パーティアンドインタビュー!

▼クエスト:パーティアンドインタビュー!



「撮影、お疲れ様でしたーー!そして、SAO3期決定おめでとう!」

 SAO2期クランクアップの打ち上げ会場で、みんなが乾杯をする。
GGO編が終わり、ALICE編も決定したこともあって、会場の空気はとてもふわふわしていた。
華やかなドレスやタキシードに身を包む役者たち。
俺の気分も高揚して、とても幸せだ。

「おつかれさま、キリトくん」
「おつかれ、アスナ」

SAOにおけるパートナー役のアスナこと結城明日奈とグラスを合わせる。

そう、今日はアニメ2期のGGO編収録が終わった打ち上げのパーティなのだ。

「SAO」つまり「ソードアート・オンライン」は、超大人気ドラマである。
原作がもともと人気なのに加え、キャストがすごい豪華だったり、美しいエフェクトや背景のグラフィックが世界的にもとても評価されており、日本だけでなく海外も注目するドラマなのだ。

そんなSAOの主人公のキリト役が、俺、桐ヶ谷和人だ。

 監督が本名を使ってドラマを作ることで有名な人で、俺も含めそれは全員が承知している。
桐ヶ谷和人は、SAOの映画の中でも「桐ヶ谷和人」であり、本人が、別世界の本人を演じているのだ。
 俺たちSAOの撮影に参加した人は、全員「SAOファミリー」と呼ばれている。
SAOファミリーは結束力と言うか、とりあえずみんな仲がいい。(個人同士はどうかしらないが)
今回の話で言うなら、GGO編のシノンこと朝田詩乃と、第2の死銃ことシュピーゲルの新川恭二とも仲は普通にいい。
ドラマの中ではあれだけ嫌な行為を行なっていても、こちらの役者の性格そのままというわけではないのだ。
そして、それは俺にも言える。
GGO編で言うならば、ザザこと新川昌一だろうか。
俺は昌一先輩、と呼んで慕っている。
SAO内では考えられない話だけど、リアルではこんなものだ。
だから、俺はSAO時代のラフコフのみんなとだって仲がいい。
あと、SAO内で散々絡まれていたキバオウさんとだって、軽口をたたける仲である。
たまにキバオウさんが司会を務めるバラエティに出演させてもらっているし、ドラマ以外でも交流のある役者は多い。

「キリト」
「サチ!」

俺はぱぁあっと笑って振り返った。
カチン、とグラスを合わせると、サチは微笑んだ。

「来てくれたんだな」
「そりゃあ、1期のヒロインだもん、くるよ?」
「また会えて嬉しいよ」
「ふふっ、キリトちょっと身長伸びたね」
「そうかな?」

サチと騒いでいると、

「おいおい、俺らもいるんだぜー」

と、後ろから声をかけられた。

「ケイタ!テツオ、ササマル、ダッカーも!」

俺は頭を小突かれたり、肘でつつかれたりしながら笑っていた。

 そう。SAOで死んだキャラクターだって、ドラマの外ではちゃんと生きているのだ。
サチ死亡回では俺も外でいろいろ言われたが、視聴率は過去最高だったらしい。
役者の本名を使うと言うことは、その役者がドラマの中の性格だと思ってしまう視聴者が少なからず出てしまうと言うことでもある。
しかし、この黒猫団の放送の後、役者とドラマの中の登場人物は別物なのだと割り切って考えるように視聴者側で色々動きがあったらしい。
だからこそ、安心して演技ができると言うわけだ。

「キリトくん、そろそろ君の出番だよ」

声をかけてきたのはディアベルさんだ。
彼も、その視聴者側に呼びかけた側の一人だ。
ディアベルさんはアイドルであり、少ない登場回数ではあったものの、物語の重要な役割を任せられていた一人である。
その人本人が、「役者と登場人物は別物だ」と最初に呼びかけたうちの一人であるとは、この界隈では有名な話だ。

