今日、いつにも増して私はイライラしていた。

理由?

それは、女なら月に1度はやってくる例の日だからだ。

しかも、今月はいつも以上に重い。

私の態度からか、また、雅治が何か言ったのか分からないけど、今日はやたらと皆が聞きわけが良かった。

ドリンクを運ぼうとしたら、誰かしら手伝ってくれるし、タオルだってわざわざ自分から取りにきてくれる。

いやぁ、皆いい子だ。

本当にそう思ってるよ。

ただ今は、それを皆に伝えるだけの精神的な余裕がないだけで・・・。


「何か手伝える事、あるか?」

「・・・特にないけど」

「なら、してほしい事は?」

「・・・・・・・・」


もう部活も終わり、部員は皆後片付け中。

部員数も多いおかげで、レギュラー陣はこれといってする事はない。

のだけど、雅治は納得がいかないらしく、私の周りをウロウロと歩き回る。

そんな雅治に誘き寄せられるように集まってくるレギュラー陣。


「名前先輩、俺も何か手伝いたいッス!」

「名前の手伝いは俺だけでいいんじゃっ!」
「そんなのズルイッスよ!!」

「おい、名字。アレはいつもの所に片付けておいた・・・」

「なんでジャッカルに頼んで、俺には頼まんのじゃ!」


ギャーギャーと周りに噛みつく雅治。

雅治が騒ぐたびに募る私のイライラ。


「名前を心配すんのも、手伝うんも、俺だけでいいんじゃ!」

「なんでだよぃ!俺達でも別にいいだろぃ」

「そうッスよ。仁王先輩は心が狭いッス」

「ハァ〜、いい加減に・・・」


ジャッカルがこの騒ぎを止めるよりも、私がキレる方が早かった。


「「「・・・・・・・・・・」」」


この騒ぎの元凶でもある雅治の口を、私のそれで塞いでやった。

途端に静まり返るコート内。

誰かが落としたボールだけがコロコロと転がっていった。




KISS kiss xxx:04




ようやく静かになった事に満足した私は、早々にコートを後にした。(お腹痛いし、早く家に帰りたいんで・・・)

真っ赤な顔で口をパクパクさせる雅治が、とっても可愛かったなぁ・・・、なんて事を思いながら。



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