クリスマスパーティ! 7

「・・・・・・・なんだよ、これ」


辺りはすでに暗くなっていた。

にもかかわらず、キリトが降り立った場所はとても明るい。


「・・・きれいだ・・・」


思わず目を見開く。

エギルの店は綺麗に装飾されていた。

それはもう、見とれてしまうほどに。

電飾で飾られ、外にはにっこり笑った雪だるまがいた。


ここ、ほんとにエギルの店なのか?


そう思ってしまうほど、キラキラと輝いていた。

しばらくぼぉっとしていると、はっと我に返った。

みんなもう待ってるよな・・・

俺は、綺麗に飾られたエギルの店の階段を上っていった。

ドアノブに手をかけて、少しためらってからまわす。

すると、ドアは簡単に開いた。

中からもれる明るい光に一瞬目を細めた後、
一歩中に入る。

そして――――――――――――




「「「「メリークリスマス、キリト!!!」」」」




ぱんぱんっ!!とクラッカーのなる音。

聞き覚えのある声が、複数重なって大きく響いた。


「・・・・・・・・へ?」


俺はびっくりして立ち尽くした。
だが、その驚きは俺に考える時間をとらせてくれなかった。

「はいはい、主役はこっちねー」

「キリトさん、最初はこれを着てください!」

「主役は一番派手にするモンだぞ、キリの字!」


リズベット、シリカ、クラインに背中を押され、
用意されていたらしい服を渡され、わけのわからないことを言われた。

「え、ちょ、これはどういう・・・」

「「「いいから早く着替え(てください・ろ)!!」」」

「は、はい!」

押し込まれた部屋はうっすら明かりがついていて、
かろうじて周りが見えるぐらいだった。

「なんなんだ、一体」

首をかしげている暇もなく、
渡された服をおとなしく着る。

「なんだこの服・・・まさか、下がない!?」

驚いて声をあげるが、着るのを断るのも後が怖い気がして、
仕方なく袖を通す。

「下がスースーする・・・っ」

俺涙目である。(´;ω;`)ブワッ

靴下もセットらしい。
いくらなんでもこのままでは寒すぎるとおもい、
やけに長い靴下を履いていく。
これは・・・ニーソックスという奴か。

なんでこんなことに・・・と涙目ながらに服を着ていく。

「お、おい・・・着たぞ・・・?」

手袋や短パン(一応あったらしい。ありがたい)などを身につけ、
恥ずかしさに耐えながら外に出る。

「おー、終わったか・・・・・・っ!!!」

一瞬にして、その場の雰囲気が変わった。
外で待機していた3人が倒れたのである。

「なん・・・だと・・・!!」
「想像をはるかに凌駕する・・・これがキリトさんの力・・・!!」
「サンタは居たんだ・・・俺にプレゼントをくれたんだ・・・!!」

3人は床に崩れ落ちながらも何か言っている。

「お、俺どんな格好してるんだ!?
やっぱり変なの着せたのか!?」

俺はあわてて自分の今のアバターを確認した。

「・・・なんだよこれ・・・!」

震える指の先に表示されているのは、
ミニスカサンタ〜ふわもこファーつき〜
である。

どう見たって、男がする格好では断じてないっ!!

「お、おい!!なんで俺がこんな服きなきゃなんねーんだよ!!」

俺が自分の腕を抱えるようにして言うと、
三人はバッと立ち上がっていった。

「作者の都合と趣味とキリトの宿命だからだ!!」

「後半の意味がよくわからないな!!
そして作者にジ・イクリプス!!」

「阻止」
「阻止」
「断固阻止」

「なんなんだこの団結力!」

俺がぎゃーぎゃーわめいていると、
ひょいっと俺の体が浮いた。

「うわっ」

「もう、うるさいわね!さっさと行くわよ!」

「りりり、リズベットさん!?」

なんと、リズが俺を横抱きに(姫抱きだとは言いたくない)し、
軽々と持ち上げたのである。

「嘗めないでくれる?
これでも筋力ステータスすごいあげてるんだから」

そんな事言われても、
男がそうやすやすと女の子に持ち上げられたら困る!

「お、下ろし「却下。逃げるでしょ」

俺涙目である。(本日2度目)(´;ω;`)ブワワッ

「逃げない!逃げないから!!」

「・・・ほんとに?」

返事をする代わりに、真っ赤な顔でこくこくと頷く。

「もう、仕方ないなぁ」

なぜか満足そうな顔で言われ、下ろしてもらう。

「じゃ、行くわよ!みんな待ってるんだから」

正直、行きたくない逃げ出したい。

だが逃げないといった手前、逃げることもできない。

俺は一人で出て行くのはとても恥ずかしかったので、
シリカの後ろにそっと隠れた。

そういえば、リズもシリカもクラインも、
全員がクリスマスにちなんだ格好をしている。

確かにこの中ならば、いつもの格好でいるよりはこういう格好をしたほうがいいのかもしれない。

発想の転換と前向きな思考でこの状況を
自分なりになんとかしようとした結果である。
ちなみに世間ではこれを“投げやり”とも言う。



「あ、ようやく主役が・・・カハァッ!!」

早く出てこないかとそわそわ見ていた直葉ことリーファが、
胸を押さえて必死に何かと戦っている。

「キリト君かわいいいいいいい!!!!!」

アスナ・・・君はそんな子だったかい?

「キリト、なかなか似合ってるわよ」

にっこり微笑むシノン。
なんでそんなに真顔で言ってるんだ。
逆に怖くなるじゃないか。

シリカの後ろから涙目で出てきた俺を、
一体誰が責められるというんだろう。

「おーし、主役はそろったな。じゃ、皆席に着け」

唯一俺の見方で居てくれるであろうエギルが
俺の格好をスルーして回りに呼びかける。

「・・・もうどうにでもなれ」

心のつぶやきは虚空に消えた。

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