将来のことは頭にあった。
というかそれはすでに決定事項だったというか、俺にとっては考える必要もないくらい自然なことだった。
俺はFirstnameと一緒になる。
ただ自然なことだったからこそ、まだ目の前には無くて。
遠い先の話だと漠然と思っていた。
だから朧げだった未来の輪郭が見えた時、俺はたまらない気持ちになった。
灯りのついた家で家族が待っている生活。
そしてそれを心の底から望んでいる自分に気付いた。
Firstnameを病院へ送り出したあと、きっと子どもはすごく可愛いんだろうなとか、Firstnameはいいお母さんになるんだろうなとか、そんな事ばかり考えてしまって。
だから会議中に入ったFirstnameからの報告を見たとき、残念に思った。
結局俺はFirstnameに会いたくて我慢できなくて、会議室を抜け出した。
いつでもいいというのは紛れもない本心だ。
でも本当はちゃんとしたいし、しなくちゃいけないと思っている。
Firstnameのことを考えたらそれが当然だから。
だからきっと、これでよかったんだと思う。
「もう少しだけ待ってて」
今はまだ会えない。
でも、その日はきっと来る。
きっと会えると思う。
そう遠くない、未来のどこかで。