クリスマスパーティ! 5

今日は一体なんの日なんだよ・・・
はぁ、とため息をついて考えること30秒。


・・・あ、そっか。
今日クリスマスイヴだった。


ようやく思いついた答えに自分で納得する。

クリスマスソングが流れているのはシーズンだからだろうということはわかっていたが、
そういえば今日だったことを思い出す。

「イヴに一人でゲームか・・・まぁ、
夜になったら直葉といつもどおり二人で食事・・・ん?」

俺の今日の予定をぶつぶつ言っていると、
俺の後ろからざく、ざくと雪を踏みしめる音が響く。

「誰・・・っ!?」

俺が振り向いたときに目の前にあったのは、
さっきのアリシャ・ルーのものとは違う、
赤い服。

「うわあぁっ!?」

「・・・そんなに驚かんでもよかろう」

はぁ、とため息をつく、低い声の男は・・・

「ユージーン・・・
な、なんでアンタがここに居るんだ」

「呼び捨てか・・・いつも通りだな、貴様は。
それから・・・その問いは、すぐにわかるだろう」

「?」

ユージーンを下から見上げて首をかしげる。

すると、ユージーンはなぜか俺から目をそらした。

それにしても、ユージーンのアバターって
すごいいい体してるよなー。
同じ男として、こういうアバターがよかったと思わなくもない。

と、いうかこの男は、寒くないのか。

いまさらだが、俺の目の前に立っているこの男の
服装をまじまじと見る。

「・・・なんだ」

「いや・・・寒くないのかなって思ってさ」

ユージーンのまとっているものは、
やはりサクヤやアリシャたちと同じく、普段とは
異なっていた。

その服装というのも、
赤い色のコートを羽織り、その下はロゼカラーのスウェット、
そして下は赤いズボンとブーツである。
鎧などは必要最低限にしかつけておらず、
剣さえなければ普通にリアルで着ている格好とも
変わらないだろう。

そして・・・いつもつけている鎧がない今、
コートの下から覗く体は、
俺が思わず唾液を飲み込むほどに鍛えられていた。

う、うらやましい・・・!!


そう思って、ゆっくりとユージーンの体に手を伸ばす。

ぺたぺた。

ユージーンの胸板に右手をつけて、筋肉量を確認する。
見ていても相当鍛えている筋肉だとは思っていたが、
アバターに触れると一層わかる。

一体、どうしたらこんなに筋肉がつくんだ!?

アバターとはいえ、こんなのずるい!
俺だって筋力パラメータは常人のソレを超えているが、
ソレとコレとは話が別である。
まさか何か特別なことをしているのか・・・



「・・・おい」



ハッ、と声がしたことにより意識が戻ってきた。
が、もう遅い。


・・・・・・・・しまった。


手を離し、恐る恐る顔を上げると、
そこには眉間にしわを寄せたユージーンの顔があった。


「わ、悪いっ!!!」


顔を真っ赤にして離れる俺。
思わずぺたぺたと触ってしまっていた。
失礼すぎるよな、俺。
もしかして一回首切られたりとかっていう流れに・・・
俺がうつむいて思考をめぐらせていると、
上からため息が聞こえた。

そしてその直後、俺の頭にぽん、と手が置かれた。

おそるおそる顔を上げると、
そっぽを向いているユージーンの顔が目に入った。

「・・・貴様は、一体何がしたいのだ」

貴様と居ると調子が狂う、と言って手を離す。


・・・なんかわかんないけど、許してくれた、のか?


どうやら怒っていないらしいユージーンの顔を見て、ほっと息をつく。

「・・・俺はもう行く。
貴様とはどうせ後で落ち合うことになるだろうが」

「え?ちょっとまった、それ、どういう意味」

「後でわかるといったはずだ。
・・・ここが街中だったことに感謝しろ」

そう言うと、ユージーンは羽を広げて空へと飛び立った。

「・・・ここが街中じゃなかったら、何されてたんだよ俺」

やっぱ首切られてたのか・・・!?

一人不穏なことを考えるキリトであった。


・・・・・・・・・・・・・・

一方そのころ、ところ変わってエギルの店。

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