名前が自分の気持ちを言葉にしない理由。 それは、 ――親が決めた婚約者がいるから。 転校当初から、名前はそれを隠そうとはせんかった。 周りの人間にそう言う事で、周りだけでなく自分自身を牽制していたのかもしれない。 私を好きになってはいけない、私も誰かを好きになってはいけない・・・と。 けど、そんなのどう考えてもおかしいじゃろ? なんで親の決めた相手しか好きになったらいかんの? 名前の気持ちはどこに行ってしまうん? 俺の何が、その婚約者に劣ってるっちゅーんじゃ。 俺の人生、まだまだこれからじゃ。 家柄ばかりはどうしようもないが、学歴が必要なら今から死ぬ気で猛勉強すればいい。 礼儀作法やら経営やら、必要な事だって、今から学んでも十分間に合うじゃろ。 それに、一番大事な名前の気持ちを無視して、名前は幸せになれるんか? 「お願いじゃから・・・」 俺の人生を賭ける覚悟は出来とる。 「ちゃんと言うて・・・」 後は名前の気持ち次第じゃから、 「・・・き、 私も・・・仁王君が、 好き」 その言葉を聞いた途端、俺は自分の唇を名前の唇に重ね合わせた。 決められたレールかもしれん、じゃけど・・・これからは俺も一緒じゃから・・・。 言の葉 (名前のご両親に挨拶に行かんとな)(・・・本当にいいの?)(名前のご両親が認めんなら、これから認められる程の男になってみせるぜよ)(うんっ、2人で一緒に頑張ろうね)(ピヨッ) →end&後書き [*前] | [次#] |