寒くて耳が痛い 3

「へっ?え、でも、キリト君とも回りたいっていうか・・・」

「お兄ちゃんは買うものがあるらしいですよ!女の子にはあんまり見られたくないものとか!」

「は?え、俺そんな事いってな「ね、お兄ちゃん!!」

にっこりとした笑顔ですごまれては、こくこくと頷くしかない。

「じゃ、そういうことらしいので行きましょうアスナさん!」

「うぅ・・・キリト君の見せられないもの気になる・・・みたい・・・」

ぼそぼそとなにやら言っているが、聞こえないフリをしたほうがよさそうだと判断する。
やはりいい判断だった。GJ私。

「じゃ、わたしたちコレでいくから!
知らない人に声かけられてもついてっちゃだめだからね!」

そういって、アスナの手をひっぱっていく直葉。
その光景を見て、ため息をつくキリト。


「・・・俺をなんだと思ってるんだ・・・」





さて、ところ変わってデパート内。
今の時刻は午後2時である。
クリスマスシーズンと言うだけあって、
店内はどこもかしこもサンタやリースなどで
飾り付けられていた。

「・・・えっと・・・耳あて、耳あて・・・っと」

きょろきょろとあたりを探してみるが、
ここの階はどうやら食品がメインで、衣類は
ほとんど売っていないらしい。
上に行ってみるか、とエレベーターまで行ったところで、
またもや知り合いと会ってしまった。

「え、エギル?」

「お、キリトじゃねぇか。どうしたんだ、こんなとこで」

「それは俺の台詞だ・・・あぁ、なるほど」

エギルの両手には、これでもかというぐらいの食材の数々。

「買いだしか。確かに今日は特売って言ってたな」

「おうよ。今度の・・・」

ニカッと笑っていたエギルが、
俺をみて顔をそらした。

「あー、そういや、そうだったな・・・」

「?」

「いや、なんでもねーさ。それより、お前はなんで
ここにいるんだ?」

「え?あ、俺は・・・」

そこまで言いかけて、はっとした顔になったキリトは、
ぷいっとそっぽを向いた。
いくらエギルとはいえ、これをいうのは恥ずかしい。

「なんでもない。ちょっと買いたいものが
あっただけだ」

「ほぉー。その割にはなんかありそうだが」

ニヤニヤした顔で言われては、隠し通すしかないと思う。
からかわれることは目に見えている。

「じゃ、俺買いに行くから」

「ついてってやろうか?」

「いーよ。そんだけ荷物もってたら動きにくいだろ。
それに一人でいい。ぜったい一人がいい」

そうきっぱりいうと、苦笑したエギルはやれやれと首を横に振った。

「そーかい。じゃ、また店でな」

「おー」

降りてきたエレベーターに乗り込んで、
エギルと別れた。


それにしても、今日はよくいろんな奴にあうなぁ、などと思っていると、
衣服や雑貨のあるフロアへと着いた。

耳あてはもちろん黒のものを、と決めている。
あとは金額と、自分の耳にあうかなど、最低限のことを確認して買ってしまいたい。

このままここにいたら、
まだ会っていないあいつにも会ってしまいそうだ。

そんなことはありえないだろうな、
とくすくす笑うと、トンと誰かが俺の肩を指で叩いた。


「?・・・なっ・・・!!」



振り向いた先にいたのは――――――







「よぉ、“黒の剣士”。ずいぶんと無防備なこったな」







見たくはなかった、予想もしていなかった奴だった。

[ 6/114 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -