誕生日の裏の話

※キリト君とユイちゃんしか出てきません。

とりあえずみんなキリト君によこしまな気持ちしか抱いてなかった話。

今更気づいても遅い。









「なーユイ」

「なんですか、パパ?」

誕生日会が終わった後日、俺は空いた時間でALOに来ると、ユイと一緒にごろごろしていた。

「とつぜんなんだけどさ」

「?」

「昨日、ユイが俺のほっぺにキスしてくれたときにさ、
頬にするキスの意味は、『親愛・厚意・満足感』っていってたよな?」

「そうですよ」

えへへっと笑うユイ。

「それってさ、ほかの場所とかでも意味あったりすんの?」

「はい、もちろんです!お応えしますので、
言ってみてください!」

そういわれたので、じゃあ最初にキスされたところから聞いてみるか、
と口を開いた。

最初はリズだな。
本人は気づかれてないつもりだったけど、
髪にキスしてた。

「じゃあ、髪にキスってどういう意味なんだ?」

「髪は『思慕』・・・恋しいっていみです」


ぐふぅ!!


俺は思わず寝転んでいたところから起き上がった。

「ごっほごほ!!!」

「大丈夫ですかパパ!」

「だ、大丈夫だ!次だ!」

つ、次はシノンだな!腕だな!

「う、腕はどうだ!?」

「腕ですか?『恋慕』です!」


ゴフャアアアア!!!


「パパァ!!」

「安心しろ大丈夫だ!!!!
次、次だッ!!」

次、次って誰だっけああアレだサクヤだな!

「ゆ、指先」

「指先は『賞賛』です!」

よ、よかった!何が良かったのかわかんないけどよかった!まだ!

次はアリシャだったよな・・・!?

「鼻梁・・・なんだけど」

「鼻梁は『愛玩』です」


ぐっはあぁあ!!!!


全然大丈夫じゃなかった!!!

愛玩って何!?俺なんだと思われてるの!?

何あの人怖い!!


もうここまで来たら全部聞かないと逆に気になる!

ユイも俺からただならぬ気配を感じ取ったのか、

なぜか臨戦態勢を構えている。

「さぁ、パパ!まだまだですよ!」

「お、おう!!ここまで来たらやってヤンヨォ!!!」

次は誰だったかな・・・アッ
ユージーンだった!!やばい嫌な予感しかしない!!

「つ、次は手のひら―――――」

「掌は『懇願』ですパパ!!」

何を懇願されてるんだ俺は!?!?

あのユージーンから何を懇願されるんだよ!!

だめだ顔が赤くなってきてるはずかしいはずかしい!!

次はシリカだ!

今度こそまともなのであってくれよ・・・!

「瞼はどうだユイ!」

「瞼は『憧憬(どうけい)』!憧れることです・・・!よかったですねパパ!!」

俺、思わず涙目。

「ふぇっふえっ」

「パパ、気をしっかり!」

「・・・まだだ・・・まだ終わらんよ・・・!」

「パパ、死亡フラグ立てちゃだめですうう!!」

ハッとしたところで、体勢を立て直す。

「つ、次行くか・・・!」

「パパ、気をしっかり!」

同じセリフを2回も言うなんて、ユイも相当動揺してるんだな。

うん、わかる。わかるぞ。

次はエギル、だな。

まぁエギルは大丈夫だろ。

奥さんいるし、額の意味って確か・・・

「次は額なんだけどさ、」

「額は『祝福・友情』ですよ!」

「俺、今ほどエギルに感謝したことないわ・・・」

とてつもない安堵を覚えつつ、さらに記憶をめぐらせる。

次は、直葉だな。

「えーっと、確かスグは手の甲だったかな」

「手の甲は『敬愛』です。さすがリーファさんですね!」

「おにいちゃん今すごく感動してるぞスグ・・・!!」

いけない、また目頭が熱くなってきた。

いやでもあれだよな、生クリームうんたらかんたらとかなんとか言ってた気が・・・
いや、だめだ。思い出すな俺。
今は安堵をかみしめるべきだ。

「で、次はユイだったな」

「頬へのキスは『親愛・厚意・満足感』ですからね、パパ」

「俺もうユイ以外信じない・・・」

「パパ、生きてください!!!」

「勝手に殺さないで・・・」

なんかもうここらへんですごい疲れてるんだけど。

でも、まだ最後の2人が残ってるんだよな・・・

「クラインさんとアスナさんですか?」

「そうなんだよ・・・・・・・って、へ?」

「みんなの前であれだけちゅーしてたんですから、さすがに覚えています」

「!?!?!?!?!?」


ど、どういうことだ!?

だって、クラインが俺によってきて・・・
そのあとでアスナが・・・

「パパは覚えてないんですね。
あまりにショックが大きかったんでしょうか。
クラインさんとアスナさんにちゅーされた後、パパ床にへたり込んじゃって。

皆さんの見てる前で泣き出したんですよ?」

「えっええええええ!?!?!?」


なんだそれ!!!
全然覚えてないぞ!?


「やっぱり忘れてるんですね。

あれは忘れたほうがパパのためかもしれないですねぇ・・・」

遠い目をして言うユイに、

「ち・・ちなみに、
耳、とか、く、口とか、首、は?」

あと一歩で泣き出す寸前まで来た俺は、最後の救いを求めて真っ赤な顔でユイに問う。


「・・・耳へのキスは『誘惑』、

首へのキスは『欲求』、

口へのキスは『愛情』です」




その瞬間、俺の涙腺は完全に崩壊した。



「パパ――――――――――ッ!!!!」




耳まで真っ赤にして泣き続ける俺は、
悪くない。

絶対、悪くない!



「もうだめ・・・恥ずかしくて死ねる・・・!!」





それからしばらく、ALOに顔を出せなかったのは言うまでもない。





END!



―――――――――――――――

キリト君がみんなに愛されすぎてるのを自覚する話。

『キス22か所』というのを参考にしました。

誕生日の話をあんな感じで切ったのは、
この後日談につなげるためでした!

いやぁ、キリト君愛されてるねぇ!

そんな愛されてるキリト君をみることが私の至福です!(いい笑顔)

[ 29/114 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -