灼熱を身籠る | ナノ


太陽系のなかでの地球の位置、そしてそのなかでの日本という名の陸地の緯度経度、そこから生まれる春夏秋冬。その4つの中でどの季節を抹消するか、それは言わずもがな夏である。この独特の蒸し暑さを、私は耐えられない、いや大半の人間が耐えられないはずだ。なんとなくつけたテレビの向こうで、私のタイプではないが、一般的にかわいいとされているお天気お姉さんが、今夜は今年1番の熱帯夜だと告げている。あぁ今日も眠れない。


「何この温度信じらんないね」
「私はあんたが現在進行中の行為が信じられない、いますぐ私から離れて、いやむしろこのベッドから出て」
「もー素直じゃないんだから」


ただでさえ気温も暑いのにさらに暑い体温が触れ合うなんて信じられない。顔やら腕やらを必死に掴み全力で押してみるが動かない。足で適当にあしらってもびくともしない。ほんとなにこいつ。


「いやがらせって面倒なんだけどな、かずなりさん」
「いやじゃないでしょ?」
「とってもいやです」
「遠慮なんかいらないよ」
「これは通訳が必要ね、雇わなくちゃ」
「おーあいむじゃぱにーず」


おわかりです?なんて、暗くてよく見えないけど、絶対あのとぼけた顔をしてるに違いない。軽くため息をつき、気を抜いたその瞬間、勢いよく素肌とTシャツの間に手を突っ込まれ腹を弄られた。やばい、と思った瞬間はもう遅い。目の前には鍛え抜かれた美しい肢体をした和成が、にっこり、いやニヤリと笑っていた。


「思いっきり汗かいて、それからシャワー浴びたらきっと寝られるよ」
「その根拠は?」
「まぁイけば疲れて眠くなるよね」
「何それ根拠になってない」


まぁまぁ、なんて適当な返事をし、私の露わになった汗ばむ素肌を厭らしく撫ぜる。背筋がぞくぞくとする感覚は、冷たい氷を背中に当てた時の感覚に似ていて、気持ちいいんだかなんだかわからない。


「どうせ寝れないなら、楽しいことしようよ」


そういって触れた唇が、今夜の気温や上昇する体温より、何より熱かった。






title:あもれ


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