お前等はどうして 2

キリトが叫ぶ。

男は・・・霧散していなかった。
ガタガタと震えて目を見開いている男が、
困惑した表情を浮かべている。


「・・・今日だけだ」


PoHの一言に
キリトはほっとして、緊張は解かないまま安堵した。

「だが」

安堵したのもつかの間、PoHが
発した声に、その場がまた凍りついた。

「忘れるな。礼は、してもらう」

にやりと笑うPoHに体がぞくり、と震えた。

「・・・わかった。だけど、まずは『ソレ』おろせよ。
・・・あんたたち、自分で牢獄行ってくれるよな?」

男たちに話しかけると、
ザザとジョニーに捕らえられていた4人と、
PoHに殺されかけた男はすぐに首が千切れそうなほど首を縦に振った。

そして、男たちが急いで監獄に自分で投獄したのを
見届けてから、俺はふぅ、と息をついた。


「・・・気は済んだか」


冷たい声で問われれば、
頷くしかない。

「あーあ、つっまんねーなーオイ!
キリトさん、甘すぎっしょー、
あークソ盛り上がんねー!マジ萎える」

つまらなさそうに言うのは、ジョニー・ブラック。

「・・・お前は、反吐が、出る程、甘い」

赤い目を光らせて仮面の下から声を漏らすのは、ザザ。

「うるせェぞ、殺されたいのか」

PoHの一言で、すんませーん、と謝るジョニーと、無言になるザザ。

「礼は、する。できることなら。
助けてもらったのは確かだし・・・な」

しょぼん、という顔をするキリトに近づき、
顔を耳に寄せてささやく。

「わかっているならいい。
すぐに、自分から俺へ侍り(はべり)たくなるようにしてやるよ」

甘く、とろけるような声と、
フードの下から覗く美貌に、危うくひざが落ちるかと思った。

なんで因縁の相手に対してこんなにも甘い声が出せるんだろう。
俺とPoHは、すぐにでも殺しあってもおかしくないのに。

「うぁ、PoH・・・ッ」

ザザとジョニー・ブラックがこちらを見ているのも
お構いなしに、耳にキスを落とす。

「なん、で、こんなことするんだよ・・・」

頬があつい。
PoHの舌が首をなめると、びくっと体を震わせた。

「お前は黙っておとなしくしてろ」

「おとなしくって、こんなの・・・ひぁっ!」

目を見開き、思わず出てしまった女のような自分の声に
顔がまた熱くなる。

「・・・見られて感じるとはな」

クク、と笑う声がした。

「ちが、やだ、みるなぁ・・・!!」

わけのわからない気持ちよさと、
ザザとジョニー・ブラックに見られているという気恥ずかしさで、
目に涙が滲んできた。

「・・・ヘッド、俺、ヤバいんすけど」

麻袋の下からはわからないが、
きっと顔を歪ませていることだけは確かだろう。
なにせ、男同士でこんなことをしているのだ、気持ち悪いと思うのも当然だ。

と、考えていたのに。

「マジ、ヤりてぇ」

ぞくぞくっと、俺の背中に何かが
駆け巡った。
先ほどの男たちと同じようで少し違う感情だった。

「な、え?なんれ、んんふ!!」

口の中にPoHの2本の指が入れられ、かき混ぜられる。
必死に服をつかんで崩れ落ちないように
しがみつくが、
キスとはまた違った感覚に、対応できるほど
経験をつんでいない俺は、
崩れ落ちないようにするのが精一杯だった。

「・・・蕩けた顔を、するな」

ザザが俺の顔を見て言った。

「ふ、ぁ、は・・・っ!」

とろとろと唾液がPoHの指を伝う。
存分に俺の口の中をかき回した指を
引き抜き、PoHは俺の目の前で、その唾液のついた指の1本を
自分の舌に絡ませた。

「!?!?な、なにして」

「味見」

即座に返ってきた答えに顔を真っ赤に染め上げ、
つかんでいたポンチョの袖を勢いよくはなした。

「Oops!(おっと)」

綺麗で長い指についた唾液を綺麗に
自分の舌で掬い取ったPoHは、にやりと顔をゆがめて笑った。

「どうしたキリト。顔が赤いぞ?」

「うるさいっ!お、お前が、こ、こんなこと、するから・・・!」

「ククッ。じゃーな剣士様、今日はコレだけで見逃してやるよ」

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