熱を共有した夜。
心地よい疲労。
暗闇に包まれた部屋。
すぐ近くから聞こえる規則正しい寝息。
背中を向けて眠る、生まれたままの姿のFirstnameに体を寄せる。
広いベッドの上で、閉じ込めるように抱きしめる。
縋るように、細い首筋に顔を埋める。
Firstnameの匂い。
混じる汗の名残。
呼吸に合わせて上下する体。
ぬくもり。
暗闇の中で感じるのは、Firstnameの生命のサイン。
「…生きてる…」
掠れた声は闇に吸い込まれる。
苦しいのか、Firstnameが身じろいだ。
少し体を離すとモゾモゾと動く。
やがて落ち着く場所を見つけたのか、再び静かな寝息を立て始めた。
起こさないようにそっと、また抱きしめる。
セックスをすると生きてる感じがする。
体が熱くなるから。
でも、熱が冷めてもFirstnameはここにいる。
俺もここにいる。
ここで、生きている。
目を閉じればそこはさらなる暗闇。
すべてを呑み込む黒の中で、静かなサインだけが俺を繋ぎ止める。
朝が世界を照らすまでもう少し。
縋るように、腕の中の体にしがみついた。