「ねー、ウサちゃんの好きな男のタイプは?」



ランチの途中で津軽さんのデスクへ呼ばれ、受けたのはそんな合コンみたいな質問だった。



「上司としては把握しておかないとさ」



しかしこれは次の潜入捜査に関わることなのかもしれないと私は姿勢を正した。



「好きになった人がタイプです」

「ちょっとー、その答え方一番ズルいやつじゃん」

「そう言われても本当のことですから」

「じゃあさ、背の高い男と低い男、どっちが好き?」

「どちらでも」

「どっちかって言ったら?」

「…ヒールを履くことを考えたら高い人ですかね」

「髪の毛は? 薄い人とたくさんある人」

「それもどっちでも」

「どっち?」

「…まあ無いよりはあった方が」

「ホクロがあるのと無いのとは?」

「いやどっちでもいいです」

「無いよりはあった方がいいって言ったじゃん」

「それは髪の話でホクロは別に…」

「本当に? それ本気で言ってるの?」

「………」

「ウサちゃん」

「………」

「ウーサ」

「…じゃあ、ある人で」



津軽さんは思案するように腕を組んだ。



「なるほどね。つまり…」



ギッ、と音を立てて椅子に背中を預けて。



「ウサちゃんの好みのタイプは俺かぁ」



うんうんと頷く。



「本当に俺のことが大好きなんだね〜」

「………」



(このやり取りは一体…)



仕事は関係なさそうだった。


けれど津軽さんに絶賛片想い中の私は否定することもできず、抵抗らしい抵抗といえば視線を逸らすことだけ。



「こら。何で黙るの」



反応の悪い私に不満げな津軽さん。



いつも通りといえばいつも通りの、ただの平和な公安課だった。



























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