撒いたパン屑

※ほぼ会話文です。

――――――――――――



「ねぇねぇおにいちゃん」
「んー?」
「もしさー、おにいちゃんと私がさ、ヘンゼルとグレーテルだったとしてー」
「お、おう」
「おにいちゃんは家に戻りたいと思う?それともお菓子の家に行きたい?」
「えぇー……そりゃ、俺はともかく、お前は帰らなきゃダメだろ」
「でもおにいちゃんは、パン屑をまいて家に帰れると思ってるアホの子だよ!?そんなの帰れるわけないじゃん!?」
「スグお前おにいちゃんをなんだと思ってんの!?っていうかこのご時世にナビもつけずに知らない土地いくわけないだろ!」
「童話の世界にナビなんてものはないんだよおにいちゃん!!」
「じゃあもう帰れないよ!!ごめんね!!知らない土地においていかれておにいちゃんよくわかんないわ!!これでいい!?」
「うん。じゃあ続き」
「え、続きあんの……?」
「おにいちゃんと私は、魔女の家につきました。そんでお腹がすいてたからお菓子の家を食べちゃいました。さぁ魔女がお怒りだ!どうするおにいちゃん!」
「……ところでさ、スグ」
「ん?」
「俺その話ですっごい思ってたことがあるんだよ」
「何なに?」
「なんでお菓子の家なのに、鳥やアリや蜂、そのほかの森の動物たちは食わなかったんだろう!?普通甘いものにはアリがよってくるだろ?はちみつとかならクマとか蜂とか!」
「おにいちゃん」
「はい」
「童話だからそういうツッコミはしちゃダメなんだよ!!!!」
「……ハイ」
「で、続きだけど。魔女がお怒りです。さぁおにいちゃんはどうしますか!!」
「新しいクエストか……まず自分のHPとMP、それから魔女ボスのHPとかスキルの確認を────」
「おにいちゃん」
「はい」
「だから童話だって言ってんでしょ!!」
「……はい」
「おにいちゃんはただの一般市民だから!っていうか私がおにいちゃんにいってほしいのはそういうことじゃないから!!」
「え、えぇ……?」
「もういいです飛ばします!!なんやかんやで魔女倒したおにいちゃんは私を檻から救い出します!!」
「そこ一番メインじゃん!!いいの!?飛ばしていいの!?」
「重要なのはそこじゃないからオッケーです!で、私とおにいちゃんは宝石とかまぁいろいろ手に入れたワケですよ!問題はそこから!!おにいちゃん、そっからどうしますか!?」
「どうする……ってまあ童話のとおり家に帰るんじゃないのか?もしくはそのまま暮らすパターンもあったような」
「……乙女心がわかってない」
「え」
「おにいちゃん!!そこは『スグと2人で永遠に幸せに暮らすに決まってるじゃないか』っていうところでしょ!?」
「いやしらないよ!?アッ……これアカンパターンのやつや……」
「もしくはおにいちゃんが私の手をとって『スグ……おにいちゃんと誰もいない家に帰って、兄妹なんてことは忘れて男女の「わあああああああああああ!!!!!!!!!!!」おにいちゃん遮らないで!」
「言わせないよ!?おにいちゃんに何言わせようとしてんの!?妄想であってもそれはいけないよ!?」
「大丈夫おにいちゃん!私がリードしてあげるから!!」
「そうじゃない!!そうじゃないんだスグ!!聞いて!!」
「おにいちゃんは寝てるだけでいいから……ね……?」
「『ね……?』じゃねぇよ!!よくねぇよ!!」
「童話の世界にゴムとかないから既成事実つくればこっちのモン……」
「おにいちゃん今日バイトあったの忘れてたわ。じゃあいってきま「逃がさない……」いやぁああああ!!
ズボンに手をかけないでぇ!!!!!!
だれかーー!!!!!だれかヘルプミ──────!!!!!」



いたパン屑


END!
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ヘンゼルとグレーテル。

更新日:2015/09/06
改稿日:2020/01/24

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