こどもはこども
※キリトくんが幼児化+言葉も若干子供並みになってます。
でも記憶はちゃんとある。
今回はいろいろとヤバい奴らに捕まっちゃって・・・!?
最後の方R-15。
いつもどおりなんでも許せる方のみどうぞ!
――――――――――――――――――
こんな、はずじゃ。
〜あらすじ〜
キリトくんが変なキノコの胞子かぶっちゃって、幼児化しちゃった!
その効果は1時間ということはわかってるんだけど、突然体は縮むし、森の中でそんなことになってしまったキリトくんはどうしていいかわからなくなり・・・!?
「う、ぁ・・・あたまいたい・・・」
キリトはふらふらと体をおこし、状況を確認した。
何もかもが高くなった背景。
ちいさな手に、重すぎる剣。
そして、どう見てもサイズの合わない服。
「こ・・・これって、もしかして・・・」
さっきぶつかってしまったキノコに恐る恐る近づくと、キリトは盛大にため息をついた。
「・・・・・こんかいは、かんぜんにおれのみしゅだな・・・」
舌足らずになっている自分に眉根を寄せながら、とりあえず装備を片付けていく。
幸いなことに、ここの道はモンスターが出現しない村への通り道だ。
まぁモンスターに装備や剣をつけていないという理由で死ぬことはなくなったわけだ。
とりあえずズボンは履けないので、不愉快ながらブカブカの黒い上着をワンピースのように羽織っておく。
まったく、どうしてこんなことになるんだとブツブツ言ってから、キノコの説明文を読む。
どうやら10年時を遡る胞子を出すキノコらしい。つまり俺は今6歳というわけだ。
1時間で胞子の効果は切れるというから、道の脇の、誰にも見つからない場所で1時間すごすのが得策だろうと足を踏み出そうとした。
思考力が安定しないのは、脳が小さくなっているからだろう。
記憶が有るだけまだマシだと思える。
まったく、リアルでは大きさなど一ミリも変わっていないのに、こっちの世界では影響を受けるなど、理不尽なものだと思っていたキリトは、後ろから聞こえた足音に気がつかなかった。
「あっれー?なんかいるー」
と。後ろから声が聞こえる。
バッと後ろを振り向いた瞬間、ひょいっと体が持ち上げられた。
「!?」
俺の両脇に手を挟み込み抱き上げた、子供のような声は―――
「な・・・っ」
キリトは驚いて固まった。
キリトを持ち上げた人物、それはキリトがよく知るレッドギルドの一員・・・。
《笑う棺桶》幹部、ジョニー・ブラックという男だったからだ。
キリトが固まっている間、ブラックはにんまりして言った。
「ねーねー、もしかしてキリトさぁん?」
楽しそうに笑うブラックに嫌な予感がしたキリトは、バタバタと暴れる。
するとブラックはあわてて俺を抱き抱える手の力を強くした。
「わっちょっ大丈夫ですって何もしねーから!
あ、いや何もしねーのはムリだけど」
キリトはそれを聞いてはわわと口を開けた。
「おっ、おれをどうしゅるつもりだ・・・!」
俺が必死の思いでそう言うと、ブラックは覆面の奥の目を細めてゲラゲラと笑った。
「ぶっは!キリトさん超カワイイ!舌足らずなとことかカワイーしたまんねぇ。
俺さー、ガキは嫌いだけどぉ、キリトさんなら全然アリだわ」
ブラックはそういうと、キリトをぎゅうっと抱きしめた。
キリトはあわてて声をあげる。
「おっ、おろしぇっ!」
そんなおれの必死な思いはまたも届かず、ブラックは俺に頬ずりをしたあともういちどにんまり無邪気に笑った。
「イヤでーす。ちょっとザザにもみせてーからぁ、アジトいこー」
「はぁああ!?」
キリトは抱き抱えられたまま、ブラックによって連れ去られる。
嘘だろと思いながら、頭の片隅でアイテム全部しまっといて良かった、と思った。
*****
「たっだいまー!」
ブラックは元気よくアジトへと入っていった。
アジトの中には人はおらず、幹部の使う宿なのかとどうでもい事を考える。
「ザーザー!!ザザどこだよー!面白ぇモン見せてやるからー!」
「やぁあっ!おろしてぇええ!!」
ザザを呼ぶブラック。精一杯叫ぶキリト。
どうやら俺は「さ」行が言えないようだ。くそめんどくせぇ!
