今日は雅治の誕生日で、テニス部のメンバーがいつものファミレスで祝ってくれた。

――別に祝わんでもえぇ。

そう言っていた雅治だったけど、ファミレスでメンバーを見る雅治の表情はやっぱり嬉しそうで、予定よりも解散する時間が遅くなってしまった。

店を出た時には、もう辺りは真っ暗だ。

そんな中、私と雅治は手を繋ぎなからゆっくりと歩いていた。


「それにしても、今回も凄い量だね」

「・・・いつの間にか置いてあったんじゃ」


もう片方の手に持っている紙袋には溢れんばかりのプレゼントが入っていた。

今までの経験から予想して私が紙袋を用意したのだけれど、それでも全部は入りきれなくて、残りを部室に置いてきたくらいだ。また明日も紙袋を持参しなくてはいけないだろう。

けれど、これでも去年よりは少ない。

それは私という長年付き合っている“彼女”がいる事もあっただろうけど、雅治は私を気遣ってか、直接渡してきた女の子達のプレゼントを受け取る事はしなかったからだ。


「プレゼントを受け取ったからって、別に怒ったりしないのに・・・」

「俺がそうしたかったから、そうしただけじゃ」


そう言って雅治は繋いだ手をギュッと握り締めた。

受け取ってもらえなかったプレゼントの行き先を思うと切なくなる。

けれど私を想ってそうしてくれた事は嬉しいと思ってしまう。

そして嬉しいと思いながらもそれを口に出して伝える事が出来ない。

本当に私ってば我が儘で、可愛くない。


「家で2人きりで祝ってくれるんじゃろ?」

「そうしないと、誰かさんが拗ねちゃうでしょ?」


私の顔を覗き込んできた雅治のニヤリと弧をえがく唇に、そう返事をして私の唇を重ねた。

こんな道端で私がこうするとは思ってなかったらしく、ポカンと間抜けな顔をしている雅治。


「Happy Birthday 雅治」


態とらしく笑ってそう言えば、雅治の顔が真っ赤に染まった。




Happy Birthday
My darling!

〜KISS kiss xxx:番外編〜




(なぁっ、い、今…)(さぁ、早く帰ろうね)(も、もう1回っ!)(ん〜?何も聞こえなーい)(ちゃんと聞こえとるじゃろ!なぁ、もう1回、まー君の可愛らしい唇に…)

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