名前が自分の気持ちを言葉にしない理由。

それは、

――親が決めた婚約者がいるから。

転校当初から、名前はそれを隠そうとはせんかった。

周りの人間にそう言う事で、周りだけでなく自分自身を牽制していたのかもしれない。

私を好きになってはいけない、私も誰かを好きになってはいけない・・・と。


けど、そんなのどう考えてもおかしいじゃろ?

なんで親の決めた相手しか好きになったらいかんの?

名前の気持ちはどこに行ってしまうん?

俺の何が、その婚約者に劣ってるっちゅーんじゃ。

俺の人生、まだまだこれからじゃ。

家柄ばかりはどうしようもないが、学歴が必要なら今から死ぬ気で猛勉強すればいい。

礼儀作法やら経営やら、必要な事だって、今から学んでも十分間に合うじゃろ。



それに、一番大事な名前の気持ちを無視して、名前は幸せになれるんか?



「お願いじゃから・・・」


俺の人生を賭ける覚悟は出来とる。


「ちゃんと言うて・・・」


後は名前の気持ち次第じゃから、


「・・・き、

 私も・・・仁王君が、




 好き」


その言葉を聞いた途端、俺は自分の唇を名前の唇に重ね合わせた。

決められたレールかもしれん、じゃけど・・・これからは俺も一緒じゃから・・・。








(名前のご両親に挨拶に行かんとな)(・・・本当にいいの?)(名前のご両親が認めんなら、これから認められる程の男になってみせるぜよ)(うんっ、2人で一緒に頑張ろうね)(ピヨッ)

→end&後書き


- 10 -

[*前] | [次#]

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -