「どしたの? Firstnameちゃん」
「6位…」
「ん?」
スマホを持つ手が震える。
「津軽さん! 6位です!!」
津軽さんが私の手元を覗き込んでくる。
「へえ」
彼の目が驚きをもって見開かれた。
「すごい…! おめでとうございます!!」
「初参加で6位かー、ウケるね〜」
「これから忙しくなりますね! ギャルソン服の待受撮影とグッズの打ち合わせと…」
通常業務に加えてのスケジュールになる。
部下としてしっかりサポートしなければ!と気合いを入れた。
「津軽さん、ギャルソン服でコラボカフェに立つんですか?」
「そうみたいだね。詳しいことは聞いてないけど」
「お客さんと写真撮ったりとか?」
「ハグしたりとか」
壁時計が時を刻む音が公安課に響く。
「可愛い女の子がたくさん来るの楽しみだな〜」
「………」
「嘘だよ、Firstnameちゃん」
津軽さんは笑いながら体を寄せてきた。
「ねえ、そんなことより頑張った俺にご褒美ちょーだい」
「ちょっ… 誰か戻ってきたら…!」
んー、と唇を寄せてくる津軽さんから必死に顔を背ける。
でもすでに腰に腕を回されているから逃げることが出来ず、そのままほっぺにキスを受けた。
「Firstnameちゃん」
柔らかい声に呼ばれる。
顔を向けると、津軽さんの口元が綺麗な弧を描いていた。
「ありがとね」
つられて私も笑顔になる。
もう一度、祝福の言葉を伝えようとしたけれど───
それは結局、津軽さんの唇に呑み込まれた。