上に、名前に怖がられているくせに・・・」」 ボソッと呟いた2人の声が重なる。 お互いに思っている事は一緒だったらしい。 「Ha!勘違いしてんじゃねぇーよっ!!」 「それは俺様のセリフ。どこをどう見たら、そんな勘違いが出来るのかねぇ〜」 そこから、2人の争いはヒートアップしていき、最終的には名前本人に確かめようという事になった。 →next [*前] | [次#] |