そして、ザザが来てしまった。
「うるさい・・・ぞ・・・?」
「あっザザ!なーなー見てくれよコレ!」
そういってはしゃぐブラックがキリトを掲げると、ザザは驚いたように固まった。
「・・・・・・・・・・・・・・・なんだそれは」
「すごくねぇ!?キリトさんだぜ!」
ザザは沈黙したあと、ぷらーんと力なく持ち上げられているキリトの顔を覗き込んだ。
ぷっくりとした顔に、まつげの長い大きな目。
さらさらの髪に、キラキラした瞳と女の子のような顔立ち。
じっくりとキリトの顔を観察したザザは、
「・・・・・・・・・・本当に、黒の剣士、なのか」
と信じられないような声で言った。
「〜〜〜〜〜〜っはなしぇってばあ!」
と舌足らずな声で叫んだキリトは、ぴょんっとブラックの腕から抜け出すと、とりあえず自分にできる全力を持ってドアへと向かって走った。
「あっ、そっちは・・・」
ブラックの言葉は途中で遮られた。なぜなら・・・・
どんっ
「わぷっ!?」
キリトは盛大にぶつかり、後ろにすっころんだ。
何に当たったのかと、涙目な視線を上に移すと――――
「・・・・・・・・ガキ?」
キリトは、自分の顔が青くなっていくのを感じていた。
笑う棺桶ギルドマスター、PoH。
よりにもよって一番会いたくないやつと、こんな姿で。
サァーっと血の気が引いていく音を聞きながら、一歩後ろに後ずさろうとすると、後ろからまたひょいっとブラックに捕まり、キリトは2度目の囚われの身になってしまった。
だが、それよりも、キリトはPoHに見つかってしまったことを後悔していた。
はわわとまた口を震わせる。
今自分がまとっているのは、黒の大きなシャツ一枚。
これでPoHに対抗できるわけもない。
キリトは懸命に考えたが、何もいい考えが浮かばない。
これ以上考えていたら知恵熱が出てしまいそうだ。
(・・・そういやぁ、知恵熱って子供が出す熱のことだよなぁー・・・
でもあれって1歳までの子供が出す熱だから今の俺は健康体かー・・・ははは・・・)
などと現実逃避をしていたキリトだが、ブラックが椅子に座ると、その膝にちょこんっと座らせられる。
どうにかして、この場を脱出しなくては。
一番いいのは、誰も見ていない隙に体が戻り、その間に全力で転移結晶を使い脱出する、という方法が望ましい。
だが、こいつら幹部3人がそうそう俺から目を離すとも思えない。
あぁ、もう、どうすれば。
「なんだこのガキは」
PoHはまだ俺だと気が付いていないようで、俺はラッキーだと思った。
この男に俺だと知られれば、ショウ・タイム確定だ。
俺はPoHと顔を合わせないようにそっと顔を逸らす。
PoHは気が付いていないようで、ブラックと話を続けようとする。
あぁ、でも顔をかくしてもこいつらの口から話されたら終わりじゃないかおれのバカ。
とうとうそんなことまで考えられなくなったのかと舌打ちしたい気持ちになる。
「ヘッドヘッド、見てくださいよこの顔!」
そう言って、ブラックが俺の顔をぐいっと後ろ手で掴み持ち上げる。
「く、るし・・・」
必然的に喉が締まる形となるのだが、PoHがフードの下から舐めるように観察する方に気をとられてしまい、それどころではなかった。
眉を寄せ、苦痛に耐える表情にPoHは思い当たることがあったのか、一瞬だけ驚いた表情を見せた。
「まさか・・・キリトか?」
せいかーい、とブラックが笑うと同時に、キリトの顔から手がはなされた。
ゲホゲホ、と咳をすると、PoHが俺の顔を覗き込んだ。
そして、く、くくくっと笑った。
「クハ、ハハハハ!キリト?貴様、なんつー笑える格好してんだ。ひひっ、面白ェ」
大爆笑だ。もうやだこの組織今すぐ切り刻みたい。
キリトはPoHを睨むと、ぷいっと顔をそらした。
まるでそれが子供がすねた時のような反応なのをみて、ザザが可笑しそうに笑った。
「クク、黒の剣士。貴様、なかなか、様になって、いるぞ」
「うるしゃい」
キリトははぁ、とため息をついた。
PoHは未だに肩を震わせている。ムカつく。
本格的にどうしよう、とキリトは思った。
PoHに見つかってしまったということは、死を覚悟しろということなのだろうか。
