かわいいけもの | ナノ


男は本当に変わってしまう。幼い頃はあんなに可愛かった虎丸は、今では高級ブランドのスーツを着こなしてしまう男前へと成長していた。せめて中身だけは昔のままでいて欲しいと願ったが、どうやら彼はそうは思っていないようだ。


「子供扱いはやめてください」


そういって虎丸は私の唇へと噛み付いた。貪る様なキスに耐えられず私は彼の厚い胸板を叩いた。すると小さなリップ音を残して虎丸の柔らかい唇は離れていった。呼吸が整わない、肩で息をする状態にも関わらず、彼は行為を止めなかった。耳朶をやんわりと噛み、そのまま首筋へと舌を這わす。右手は私の手の自由を奪い、左手は太腿を撫ぜていた。彼は会う度に過剰に身体を求める。今日だってもう三度目だ。若さ故か否か、その所以を何となく理解していた私は敢えて聞こうとはしなかった。


「っはぁ、とら、まる」
「、なんですか」
「も、だめ…っあ!」


膣内に挿入された虎丸の指が増え、下半身の圧迫感に犯された。しつこく響く水音に嫌気がさすが、身体はしっかりその快感を受け入れ腰が震える。それをいい事に虎丸はまた、唇を奪った。下唇を何度も何度も啄み、触れるか触れないかの距離で舌で嬲られると、嫌でも変な気分になる。昔の虎丸は純粋で、初心で、清らかだったのに、変わってしまったのはきっと、


「貴方の所為ですよ」


膣内の質量が一気に増し、思わず虎丸の大きな背中に爪を立てた。ゆっくりと始まる律動に私の下半身はあろう事か期待さえしていた。ふしだらな自分に腹が立ったが今はそんな事を考える余裕など私は持ち合わせていない。頭も、身体も、虎丸でいっぱいだ。


「こうでもしないと、貴方は、っ、」
「はぁっ、は、あ、あっあ」
「俺で、っいっぱいに、なら、ないで、しょ、」


涙で滲む視界は切なそうに眉を顰めた虎丸で埋め尽くされた。罪悪感は何処かへ消え去り、今はただ目の前の男に縋り付く。背徳者へと成り下がった私は一向に喘ぎ、藻掻いた。意識を手放す瞬間、とらまる、と音にならない声で呟くと、彼は一粒の涙を零した、気がした。


「何時になったら、貴方は俺のものになるんですか」









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