★貴方が私以外の女子とお昼を食べるなんて珍しくないもの
2014/03/21 00:36

「……ただいま」
「おー帰ったか。そろそろ出来るから、手ぇ洗って待ってろ」
「……配膳ぐらい手伝うわ」
「へぇ?珍しいな、普段は『ええ』か『そうね』しか言わないのに」
「……『違うわ』と『うるさい』を忘れてるわよ、ナンパ男」
「何だよー、昼休みの事まだ根に持ってんのか?」
「……別に。貴方が私以外の女子とお昼を食べるなんて、珍しくないもの」
(……思いっきり根に持ってるっぽいんですけどー?)
「……(カチャカチャ」
(……やれやれ)
「……リリス?」
「――なに、んくっ……」
「……んっ、ぷはっ」
「〜〜〜〜ッ!!あ、相変わらず、何で何も言わずに貴方は――」
「……リリス」
「……ッ」
「……俺が、あの時の事を忘れると思うか?」
「………え」
「……お前、死に掛けの俺に何か言ったろ」
「………!」
『……貴方がいないと、意味がないのよ…馬鹿…!!』
「俺は、生まれた時から諦めてたんだ。どう足掻いても幸せにはなれない、どう考えても使い捨てられる以外の未来が見えない。だから、最初から諦めてた」
「………」
「……でもな、どれだけ諦めても辛いもんは辛かった。辛いって言って、助けて欲しかった」
「………」
「でもな、俺は同情されんのも反吐が出る程ムカつくんだ。だから、俺が助かる事はまずないって、思ってた」
「…………」
「お前に、さ」
「……」
「お前に、ああ言われた時、初めて分かったんだ。俺が欲しかった救いはこれだって。ただの鏡像の俺に、固執してくれるバカが一人いるって事が、俺の求めてた救いだったんだ」
「………だから、何なのよ…」
「だからさ」
「……?」
「だから、そんなお前の事を、俺を救ってくれたお前の事を、忘れるとか、どうでも良くなるとか、すると思うかっての」
「……っ、ぁ」
「……あのナンパは、その、何だ。俺の癖みたいなモンっつーか、その…」
「……もしかして、照れ臭いの?」
「……ッ、は」
「?」
「ハァッ!?そ、そんな訳ねーだろ!何で俺がお前と居るのを、て、照れるとか……」
「……そう(ニヤッ」
「…すげー悪そうな顔してんぞ……」
「あら、悪かったわね」
(……露骨に上機嫌になりやがって…まあいいか)
「……私も」
「ん?」
「私も、貴方が幸せになれって言ったこと、忘れないわ」
「……あんなモン忘れちまえっつーの(ポリポリ」
「………ねぇ」
「ん?何――」
「ありがと、リオン」
「……お、おう」
「……♪」
(……やっぱ敵わねぇな、こりゃ)


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