あぁ、でもどうせ死ぬならもうちょっとまともな姿で死にたかったなぁ・・・。
「なーなーザザ、ヘッドぉ!このキリトさんどーします?」
ブラックが俺の頬をぷにぷにとつつく。
くそ、あとで覚えてろ。
だが、こいつらが俺に何かするというなら聞かねばなるまい。
俺はブラックの上に座ったまま、PoHを上目遣いに睨んだ。
「あぁ・・・どうしたもんかね」
未だに余韻の冷めない笑みを浮かべているPoHを睨む。もし生きて出られたら切ってやるくそう。
「黒の剣士。貴様、これからも、そのまま、なのか」
ザザがオレに向かって聞く。
俺はそちらを見てから、もうどうにでもなれと半ば投げやりな気持ちで首を横に振った。
「あと30ぷんぐらいで、もとのしゅがたにもどる。
どっかのだれかしゃんがおれをつれてこなきゃ、ぶじにもどれたのに」
ケッとキリトはそう言うと、ブラックはけらけらと笑った。
「だってあんな面白いモンほっとけるわけねーって!」
「くそ、こんなことになるなんて・・・」
「なーザザぁ、お前だって道端にこんな面白いキリトさん落ちてたら拾うだろ?」
ブラックの純粋(?)な問いに笑ったザザは「そうだな」と答えた。
「まじかよくそだな」
「うっわかわいくねぇ!子供のキリトさん超かわいいのにいうこと全体的にかわいくねぇ!」
「おれにかわいさをもとめんな」
ぎゃいぎゃい騒ぐ2人に呆れた視線をおくりながら、ザザはちらりとPoHを見る。
PoHは笑いながら、
「ガキ2人が遊ンでんじゃねぇよ」
という。
ショウ・タイムのときほどではないが、十分面白がっているPoHをみてザザは少し驚いたように目を細めた。
「に、してもナァ。あと数十分でガキの黒の剣士が見れなくなると思うと・・・」
「なんだよ。こんなチャンスめったにないぞ。ころしゅならころしぇ」
まったくもって可愛くないガキだとPoHは思った。
それがキリトらしいといえばたしかにそうなのだが、子供の姿で殺す殺さないとのたまうこの口をどうやってふさぐのがよいだろうか。
もともと子供だったくせに、もっと小さくなりやがった。
しかも子供の体のくせに、心は完全にいつものあの面倒な黒の剣士ときた。
それを思い出すとまた笑いがこみ上げてくるが、いいかげんむっとしているこの子供の処遇を決めねばなるまい。
正直、このままのキリトを殺すのは実に面白みがない。
じわじわと、それでいてたっぷり苦しませ、骨の髄までしゃぶってから殺したい。
こいつの苦悶に喘ぐ姿を想像しただけで自分のモノが熱くなるが、今のこの姿のキリトではちっとも面白くないどころか勃たない。
いや勃つ必要はないのだけれども、面白みがないのは確かである。
だからPoHはニヤリと笑うと、キリトに視線を戻した。
「ま、今の貴様を殺しても面白くねぇしな。あの黒の剣士のマヌケな姿拝めたんだ、今回はそれで見逃してやるよ」
そう言うと、キリトは驚いたように目を見開いた。
ブラックは下品にゲラゲラ笑うが、ザザも少し意外だったようだ。
「なンか言いたそうだな」
「いや・・・しゅこしいがいだったから・・・」
「ハッ、殺されたいワケじゃねぇならありがたく見逃されとけ」
キリトは素直にこくんと頷く。
それをみたPoHはまた愉快そうに笑うと、どっかりとソファに腰を下ろした。
ザザはそれをみて、キリトに視線を移すと、顔をしかめたままみつめていた。
それに気づいたキリトが、ザザに子供らしからぬ笑みを浮かべ言う。
「なんだ、ふまんか」
「不満というよりも・・・面白くないと、思っただけだ」
「はは、なさけないしゅがたみしぇてるんだから、がまんしてほしいね」
「十分している」
キリトとのやりとりで、小生意気なガキだと思ったザザは、弟のことを思い出した。
弟との仲は良好といって良かった。だからこそだが、こんなガキに育たなくて本当に良かったと心の底から思っている。
こんな可愛げの欠片もない弟だったなら、早々に関係を断ち切っているところだ。
だが、弟には抱かない感情をこいつに抱いているのも事実。
面倒事は勘弁したいところだが、自分の気持ちに薄々気づいている程度には、こいつのことが気になるらしい。
