絶頂パローレ | ナノ

※女の子同士で変態







私はアスカちゃんが好きだ。アスカちゃんのためならなんだってするしなんだってされてもいい。陶器みたいにすべすべでつやつやのアスカちゃんのほっぺに噛み付きたくてうずうずしている私を横目にアスカちゃんは今日も屋上でシンジが作ったお弁当を食べている。口を開けるたびに覗く熟れた林檎みたいに真っ赤なアスカちゃんの舌が可愛くて思わず涎が出た。じゅるりと手の甲で涎を拭う私をアスカちゃんは汚らしい物を見る冷たい目で私を睨みお決まりの台詞を言うのだ。


「あんた、バカぁ?」


アスカちゃんの凛とした声が私の耳から入り脳を犯すのにそう時間は掛からなかった。その台詞に何度昇天させられたことだろう。今だって腰が砕けて力が入らない。


「アスカちゃんに馬鹿って言われるのこれで132回目だわ嬉しい」
「数えてんの?気持ち悪っ」
「気持ち悪いはこれで156回目よ」
「ほんっと救い様の無い馬鹿ね」


そういってアスカちゃんは溜息をついた。その溜息さえ勿体無くて近づいてアスカちゃん周辺の空気を全部吸ってしまおうとしたらアスカちゃんはさっき以上に眉に皺を寄せた。私はアスカちゃんにとって汚物以下だろうが隣にいられるだけで幸せなのだ。私の存在価値などいらない、アスカちゃんさえ居ればいいのだ。


「アスカちゃん大好き」
「私は嫌い、大嫌い」
「アスカちゃんのためならなんだってできるわ」
「へぇ、じゃあ此処から飛び降りなさいよ」


アスカちゃんが指差したのは囲われたフェンスの向こう側だった。ここから地面までは約10メートル程ある。もしも此処から飛び降りれば私はぺしゃんこで本当に汚物になってしまうだろう。しかし他でも無い大好きなアスカちゃんのお願いなのだから叶えない訳にはいかないのだ。


「わかったわアスカちゃん私頑張る」
「え、」
「飛び降りた後の私は今とは形は変わってしまっているかもしれないけどそれでも仲良くしてくれるかしら」
「ちょっと、」
「息もしていない屍になってもアスカちゃんのことずっとずっと大好きよ」
「待ちなさいよ!」


フェンスに脚を掛け反対側へ跨ごうとした時アスカちゃんから待てと言いうお願いをされた私はさっきよりも低い位置にいるアスカちゃんを見降ろした。アスカちゃんは俯いていてその表情を確認することはできなかった。


「どうしたのアスカちゃん私アスカちゃんのためならなんだってできるのよ」
「じょ、冗談ってのが分からないのこのウルトラスーパー馬鹿!」
「冗談?アスカちゃんも冗談なんていうのね」


アスカちゃんの冗談を始めて聞くなんてまるでアスカちゃんの処女を貰うくらい嬉しい。今すぐアスカちゃんの可愛い表情を脳内に納めたくて私は急いでフェンスを降りた。アスカちゃんに近付くと怒っているのか顔全体が少し紅くなっていた。まるで鬼灯みたいで愛らしい。その顔を上げ私と視線を交えた瞬間真一文字で結ばれた紅色の唇が開きアスカちゃんはこう言ったのだ。


「私より先に死んだら許さないんだから!」


アスカちゃんの言葉に失神したのは言うまでもない。





title:あもれ


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