猫耳がついたようです。
「・・・・・またかよ!!!!!!!!!」
やぁみんな。知ってると思うけど俺だよ!!!
ALOにログインしたと思ったら俺の頭に黒い猫耳が生えてて、しかも尻から見慣れない黒い尻尾が生えてたよ!!!!
おい新生ALOの《ザ・シード》の管理者どうなってんだこのやろう降りて来い!!
「なんでなんだ!!なんで俺の体はこうもバグになりやすいんだ!!
運命か!!???俺はそんな運命を認めない!!!」
「その幻想はぶち壊す!!!」
「すぐっ・・・じゃない、リーファ!!なぜお前がここに!?」
俺はバッと後ろを向いた。そこには、なんとも恐ろしい顔をしたリーファが立っていた。
「スクショなう」
バシバシと俺の猫耳&尻尾・・・つまりケットシー姿を撮影する妹を見て、意味もなく赤面してしまう。
「やっ、やだってば、すぐ・・・っ!」
「ふふふ、お兄ちゃんかわいい、かわいいよぉ・・・ハァハァ、もうこれはいっぱい撮っておかなきゃだめだよねぇ・・・ぐへへへ・・・」
「へっ、変態だぁあああ!!」
俺は顔を青くして、リーファから逃げる。
「誰か、だれでもいいから助けっ」
「逃げられると思うのか我が兄よ」
「後ろにッ!?な・・・何も・・・何も見えなかった・・・だと・・・?」
「お兄ちゃんのケットシー姿を収めるためならば限界すらも越えて見せよう」
やっべぇカッコいいこと言ってると思ったけど最低だうちの妹!
そんなこんなでドアという逃げ場を失った俺は、ドアの向こうから『ドドドドド』という足音が聞こえてきたのに気づき、急いでドアから離れた。
バァン!と直葉を吹っ飛ばしたドア。
ちなみに飛ばされた直葉は口元から血のエフェクトを垂らしながら、親指を立てて
「我が生涯に一生の悔いなし・・・グハッ」
と死んだふりをした。
「す、直葉ァーーーーッ!!」
俺はそんな直葉を見て、直葉の亡骸に手を伸ばし叫んだ。
そんな茶番を演じていると、ドアからザッザッと足音がした。
そちらに目を向けると、5人がそれぞれポーズをとって立っていた。
「「「「「待たせたな」」」」」
誰が待つかよ!!と内心悲鳴を上げたが、それよりも目の前の5人を何とかしなくてはならないという緊張感が勝った。
「キリト親衛隊ナンバー5.コードネームシノン」
「キリト親衛隊ナンバー4!コードネームリズベット!」
「キリト親衛隊ナンバー3!コードネームシリカですっ!」
「キリト親衛隊ナンバー2、コードネームクライン。遅くなったなァ、キリト」
「キリト親衛隊ナンバー1にして総帥、コードネームアスナ。
キリト君のバグ、もといケットシー化を目するため参った!!」
バーン!!と効果音付きで現れ、コードネームを名乗った5人を見て、キリトはふむ、とうなずいた。
「で、簡潔にいうと?」
「「「「「キリトのネコミミ天国があると聞いて」」」」」
「よし全員そこになおれ。エクスキャリバーと俺の剣でスターバーストストリームできるかやってみる」
キリトはゴゴゴゴゴと背中に効果音をつけ、エクスキャリバーでトントンと肩を叩いた。
「そんな!せめてスクショさせてくださいキリトさんっ!!」
シリカの潤んだ瞳で繰り出されるネコミミピコピコ攻撃にも屈しない。
だって今ピンチなのはどう考えても俺だからね!