「わかりました!じゃ、みんな行ってくるな」

 俺はひらひらと手をふり、その場を離れた。
そう、今日はテレビの取材もここで行われるのだ。
今回は昌一先輩とシノンと俺で取材を受けることになっている。
席に3人が揃ったところで、パーティ会場でのインタビューが始まる。

『GGO編完結、おめでとうございます!』

「「「ありがとうございます!」」」

 俺たちはそろって答えた。
昌一先輩もさすがに今はマスクをかぶっていない。
シノンは一応髪を水色にしている。

『今回のGGO編、演じてみていかがでしたか?』

俺にマイクがむけられて、俺は頭をえへへ、と笑いながらかいた。

「楽しかったですよ、やっぱり。
あ、でも、最初のシノンを騙すとこはちょっとやっぱり難しかったです。
アスナの真似とか女の子のフリとか……」

俺がそう言うと、シノンもザザもくすくすとわらった。
記者がシノンの方にもマイクを向けると、シノンは微笑みながら答えた。

「私も、とっても楽しい撮影でした。
この出会いを、大切にしていきたいと思います」

最後に先輩の方にマイクが向けられると、昌一先輩はニッコリと笑う。

「面白かった、ですよ。共演者と、ここまで仲良くなれる現場、他にないんじゃ、ないですかね。
そういう意味では、この撮影は、とても良い、出会いの場でした」

3人が答え終わると、記者は俺の方を向いた。

『では、キリトさんにとって共演者のお二人はどういった印象でしたか?』

「えっと……シノンは、俺にとってすっごくかっこいい女の子って感じでした!あれ?こういう答え方じゃないんですか?ご、ごめんなさいっ!俺こういうの慣れてなくて……!」

くすくすとみんなに笑われ、顔を赤くしたまま答える。
シノンはまんざらでもなさそうにふふんと得意げに鼻をならした。

「演技の方もすっごく上手くて……いっつも俺が助けられてて、ほんとに勉強になりました。
えっと昌一さんは……俺のこといっぱい甘やかしてくれましたね」
「えっ」

俺の答えに、シノンがぎょっとする。
昌一先輩はニヤニヤしている確信犯な俺をみて、頬を少し赤らめた後、こほんと咳をした。

「それは……どういった感じでよ」

シノンが記者そっちのけで尋ねる。
どうせ記者も同じこと聞くつもりだったんだからいいだろうといった感じだ。

「え〜〜どうでしたか昌一さん」
「……ハァ。キリトは、後輩の中でも、特にかわいいからな。
そういう意味では、休憩中にお菓子や、ジュースをあげたのは、甘やかしたことに、なるのか」
「思いっきり餌付けじゃない」
「それだけじゃないよ。撮影でうまくいったときは褒めてくれたり、頭なでたりしてくれてさ、すっごい嬉し……はっ」

記者さんのニヤニヤ顔と昌一先輩が「あぁ……」と額に手を持っていったのを見て、はっとする。
そしてすぐに顔を真っ赤にしながら「な、なんでも……ないです……」と俯いた。

『なるほど〜!ありがとうございました!この映像は今日の特番で使わせていただきますので!』
「あああああのっさっきの会話消しといてくださいねっ?!使っちゃだめですからね!?」

 俺があわあわというのを、記者の人はハハハハと笑いで誤魔化した。
俺は「あっこれダメなやつだ」と悟った。
そんなキリトの肩をシノンがぽんと叩いた。

「自業自得」
「あう…………」

インタビューが終わると、GGO組は解放された。
俺はまだまだ食い足りなかったので、
シノンと昌一先輩と共に豪華な料理をやけ食いしようと、さらに手を伸ばしたのだった。



ーティアンドインタビュー!



END!
――――――――――――――――――
はい!

はじまりました長編第2弾!
この長編は不定期に増えていきます。
シリーズものなのでのんびりお待ちください!

ようやく執筆できる時間が取れるようになってきました・・・!
メインをもっと増やして行きたい今日この頃。

ありがとうございました!


加筆修正日:2018/06/13

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