「それから暫くの間、雅治と一緒に過ごす事がなかったんだよねぇ」


あの頃の事を思い出して言った私の言葉に、雅治も思い出したのか眉間に皺を寄せた。


「―…あん時は名前不足で死にそうじゃった」


隣にいた私にギュッ抱きつきながら、雅治はポツリと小さな声で呟く。

仕方ないなぁ、なんて思いながら慰めるように雅治の背中を撫でてあげた。


 ◇◆◇


雅治があの子と付き合い始めた次の日から、私は徹底的に雅治を避けた。

クラスの女子が煩いのもあったけど、一番の理由は雅治とどのくらい距離を置けばいいのか分からなかったから。

雅治の視線は常に感じていたし、隣に雅治が居ないのは思っていた以上に寂しかったけれど気付かない振りをした。

やっぱりというか、日に日に雅治の機嫌は悪くなっていき、クラスメートの誰しもが雅治を遠巻きに見るしか出来なかった。

けれど、そんな雅治の空気を読めない子も数人いて、それは私に雅治に近づくなと言ってきた女子達と雅治の彼女だった。彼女の方は無理矢理付き合わせられてる感じだったけど…。



そんなある日、ついに事件が起こる。


「―…いい加減、ウザイんじゃっ!!」


雅治がキレてしまった。






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