クリスマスパーティ! 6

エギルの店のなかでは・・・

「料理上がったぞー!運んでくれ!」

「食材もってきたよー!」

「こっちの飾りつけ、もうちょっと上にしたほうがいいよね?」

「あ、そこもっと左・・・そう!」

「こっちにも飾りくれー!!」

「ツリーの飾り付け終わったわよ!」

集まった皆が、バタバタと忙しなく動いていた。

「皆!もうすぐ4時よ!ペースあげて!」

「「「了解!!」」」

指揮するアスナの周りをふわふわ飛んでいるのは、
AIであり、キリトの娘であるユイと、忙しそうに準備をしている
シリカから離れてのんびりしているピナである。

「パパ、喜んでくれるといいですねぇ」

ユイがそう言うと、ピィッと鳴き声を漏らすピナ。

「今日のために皆さん一生懸命準備してたんですし、
きっと大成功です!ね、アスナさん」

「ふふ、そうだね」

アスナは嬉しそうにパパのことを語るユイを見て、
目を細めた。


キリト君、きっと喜ぶだろうなぁ。


「おーい、アスナ!こっちの料理の味付け見てくれ!」

「今行くー!」

パタパタと厨房に入っていく。



4時まで、あと15分。



・・・・・・・・・・・・・・・・

またまたところ変わって、キリトサイド。



キリトは、困っていた。

なぜなら・・・

「おい、そこの兄ちゃん!
ここの店のワリガモ料理、すげぇうまいんだぜ!
食ってけよ!」

「おやつにゃちと遅いが、うちのイチオシ、
ラックベリーのミニタルト、買っていかないかい!?」

「クリスマス料理なら、どこの店にも負けないよ!
ほらほら、黒服のお兄さん!
アタシの店のふわふわのメルラケーキ、食べていきなよ!」

・・・という、なんともお腹を刺激する
おいしそうな匂いとともに、腕をあっちこっちに引っ張られるのである。

「あの、俺行くとこあるんで・・・」

「彼女とデートかい?
きー!嫌だねぇ、最近のリア充は!」

という、わけのわからないことまで言われる始末である。

「どうしてこんな目に・・・」

そもそもは、4時にエギルの店に着くような時間配分をして、
すこし時間がありそうだったので、
イルミネーションで飾られたいろんな店を見るために
歩いていただけなのに。

「・・・飛ぼう」

げんなりとしたキリトが出した答えは、
空を飛んでエギルの店に行く方法であった。

「これ以上ここに居ても疲れるだけだろうし・・・」

そうつぶやくと、翅を広げ、空へ舞った。


「そういえば、断ったりするのに夢中で目がいかなかったけど、
今日はみんないろんな服着てるんだなー」

最初に会ったアリシャ・ルーはサンタ服だったし、
サクヤはロングドレスだった。
ユージーンは・・・その、さっきのアレだったし。

「町に居る人たちも、服装がいつもと違うな・・・」

空から、近くにあった屋根へと降りると、
きょろきょろと辺りを見回した。
すると、いつもとは違う色とりどりの服を着た人たちが町を行きかっていた。

どれぐらいそうしていたのか、
キリトは4時にセットしていたアラームがなるまで、そこに佇んでいた。

「いっけね・・・っ!行かないと」

翅を広げ空へと飛ぶと、エギルの店へと向かった。

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