★何故、貴様が知っているんだ
2014/03/21 01:23

「……おい貴様」
「あ? 何か用かよオリジナル」
「……白々しい。今から僕が貴様に何を聞くかなど、貴様はとっくに分かっている筈だ」
「……あぁ、そういうことか」
「そうだ。何故貴様が――」
「悪りぃ。俺守備範囲広い方なんだけどさー、男はナシなんだよねー。しっかしまさかお前がホモ」
「貴様ァッ!!!」
「あーはいはい、こえーからその顔辞めろっつーの」
「ぐっ……」
「で、何だって?(ニヤニヤ」
「……何故、貴様が知っているんだ」
「知ってる? 何を?」
「……っ、だから……」
「だから? 俺バカだからハッキリ具体的に言って貰わないと分かんねぇんだよなー(ニヤニヤ」
「……ぐ、…………中身を…」
「あ?」
「何故、貴様がリリスのスカートの中身を知っているのかと聞いているんだ!!」
「………」
「………」
「……ぶっ」
「?」
「ぶっはははははは!! 中身か!中身ねぇ!あっはははははは!!」
「……何が可笑しい?(プルプル」
「……あーいや、何でもない何でもない。で、何で俺がオリジナルちゃんの下着を知ってるか、だったな?」
「し、下着、というか……いや、確かに、そうだが、っ…///」
(すげーこいつ下着って単語だけで赤面してやがる。腹立つわー)
「……で、理由は何だ?」
「見たから」
「は?」
「だぁから、見たんだっての。オリジナルちゃんのスカートをこう、ひょいっとめくってさ。いやー意外と色っぽい下着――」
「貴様アアアァァァアァァ!!」
「おーこわ。悪りぃけどそろそろタイムセールだから帰るわ」
「ぐ……貴様だけは、貴様だけは絶対に許さんっ……!」
「はいはい、俺はお前の事大っ嫌いだから好都合だな」
「……くっ…、」
「じゃあな、純情ツンデレ坊ちゃんよ」
「……とっとと帰れ!不愉快だ!」
「へーへー」




「………」
帰り道、自転車を漕ぎながら俺は先程のやり取りを思い出していた。
かつてはただ殺す対象だったオリジナル。
ただ、憎たらしかっただけのオリジナル。
その相手と、今は冗談と悪口の応酬をしている。
「……お前と俺は、本当は殺し合う相手だったんだぜ。……こんなに、気楽にお前と話すことになるなんて、考えたことも無かったんだ」
誰に言うでもなく、独りぼやく。
(………お前は、知らねぇだろうけどよ)
今度は心の中で一言ぼやき、ふと思う。
俺が欲しかったのは、これだったのかも知れない。
気軽に悪口も軽口も言える相手。
もう殺し合わなくていいという、安堵。
「……プリン、買っとくかな…」
安かったら、買っておいてやろうか。
高かったら、卵を多めに買って手作りしよう。
たまには、週末を4人で過ごすのも面白いかもしれない。
かつて獣の様に殺気立っていた魂がすっかり平和ボケしている事実を、何処かくすぐったく感じながら。
俺は、取り敢えず一軒目のスーパーへ向かった。


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