おめでとう 3
「キリト!」
振り返ると、片手に酒を持ったクラインが揚々と歩いてきた。
「どうだ?飲んでっか?」
「あぁ、飲んでる飲んでる」
適当に相槌をうつ。
「つれねーなー!たまにはお前ももっと飲めよ!」
あ、だめだこいつ。
ALOでは酒では酔わないが、雰囲気に酔うということはよくある。
これだけ大騒ぎしている中で、アルコールは含まれていないとはいえ、
酒を大量に飲んでいるのだ。
それはまぁ、酔うだろう。
特にクラインは。
「わーったぞ!俺が飲ませてやりゃいいんだな!?」
キランと光った眼は、完全に酔っていた。
「ほら、キリトこっち向け!」
「や、やだよ!」
このパターン、前にもあったもん!
直接ビンごと口突っ込まれる!
あのときは、あまりにも量が多くてむせてひどい目にあった。
「またむせるだろ!」
俺が睨みつけながら言うと、クラインは笑って
「あ!?あー、安心しろ!今回はむせねぇよ!」
といった。
なんで根拠もなくそんなことが言えるんだ!
そう言おうとして口を開くと、
おもむろにクラインはビンを自分の口へ持っていき、ぐいっとあおった。
―――――結局自分で飲むのかよ!
それはそれでさみしいものが、と思っていると―――――
唇が、ふさがった。
「!?!?!?」
俺は一瞬理解できず、目の前が真っ白になった。
そして、口を割って流れてくる液体の味を確認した瞬間、
顔が真っ赤になった。
むせないって、そういう意味でかよ!!
口の中に完全に液体がわたってから、
しばらく口を犯していた舌が出て行って、
ようやく息を吸い込めた。
「むせなかったろ?」
と、したり顔で言うクラインに赤い顔をしながらもにらみつけるだけにとどまった俺は褒められてもいいと思う。
「ちょっとクライン、ずるいわよ!」
俺の後ろから聞こえる凛とした声は、
俺の隣に来たかと思うと―――――
―――――耳元で、甘く囁いた。
「私だって、キリト君とキスしたいわ」
そうささやいた後、耳にキスが落ちた。
・・・全身が崩れ落ちるかと思った。
びくりと身震いをさせ、声のしたほうを見る。
「あ、アスナ・・・」
「キリト君、私のほうに全然来てくれないんだもの。
待ちくたびれちゃったわ」
クスリ、と笑うアスナは綺麗で、
でも、俺は知ってる。
「アスナの変態っ!」
涙目になっていうと、
「褒め言葉だって言ったはずよ?」
俺は耳でささやかれるのが弱いということを、アスナはしっている。
耳でしゃべられるとくすぐったくって、全身の力が抜け落ちそうになるのだ。
「キリト君、クラインにばっかりずるいわ。
私にもキスしてくれるでしょ?」
「俺がしたわけじゃないのにこの仕打ちだよ!ひどいよ!」
思わず叫ぶと、
「あぁ・・・そんなキリト君もかわいい・・・」
とため息交じりに恍惚として言われると、
これはもう引くしかないよな、うん。
これが美少女だから余計にたちが悪い。
「ねぇ、キリト君」
ずいっと迫られ、俺が後ろに下がろうとすると、クラインが後ろから抱きしめてきた。
「キリト、俺もまだたりねぇ」
―――――こいつ、絶対酔ってない!
逃げ場をなくした俺は、おとなしく(観念して)クラインの腕に収まった。
「あら、素直ね」
アスナが拍子抜けしたように言った。
「悟ったんだよ・・・」
そういうと、唇にアスナの唇が触れた。
おとなしく目を閉じると、一層深く唇が重ねられ、舌まで入ってきた。
抱きしめているクラインが、俺の首にキスを落とす。
足ががくがくとなるが、しっかり抱きしめられているため、崩れ落ちることはない。
「ふぁ・・・」
思わず漏れた自分の声に赤面しながら、
俺は思うのだった。
・・・こんな誕生日も、いいかなぁ、と。
END!
―――――――――――――――
キリト君誕生日おめでとおおお!!!!!
ギリギリ間に合ったねセーフ!
今これ書いてる時点で2013'10'07の
23:23っていうね!
アッブネ!
キリト君大好きだよおお!
そういえば現実ではキリト君は5歳ですね。
「おれ、きりがやかじゅと、5しゃい!」
・・・あ、だめだ鼻血てた。
これからもめで続けるよキリト君!
お誕生日おめでとう!
2013'10'07!
後日談も書きますよ・・・!
[ 28/114 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]