「・・・んっ、ふっ・・・」

「ちゃんと舌動かせよぃ」


携帯をいじりながら、俺のアレをくわえ込む女を見下ろす。

この女も、もう用済みだなぁ・・・。

なんて考えながら。

何故なら、今日の放課後、名字名前に告白されたからだ。


『丸井君の事が好きなんです・・・。私と付き合ってくれませんか?』


真っ赤な顔をして、震える声でそう告白してきた名字の姿を思い出して、ニヤリとしてしまう。

名字は学校でも、可愛くて清純だと評判な女。

俺が今まで手を出してこなかったタイプの女だ。

そんな彼女をどっちが先に落とすか、仁王と賭けをさした。


――賭けは俺の勝ちだぜぃ。


仁王にそうメールを送ってから、携帯を閉じた。

んじゃ、この女は最後に1回ヤってから棄てよう。

あっ、そうそう。

賭けの報酬は、名字といくラブホ代って事でシクヨロ。



ブン太からのメールを読んで、思わず声を出して笑いそうになった。


「ブンちゃんも、バカじゃのぉ」


まんまと俺の罠にはまってくれた。思い通り過ぎて、逆にビックリしてしまう。


「雅治、どうかしたの?」

「ククッ、ホレこのメール読んでみんしゃい」


俺は隣で寝転がる女にメールを見せた。


「フフッ、本当に面白いメールだね」


そう言って、俺に裸で擦り寄る女は、


――名字名前


残念ながら、とっくに名前は身も心も俺のモンじゃというのに・・・。

そんな事も知らずに、勝った気でいるブン太。


「シャワー借りるね」


そう言って、俺の唇にキスを1つ落としてから、名前は俺の部屋から出て行った。

名前は俺以上にしたたかで、侮れない女だ。

こんなに俺がハマるとは思っていなかった。


「この事を知った時、どんな顔するか見物じゃ・・・」


なんでこんな事をするかって?

面白いからに決まっとるじゃろ。



こっそりと持ってきた携帯を開き、メールを送る。

自分の思い通りに事が運んで浮かれている仁王は、その事に気付かなかった。


「バカなのは、アンタも一緒よ・・・仁王君」


私の呟きはシャワーの音に掻き消されて、仁王君の耳には入らない。

必要最低限の内容を送ってから、直ぐにそのメールを削除する。

仁王君は相手の携帯をチェックするような男ではないけれど、念には念を・・・って事で用心するに越した事はない。


「・・・残念ながら、私が愛してるのは“彼”だけなんだよねぇ」


その声もシャワーの音に掻き消されてしまった。











「計画は予定通り進んでいる様だ」

「フフッ、流石名前だね」


名前から送られてきたの“問題無し”とのメールに、俺と精市は笑みを溢す。


「でも、悪いね。名前は蓮二の彼女なのに・・・」

「今更何を・・・。この為の彼女だろう」


容姿や性格等を調べた結果、この計画には名前が一番適していた。

だからこそ、データを駆使して名字名前という人物を手に入れたのだ。


「それで、これから名前をどうするつもりなんだ?」

「そうだね・・・、せっかくだから赤也も何とかしてもらおうか」

「そう言うと思って、既に計画は出来上がっている。目を通してくれ」


精市は笑顔のまま、その計画が書かれているノートに目を通していく。

女関係で色々と問題があるメンバーを懲らしめるのには、女を使うのが一番ではないかと、俺と精市の考えが一致した事からこの計画は始まった。

名前は心底俺に溺れている。

まぁ、そうなる様に仕向けたのは他でもないこの俺だ。

その甲斐あって、名前は俺の頼みなら何でも聞くようになった。

名前は俺に捨てられるくらいなら、好きでもない男――つまり仁王に抱かれる事さえ異問わない。


「・・・名前って、ホントに可愛いよね」

「フッ・・・そうだな」


含みを籠めた精市の言葉に、俺も含みを籠めて返事を返した。


 title:虫喰い

 090824


皆、ホントいい性格してるよねぇ・・・って話。
意味不明だけど、なんか書いてて楽しかった。スラスラ書けました。




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