「あーでもでもぉ、俺ザザに見せたかっただけだけど、せっかくだから遊ぼうぜー!」
キリトは無邪気に笑うブラックをみて、困った顔をした。
「キリトさんにぃ、子供だからできることしてもらいてぇなぁ。見たとこアンタ今5歳ぐらい?だろ?」
「6しゃいだ」
そう答えると、ブラックはさらに下品にきひひっと笑った。
「そうそうそれそれキリトさん!」
「はぁ?」
「その舌足らずな感じで自己紹介とか!」
ブラックの意図するところが分かり、キリトは顔を赤くして怒る。
「しゅるわけないだろバカ!」
「あっひっでー、さっきの超可愛かったのに」
「おまえがきいてくるから・・・!」
「わー、キリトさんが怒ったー!こわーい!」
完全にバカにされている・・・!
そう思ったキリトは、ブラックの方へ体を捻じ曲げて振り向くと、最上級の笑みを浮かべた。
にぱぁっと花を咲かせたような笑みに、ブラックはおどろいて固まった。
「ブラック、おまえあとでごめんなさいしてもゆるしてやんないからな・・・?」
にこにこと笑うキリトを本能的に危ないとおもったのだろう、ブラックは顔をひきつらせて「いや、あの、その」と慌てたように口を開いた。
この体でソードスキルが発動するかどうかは分からないが、俺ならできる気がする。いやできるというよりやるんや・・・!俺は出来る子・・・!
そう念じて、キリト渾身の体術スキル《閃打》を放とうと、拳をぐっと握り締める。
すると、それまでソファでみていたPoHがこちらにきて、なんの前触れもなくひょいっと俺の体を持ち上げた。
ブラックははぁ、と安堵のため息をつくが、俺は不満そうにちらりとPoHを見つめた。
まだスキル発動前だったため、体術スキルのことはしれていない。エフェクト発動前に止められたことはある意味良かったのだろうか。
「なにすんの」
「こっちこい」
「えっ、ちょっとま・・・おいっ」
キリトの叫びを無視して、PoHはまたソファに座った。
PoHの膝にまたしてもキリトは座らせられ、しかもPoHの方を向いて座るというもうなんといっていいのかわからないつらい目にあった。
PoHはおもしろそうに俺の体のいろんなところを触る。黒いシャツの下には何も着ていないというのに、この男の手つきは容赦ない。
「おい、あははっ、やめっ、くしゅぐったい・・・!」
きゃっきゃと笑う子供のようなことをしてしまった俺は、PoHから離れようと必死にもがくが、まぁ子供が大人のいい体格したやつに勝てるわけないよね。
「不思議なモンだな。子供の姿のくせに中身まんまあの勇者サマだろ?クク、それがこんな・・・クククッ!」
「わらうな!おれだってしゅきでこんなしゅがたになったん・・・じゃ・・・」
キリトは頭がぐらりと揺れる感覚に、思わずPoHにしがみついた。
「?キリト・・・?」
PoHが不思議そうにこちらを見下ろしているのが分かるが、俺はそれどころではない。
頭がいたい。クラクラする。それになんだか、身体が熱く・・・
「うわっ!?なんだこの煙!ちょっ、キリトさん!?」
「黒の剣士、貴様、何を」
幹部2人の声が遠くから聞こえる。
俺は目を固く瞑り、痛みに耐える。
「おい、キリ・・・ッ!?」
PoHが何かを言いかけたその時、痛みがスゥッと消えた。
そして、目を開けると白い煙がゆらゆらと俺の身体の周りを漂い、消えた。
もういちどぱちりと瞬きをすると、顔のすぐそばにフードに遮られているが整った顔があった。
「!?」
キリトは顔を真っ赤にして、急いで顔を離す。
煙が完全に消えると、俺は全てを知った。
「よ・・・よぉ、PoH」
「hello,キリト」
と。
体は完全に元に戻り、頭もスッキリしている。
しかもまったくありがたくないことに、身体が戻っただけで記憶はキッチリあるし服もそのままというオマケつき。
つまりいま、俺はPoHの膝に正面を向いて座り、さっきまではブカブカだったワンピースもとい俺のすこし大きめサイズの黒のシャツ一枚という、完全にアウトな構図が出来上がってしまったわけである。
そしてみなさんおわかりだろうが・・・シャツ一枚ということはつまり、ズボンがないわけで。
ズボンどころか、下着もないわけで・・・!!
「誘ってンのか?」
PoHは俺の腰に手をもっていき、するりとなで上げる。
キリトは小さく悲鳴を上げ、PoHを睨んだ。
ニヤニヤと笑うPoHをみて、キリトは全てを悟った。
「おまえ、もうすぐで戻ることわかっててわざと・・・ッ」
「さぁ、なんのことだかな。それより、シャツの下になんも履いてなかったのか。襲ってくれっつってるようなモンだな」
「子供姿のときに履けるものがなかったんだよ!」
そう言って顔を赤らめるキリトを面白そうに眺める。
必死にシャツを伸ばし、前を隠したキリトをみて笑うと、キリトは赤い顔のまま睨んできた。
(やっぱこうじゃねぇとなァ)
PoHはそう思い、キリトの唇に顔を近づける。キリトはばっと顔を背けた。そんな反応にまたおかしくなり、喉を鳴らした。
「き、キリトさん・・・元にもどったんすか?」
ブラックが我に返ったようにぽかんとした表情でこちらを指差す。
俺は振り向きながら涙目で「そうだよバカ!」と睨んだ。
俺がシャツ一枚なのを見かねたザザが、ぱさりとコートをはおらせてきた。
・・・いいやつだなんてそんなはずはない。
「・・・ありがと」
とりあえずザザに礼を言うと、「フン」と息をひとつ吐いた。
それを見たPoHは、ニィと笑う。
「ところでキリト、お前さっきからイロイロ言ってるが・・・
俺のシャツにぎったまま言われてもな」
そう言われ、片手でさっきPoHにしがみついていたことを思い出した。
かぁっと顔を赤らめた俺の太ももに、ほかの2人がコートで見えないことをいいことに手を滑らせてきた。
「な、やめっ・・・」
するりと肌触りの良い黒の手袋が俺の足元を這っているとおもうだけで、ざわりと肌が粟立つ。
PoHは楽しそうに手を動かす。
「ひぁ、・・・めろ・・・ッ」
俺たちのこんな行為が後ろの2人に知られたら大変だ。
そんな事を思っていると、俺たちの話に口を挟まないと決めた2人は勝手に談笑していた。
「なーザザなんでキリトさんにコート着せちゃったわけぇ?あのままのほうが絶対かわいかったのによ」
「・・・尻が見えて、いたからな」
「ギャハハ!なんだよザザやさしーな!」
「ただ単に、見苦しかった、だけだ」
そんな事はしらない。
そう思ったおれをどう思ったのか、コートで隠されている尻をPoHはつかむと、いやらしい手つきで撫で回した。
「ひぅっ!?」
「あぁ、たしかに形はいいかもな」
「男の尻触ってなにが楽しい・・・!」
「貴様の嫌がる顔見れんのがなにより楽しいね」
「この、鬼畜・・・ッ!」
意外と大きな声になってしまったそれを聞いて、ブラックはこちらをちらりとみて、ケラケラと笑いだした。
「ヒャハハハ!キリトさんさー、そのままヘッドに喰われちゃえばぁ?」
「何言って・・・ッ!」
ブラックの一言に余計に赤くなったキリトは、PoHの膝の上に座っているということを思い出し、腰を浮かせた。
PoHの手が空を切るが、知ったことではない。PoHの膝をまたいで膝立ちになると、ウィンドウを開ける。そんなキリトをPoHは愉快そうに眺め、一向に視線をほかへ移さないPoHをみてキリトは怒った。
「なんで見てんの」
「あぁ?俺の上に乗ってるやつの着替えみて何が悪い」
「見られるこっちの身にもなれっ」
キリトはいつもの装備を付け終わると、ふう、と息を吐いた。
ソファから降りると、PoHも腰を上げた。
ニヤニヤしているPoHを睨む。
「見逃してくれるんだろ」
「気が変わったかもしれねぇぜ」
「・・・・・・・・・・」
「ジョークだ。今回は見逃してやる」
「そりゃどうも」
素っ気無く言うと、ザザにコートを返した。
「コート、ありがと。助かった」
いくら殺人者といえども、最悪の窮地を救ってくれたことには感謝せねばなるまい。
尻丸出しでPoHに遊ばれているなんて恐ろしいことにならなくてよかったと本当に思った。
「見苦しいものを、見たくなかった、だけだ」
コートを受け取ると、ザザから一歩離れた。
そしてブラックの方を睨むと、精一杯の気持ちを込めて笑いながら言った。
「いやぁ、お前のおかげで散々な目にあったわー。今度会ったときは覚悟しとけ容赦しねぇし真っ先にぶった切ってやるこのクソが」
顔は超笑顔なのに立ち込める空気も言葉も恐ろしいもので、ブラックは引き気味に「あ、はい」と返事をしただけだった。
PoHはそんな俺の耳元に唇を近づける。
「こんど来るときはもっとイイ事してやるから・・・そのつもりでいろ」
低い美声で囁かれたその言葉に、肩が震えないように気を張った。
俺はそのまま転移結晶を取り出すと、PoHから離れて転移先を口にした。
「はー、面白かったぁ」
キリトがいなくなった空間で、ブラックの全く反省していない声が響き渡った。
こどもはこども
(早く大人になって、この不条理から抜け出したい)
END!
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はい!ラフコフキリのような・・・そうでないような・・・。
いやぁ、最近の小説の中で一番書くのが楽しかったです!!!(大満足)
こどもキリトくん想像するだけでかんわぇえええ!!
萌えの塊ですよ天使ですよああかわいい撫で回したいかわいいお尻に顔をうずめたいかわいいかわいいかわいいあああ
・・・すみません。
でもキリトくんのそんな姿を妄想してる私はとても楽しい。
今回、ブラックっていう作中一・二を争う子供っぽいキャラ(ユイちゃんのほうが絶対大人だとおもう)に連れ去られるという・・・。
ザザが意外と紳士だと思った方の夢壊してすみませんですが、あのコートどうせあとでザザがいかがわしいことに使うと思いますたぶん!
ある意味紳士さんやけどな・・・。
そして我らがヘッドな。
ただのスケベオヤジじゃねぇか。なにしてんだアンタ。
というツッコミをしながら書いてましたが、とても楽しかったです(いい笑顔)
PoHさんが出るとただで終わらせないのが酢酸クオリティ。
キリトくん幼児化がドツボすぎてアアアと唸ってるんですが、そこに犯罪臭のする大人たちが絡んでくると余計美味しいですが完全に犯罪です!
お巡りさんこっちです!あっちがいます私じゃないですってえっなんでキリトくんのお尻みつめちゃだめなんですか(怒)(怒)(怒)
アニメ終わってとってもとってもさみしいですが、電撃文庫MAGZINE買うのでそれで我慢します。
クリスマスプレゼント(自分用)ですね・・・(遠い目)
そういえば、70000hitもっとみなさんリクエストしてくださっていいんですよ!
受付は12月31日までですので、どうぞお気軽にリクエストしちゃってくださいね!
ありがとうございました!
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[mokuji]
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