「キリト・・・アンタ、私に絶対やらせないといけないことがあると思うのよ」
シノンの言葉に、キリトはきょとんとして首をかしげた。
その際にキリトのネコミミがぴこぴこと揺れたのを見て、シノン以外のメンバーは吐血した。
「ちょっとこっちきなさい。来ないとぶった切るわよ」
「こわっ!」
「はやく来なさい」
断れる雰囲気でもないため、キリトはおずおずとシノンに歩み寄った。
シノンはフンと鼻を鳴らすと、ぎゅうっとキリトの尻尾を握った。
「ふぎゃああああっ!!!!」
キリトはビクゥッ!!と肩を揺らした。
シノンはそれでも離さず、キリトの尻尾をぶんぶんとつかんで振ったり、揉んだりした。
キリトは膝の力が抜けて、へにゃへにゃとその場にへたり込んだ。
涙目になり、『すっごい変な感じ』を味わわされて、キリトは声にならない声を発した。
「ひゃ、はな、んんんーーーーっ!!!」
シノンに尻尾を解放されると、キリトは顔を赤くして涙目で怒った。
「何するんだよ!!」
シノンはしれっとして
「おかえしよ」
と腕を組んだ。
あぁ、そういえば何度も尻尾握っちゃったよなぁ、もう二度としないようにしようと心に決めて、メソメソと泣いた。
「――――シノンを神とあがめましょうみんな・・・」
リズの一言で、ほかのメンバーがシノンをあがめている。
変な宗教に出会ってしまった俺は、その場から逃げようとしたが、まぁ逃がしてもらえるはずもなく。
「キリトくん、どこへ行くのかな?」
見事に総帥につかまった。
「え、あの、バグは早く運営に提出しなきゃなって」
「じゃあ、参考資料は多いに越したことはないわよね」
「いやもううちの妹がこれでもかって程撮ってるんで」
「私は撮ってないよ???」
アスナのにっこりとした黒い笑みをみて、そうそうに脱出をあきらめた。
「キリトくんのケットシー姿、一回見てみたかったんだぁ・・・」
恍惚とした顔をしてスクリーンショットを撮るアスナさんに若干ひきつつ、俺は救いを求めるように愛娘の姿を探すが、姿が見えない。
「あれ?いつもならユイが俺を助けてくれるはずなのに・・・」
そんな不安を抱く俺を見て、アスナは安心したように笑った。
「大丈夫よキリトくん。ユイちゃんは無事よ」
「は?え?ぶ、じ?」
そこはかとなく不穏な響きだ。
「キリトくんには、あとでたーっぷり、自分のケットシー姿を見てもらうからねぇ・・・うふふふふふ・・・」
ユイはどこかに幽閉されているらしいと悟ると、いよいよ俺はこの場を切り抜けなくてはならないと察するが、クラインが次は邪魔をしてきた。
「きーりとっ」
語尾にハートをつけてそうな声で言われ、おそるおそる振り向くと、そこには『イベント限定!メイド服』と書かれた装備を手に持っているクラインと目があった。
「ね・こ・み・み・め・い・ど♪」
ひょこっとクラインの後ろからリズベットとシリカが顔を出す。
「着てくれるわよね、キリト」
「なんたってキリトさんですもんね?女の子のカワイイお願い、断ったりしませんよねー?」
「キリトは男の子だもんな?着れるよな????なぁ???」
クラインの笑顔に気圧された俺は、内心でこう思った。
人はそれを脅迫と呼ぶんだぜ、と。
俺は無理無理と首を振りながら、近づいてくるクラインを見て、ぎゅっと目を瞑った。
その時――――――
「大丈夫ですかパパッ!!!」
バンッ!とドアが開かれたかと思うと、人間サイズのユイがこちらに向かって走ってきた。
「ユイちゃん!?なんでここにッ!」
アスナが焦ったようにいうと、ユイは当たり前ですとでも言わんばかりの顔をして、
「これでもAIです。複雑に暗号化された扉を3つ開けるぐらい、15分もあれば簡単です」
キリトはユイをがばりと抱きしめた。
「さすがユイ・・・マイエンジェル・・・っ」
「パパ、怖かったでしょう・・・さぁ、今のうちにログアウトしてください!!」
ユイがそういうと、キリトはこくりと頷き画面を開いた。
「そうはさせるかぁ!!」
「まだまだ撮り足りないですよキリトさん!!」
「猫のつらさ、味わうといいわ・・・」
「キリの次のネコミミメイド・・・見るまで死ねねえよなぁ、オイ」
「キリトくんはまだ私にいろいろ見せてくれるよね?ね?」
「お兄ちゃん・・・にゃんこおにいちゃん・・・どこぉ・・・どこにいるのぉ・・・」
「「ぎゃあああゾンビーーーっ!!!!!」」
ユイとキリトはゾンビと化した6人を見て、抱き合って悲鳴を上げた。
「パパ、はやく!!」
「うぉおおおおおログアウトぉおおおおお!!!!!」
ぽちっ。
ぱちり、と目を開ける。
自分の薄暗い部屋をゆっくり見渡し、キリトは安堵のため息をついた。
「さぁて・・・・・・・・・・・ユイ、聞こえるか?」
『はい、パパ。無事帰還できたんですね』
「おう。で、相談なんだけど」
『なんでしょう』
「ちょっと運営に反省文書かせねぇ?」
『そうですね、私もそうするのが最善策だと思います』
「俺さ、ユイ」
『はい、パパ』
「友達ってなんだろうなって、最近よく考えるんだ・・・」
『パパ、私がいますから・・・』
それから、施錠済みの部屋のドアをたたく妹を無視し、ユイとともに運営にメールを送った。
今回のバグを詳しく書いた内容と、
「激おこだお(#^ω^) 」
というこれ以上ないメッセージを添えて。
猫耳がついたようです。
(運営、次はねぇぞこのやろう)
END!
――――――――――――――――――
キリトくんのバグシリーズ第3弾!
楽しい。すごい楽しい。どうせ運営次もやらかす。
ところで、その幻想をぶち壊すってのいうのは分かる人にはわかるネタです。
クロスオーバーやっちゃったからほんとになんにも怖くないですね!
キリトくんのケットシー姿真面目に見たいんですけどどこでみれますかね?
ありがとうございました!
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[mokuji]
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