寒くて耳が痛い 1

「〜〜〜!!寒い!!」

がらん、と音を立てて
ファーストフード店の外に出てきたのは、
マフラーに黒いコート姿のキリトこと桐ヶ谷和人。

「お兄ちゃん、手袋ないなら私の貸そうか?」

こちらはぶるっと肩を冷気に震わせた、妹のスグこと桐ヶ谷直葉。

「いいよ、お前が寒いだろ。俺はいいから、スグがしててくれ」

あぁ、お兄ちゃんって優しいなぁ、と心の中で思うと同時に、
そんなお兄ちゃんのほっぺを赤く染める凍える風GJ!!
とか小さなガッツこぶしを作ってみる。
と、そこへ現れたのは、

「・・・あれ?キリトじゃん!」
「キリトさん!?わぁ、ほんとです!!こんにちはっ!」

「よ、リズにシリカも買い物か?」

にこっとお兄ちゃんが微笑む先には、
かわいいピンをピンクの髪にしたリズさんと、
ツインテールにもこもこのマフラーをしたシリカさん。

「こんにちは、リズさん、シリカさん。
お二人もお買い物ですか?」

お兄ちゃんの隣には私もいるんだから!アピールを
しっかりしつつ笑顔で二人に話しかける私。

「こんにちは、リーファちゃん・・・じゃなかった、直葉ちゃん」

リズさんもしっかり笑顔である。
くっ、これが大人の余裕だとでも言うのか・・・!!

「直葉って言いにくかったらリーファでいいですよ」

「うーん、じゃリーファちゃんって呼ぶね。あたしらもリズとかシリカだし」

「ごめんね、なんか慣れなくって・・・」

えへへ、と顔をほころばせたのは、
シリカさんだ。もこもこのマフラーに顔をうずめた
彼女はとてもかわいらしい。
だがしかしちらりとお兄ちゃんを
上目づかいで見るところとか狙ってますね確実に。
あざとい。あざといですシリカさんちくしょう。

「二人は買い物に来たのか?」

お兄ちゃんが口を挟む。
一応は女性たちの昼ドラオーラが拡散したようだ。
さすが天使。うちのお兄ちゃんマジ天使。(大事なことなので2回ry)

「そうなんですよー!リズさんに買い物付き合ってもらってたんです!」

「なに買ったんだ?」

「えっとですねぇー、もうすぐクリスマスなので、キリトさんにんむむむむ!?」

「あー!!なんでもないから!!(バカ、まだ黙ってなきゃだめでしょ!)」

シリカさんの口をふさいだリズベットさんが
小声でぼそぼそなにやら言っているが、
とりあえずお兄ちゃんに何か買ったらしいことは
よくわかった。

「じゃ、あたしたちこれで行くから!またね!!」

脱兎のごとく去っていった二人を見送っている
お兄ちゃんは、首をかしげて頭にはてなを浮かべていた。
さすが天使。お兄ちゃんは穢れ無き天使だ・・・!

と、そこへ。

「・・・キリト?」

綺麗な透き通った声。

「!シノンか?うわ、かっこいいなお前・・・!」

「シノンさん、素敵です!どうしたんですか、
その格好!」

私たちが目を丸くしたのは、
メガネをかけ、黒と青のボーダーロングニットを着て、
その上から黒のダブルボタンコートをはおり、
群青の袖がくしゅっとなっているレギンスパンツを履き、
少し青に近い水色のパンプスを履いている、
シノンさんだった。

・・・なんてかっこいいの・・・!!

やばい。これは男でなくても惚れる。
大人の女性っていうよりは、
まだ幼さを残した高校生だからこそできる着こなしといえよう。

「あ、このかっこう?冬用の服が特売で安かったから、お店のひとについでにコーディネートしてもらったら、こうなったの。
私的には、パンプスより歩きやすいスニーカーのほうが
よかったんだけど・・・変じゃない?」

ぶんぶん、と私は首を振った。

「全然、そんな事ないです!!
むしろすごく似合ってますよシノンさん!
うらやましいです」

正直な感想を述べると、
シノンさんは目を細めて微笑んだ。

「・・・ありがとう。それより、こんなところで会うなんて偶然だね。二人ともどうしたの?」

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