砂糖に蜜をかけまして

※R-17表現が多め。
────────────



 無事にヒースクリフとの会談の話が終わった俺たちは、ダミーのアジトで、部下の一人すらいない状況を楽しむことにした。
誰かに見つかっているということはないだろう。
ここに来るまでの間にPoHがそんなヘマをするとは思えないし、俺の索敵にも引っかかることはなかった。
相手が相当な手練れであれば話は別だが、それでも俺とPoH、両方を出し抜けるとは思えない。
そもそもの話が、このダミーアジトはアジトと言うよりも、圏外村のどこにでもあるNPC宿の一室だ。この宿までピンポイントに奇襲を仕掛けてくることはないだろう。
……ヒースクリフであればそれもできそうだが、そこは先ほどの話を信用するしかない。


「オマエの全部、オレに見せろ」


 しばらくしてからPoHはそれだけ言うと、黒のボクサーパンツだけを身につけた状態となった。
俺は黒いシャツの姿のまま、PoHに組み敷かれる。
先ほどよりも荒々しいキスをされ、シャツの中に手が伸びた。
年相応なのかわからない桃色の突起をいじられ、腰が跳ねる。

「んっ」

 小さくではあったが、鼻にかかるような嬌声が漏れる。
その声にPoHは甘い瞳で笑う。
下唇を噛まれたかと思うと、ゆっくりと舌で舐められた。
ゆるく波打った黒髪が頬にかかる。くすぐったさを感じて身をよじれば、逃がさないとばかりに追ってきた。
もう一度唇を触れさせると、今度はなんども角度を変えて口付けられる。
PoHはほぼ裸。俺も、黒いシャツを纏っているだけ。
そんな状態の俺たちが絡みあったらどうなるかぐらい、簡単にわかる。

「ふ、ぅ、んん……っ!」

甘い声をあげて、目をぎゅっと瞑る。
今更だろうと笑う微かな声に欲情する。

「キリト。目を開けて、オレを見ろ」

命令されて、目をゆっくり開けた。
PoHはそのまま楽しげに笑っていて、でも少し怒っていた。

「なんで怒ってるんだよ」
「あの男にどんな反応したのか考えたら、そりゃムカつきもするだろ」
「……嫉妬してくれたんだ?」
「オマエにあの男からメッセージ来た時点で、限界近かったんだぜ、これでも」
「……知ってる」

 ちゅ、と自分からキスをする。
許して、とでも言うように。
別れる前のこいつの顔は、あまりにもひどかったから。
だから、甘やかしてやりたくなったのだ。
少しだけでも。

「キリト」

 胸から手を離したPoHが、ぐい、と俺の左足を持ち上げた。
PoHから丸見えになってしまったそこに、羞恥を覚えて顔を背ける。

「先が濡れてる。可愛いな」
「わざわざ言うなよ。お前だって勃ってるくせに」
「……脱いでんのも可愛いけど、全部見えないのも悪くねぇ」
「えっち」
「好きだろ、オマエも」

ぐ、と足を持ち上げられ、体重をかけられる。
ゾクゾクと身体が震え、興奮してしまう。

「……好きだよ」

煽るようにしていえば、PoHがまた笑った。
機嫌は直ったようで安心する。

「どうして欲しい?このまま犯してやろうか」
「……それも、いいな」

 とろけた瞳でそう言った俺に、PoHは目を細めた。
吸い付きたくなるような、てらてらとした分厚い唇の隙間からチロリと覗く赤い舌が、俺を誘うように唇を一周する。
それに耐えかねて、思わず唇に噛み付いた。
お互いの荒い息遣いが、やけに耳に残る。
 キスしながら、お互いに身体を擦り付けあう。
普通にしているよりも卑猥で、俺は思わず舌で舌を押し返した。
しかしそんなささやかな抵抗など、PoHにとっては児戯に等しく、難なく絡め取られてしまう。

「キリト、ダメだろ?ちゃんと"確認"させろ」

 キリトの耳元でそう囁くPoHに、キリトはどうしようもない幸せを感じてしまっていた。
今だけは。今だけなら。
そう考えて、広げた足をPoHの腰に回した。
ホールドされたPoHの腰が密着する。

「……キリト」

 俺に向かって甘く声をあげたPoHの唇を喰む。
胸を揉まれて、乳首を刺激される度、ビクビクと身体が跳ね、たまらない気持ちになる。

「ッ、キリト……」
「ん、ぁ、ぁは……っ」

いやらしい手つきと、絡み合う身体に、データの塊であるはずの身体が火照る。
細められた紅い瞳に映る俺の表情が、艶かしく男を誘うようなものだったから、思った以上に欲情しているのだろう。

「足りない、足りないんだ」
「あぁ、こんなんじゃ、全然満足できねえなァ……ッ!」

 お互いの理性が、ドロドロと溶かされていく。
唾液がなんども混ざるほどに深く口づけをする。
狂ってしまう程に腹の奥に注がれたいと思うこの気持ちを、もはや抑えることはできなかった。
劣情というにはお互いを思いすぎていて、しかし純愛というには程遠い。
だからこれは素直に、欲情している、というべきだろう。
俺はPoHのそそり勃ったそれを手で撫でながら、目を細めてPoHに囁く。

「アンタのコレ、、、俺にちょうだい」
「──────絶対に泣かす」



+++



「今頃、キリトさんたち何してんだろうな」

 珍しく騒いでいないジョニー・ブラックがそう言った。
その隣ではザザがエストックのコレクションの手入れをしていた。

「どうせ、ヘッドと、話し込んでいる、だけだろう」
「そうかなー?俺絶対ヤってると思うんだよなー」
「……そうだとしても、俺たちの作戦に影響はない」
「そうだけどさ!あ、そういえばさぁ、ザザ」

ジョーはザザへぐりんと顔を向けた。
ザザは嫌な予感がしつつも、沈黙を返す。

「キリトさんに告った?」

ヘラヘラと笑いながらそう問いかけたジョーに、ザザは一瞬言葉に詰まった。

「あ!やっぱそうだろ!俺なんとなくわかっちゃんだよねー!ひでーじゃん、抜け駆け」
「抜け駆けした、つもりはない」

ザザはそういうが、正直に言ってしまえば、あれは抜け駆けに他ならなかった。
しかし、どうせ抜け駆けしようが、あとで告白をしようが、キリトの答えは変わらないのだろう。
それを思い出して憂鬱になる。
自分は、フラれたのだ。

「フラれた?」

核心を突くジョーの発言に、ザザは口を閉じる。

「ま、ヘッドいるしな」

予想とは裏腹にあっさりとそう言ったジョーを、ザザは見つめ返した。

「俺も告っちゃおっかなー」
「どうせ、俺と同じように、なると思うぞ」
「ザザは正面からぶつかったんだろ?やっさしー!どうせなら手足ぶった切って、自分以外のとこに行かないようにしてから告白すればいいのにさ!」
「……それで、アイツが、頷くと思うのか」

ジョーの言葉に、ザザはそう返した。

「さーな?でも、ヘッドに取られちゃうなら、ヘッド以上の事しねぇと」

歪んだその回答に、ザザは苦笑する。

「……そうだな」

ジョーがうまくいくとは思えない。
しかし、少しくらいは応援してやろうか。
せめて、自分と同じく、フラれるまではと。




────それを隣の部屋で聞いていたモルテが小さく笑った。

「ヘッドなら、その程度の事もうやってると思いますけどねー」

それでもヘッドの手元にいるのがすごいんじゃないか、とモルテは誰にもそれを話さないまま、斧の手入れを始めた。



+++



「ッ、あ、ぅあ……っ!」
「……コレで、全部"消毒"はできただろ」
 
PoHがそう言って体を離すと、キリトはぐったりとベッドに足を投げ出した。

「ほんとに、全身……っ」
「指先から足の先まで、念入りにしゃぶってやったんだ。問題ねぇだろ?」
「っ、あ、あ、んん……っ」
「……可愛いな。奥の奥まで掻き回した甲斐があった」

ビクビクと痙攣したように震えているキリトが可愛い。
唾液が口の端から垂れていて、それを拭うこともできない程快感を拾っていたと思うと、それすら愛しい。

「腹、ぱんぱん……くるし……」
「キリト、そのままの状態で新しいアジトに行くか?ケツ穴から垂れてくるオレ様のを気にするキリト、最高に可愛いだろうな」
「馬鹿言うな……っん、あ、あ」

紅潮した頬と涙目を隠せなくなっているキリトをじっくりと視姦するPoHに、キリトは羞恥で震えた。

「そう言いながら、ヒク付いてんぞ」
「言うな、って……!」

どうにかPoHの追撃から逃れたキリトは、ゆるゆると手を伸ばして、とろけた瞳のままPoHにすがりついた。

「風呂、シャワー……」
「あいにく、ここにはねぇな」
「え、嘘だろ?」
「ダミーにそこまで求めてんじゃねぇよ」

鼻で笑ったオレに、キリトはとっくにシャツを脱がされた状態ですがりついている。
PoHはこの状況を楽しみつつ、キリトの尻を揉んだ。

「あ、あ、だめだって、おい」
「腰揺れてるぜ?なんなら、最初からもう一回ヤってやろうか」
「なんでお前、そんな元気なの」
「そりゃ、相手がキリトだからだろ。可愛くて、愛おしいのは、オマエだからだ」

絡みつくような声色に、キリトは身体を震わせた。
本気でもう一度最初から抱き潰してやろうかと考えたが、キリトがストップをかけるのが先だった。

「ま、待って。だめ、ダメだから」
「なぜだ?時間ならまだある」
「……腹減ったんだよ」

顔を赤くしてそう言ったキリトが可愛くて、笑った。

「逃げるための文句としちゃ、弱いんじゃねえか?それにそれ、嘘だろ」
「ほ、ほんとだし」
「"腹ン中、ぱんぱん"なのに、か?」

そう指摘すると、途端にかぁああっ!と先ほど以上に顔を赤くしたキリトが、オレの胸板に頭を擦り付けた。

「止まんなくなるからだめ」
「止める必要がどこにある。オレがほしいんだろ」
「……PoH」

キリトはオレの名前を呼ぶと、口づけをした。
ちゅ、ちゅ、と軽いものだったが、角度を変えてなん度も繰り返されるそれに、オレは先ほどよりも気分が高まるのを感じた。

「……これで、我慢して?」
「──────できるわけねぇだろ」

オレは低い声で続行を宣言すると、キリトを再び押し倒した。
下で何やらキリトが叫んでいるが、聞くつもりは毛頭なかった。







糖に蜜をかけまして



END!
────────────
はい!!!!
当社比でめちゃくちゃギリギリを攻めました!!!
アウト?セーフ?よよいのよい!って感じでした!!
R17表記してあるし直接の描写ないからセーフとします( ˘ω˘ )

ストーリーでの激甘ってなかなか難しいんですけど、なんとかなっていたら幸いです!

ありがとうございました!

更新日:2018/07/22

[ 13/57 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -