透き通る様な蒼い空。天は輝きこの地を照らしている。

ふと遠くから聞こえてくる勇ましい声に、ふと洗濯物を干す手が止まってしまう。


(幸村様・・・)


心の中、そっと名前を呼ぶだけで私の心臓はギュッと締め付けられる。

どんなに些細な事でも、幸村様に関する事なら反応してしまう私は、既に末期だと思う。

だからこそ、私は気付いてしまった。

幸村様が時折、今まで見たことがないような表情をされている事に・・・。

あぁ、幸村様も誰か――私ではなく、私の知らない誰かを慕っていらっしゃるんですね?

以前はお舘様との殴り合いや鍛錬で怪我をされた時は、私が手当させて頂けたのに、それも別の誰かの役目になってしまったようだし、よく甘味を食べに行こうと誘って下さったのに、それもなくなり、お土産にと買ってきて下さったお団子を縁側で一緒に食べる事もなくなってしまった。

今ではまるで避けられていると思ってしまうくらい、幸村様と顔を合わせる事もなくなってしまった。

私が幸村様と…なんて恐れ多い願いだとは分かっていても、愚かな私はこの想いを捨てることが出来ない。



想いは募る一方で



「最近、旦那ってばある団子屋に通い詰めてるんだよねぇ。確かにあの店の娘さんって可愛いし、旦那の気持ちが分からないでもないかな」


いつから私の後ろに居たのか分からないが、わざと私に聞こえるように言う猿飛様。

そして、いつもの様に後ろから私を抱きしめ、闇の中に私を突き落とす。

このまま貴方に身を預けたのなら、私はこの想いを捨てることが出来るのでしょうか?



title:瞑目

 090614


ヒロインを意識し始めて避けてしまう幸村とそれを誤解するヒロイン。そして、横恋慕する確信犯な佐助。





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