朝告げ鳥に餌を与えよD
日向「じゃあ……左右田を田中の方へ放り投げる!」
左右田「投げられた俺は標的を田中にするぜ!」
田中「ならば俺様は左右田を押さえ込むぞ」
七海「じゃあ筋力対抗だね」
【筋力対抗】
田中(10)→左右田(4)→80→22→成功!
田中「ふはっ! 赤子の手を捻るが如し!」
左右田「むぎゃあっ」
狛枝「さ、ささ流石たにゃか君だよぉぉ……」
田中「たにゃか言うな」
日向「何とか切り抜けたな……ところで七海、この部屋に台があるって言ってたけど」
七海「うん、あるよ。台の上には紙が二枚あるね」
日向「紙? どうしようか……」
狛枝「じゅっ、重要なじょじょ情報があるきゃも知れにゃいし、見た方が……ひひっ! ぼ、僕なんかが出しゃばるなんて、おお烏滸がましいよね! ごめん死ぬ!」
日向「死ぬな! はあ……まあ仕方ない、此奴等はもう駄目だし、俺が見る」
七海「うん、判ったよ。じゃあ見せるね」
【紙1】
ここは朝告げ鳥の部屋。
朝告げ鳥はここで生活をしている。
朝を告げるのもここ、餌を食べるのもここ。
朝告げ鳥は常に東を向いている。
【紙2】
朝告げ鳥はグルメ。
餌を間違えるととても大変な目に遭うことになるだろう。
決して間違えてはいけない。
餌の種類は以下の通り。
・赤い石:過剰なまでのエネルギーを含んだ、原始の石。
・緑の石:瑞々しい生命力を感じさせる、生命の石。
・白い玉:命そのものを表す、神聖な石。
・黒い石:暴力的な力や畏怖を意味する、制御の石。
日向「すっげえ超ヒントだなぁおい! 答え出てるぞ!」
左右田「日向、キャラが壊れてんぞ」
日向「五月蠅えバーロー! 兎に角、この紙を一応皆に見せるぞ」
七海「許可します」
狛枝「ふひひっ! っ、げほっごほっごほぉっうぇっ」
田中「だ、大丈夫か?」
狛枝「げほっ……あはっ、ごめんね。さっきから変なRPしてたから、喉が……」
日向「そりゃあ、あんな裏声で喋ればな……」
左右田「のど飴やるよ」
狛枝「わあ、ありがとう!」
七海「……」
左右田「? 七海も、ほら」
七海「! ありがとう……」
日向(はっ……何だか立てはいけないフラグが立ったような気がする……!)
田中(日向が凄い顔をして左右田を睨んでいる……一体何事だ……)
田中(……! そうか、理解したぞ!)
田中「左右田よ。日向もその、癒しを齎す甘き誘惑を所望しているぞ」
日向「え、えっ?」
左右田「んだよ、なら言えば良いじゃねえか。ほら」
日向「あ、いや、違……あ、ありがとう……」
田中「ふはっ! 喜べ、脆弱なる特異点よ。この俺様が代弁してやったのだからな!」
日向(違うよ田中……でも飴美味い……)
左右田「あ、田中も」
田中「! あ、ありがとうございます!」
七海(ほんわかしてるなあ……)
――ちょっと休憩――
七海「さあ、続きからいくよ。とりあえず目星して欲しい……と思うよ?」
日向「其処は断定してくれ」
田中「此処は安定の特異点オンリーだな」
左右田「異議なし」
狛枝「僕も」
日向「判ったよバーロー!」
日向の【目星(99)】→100→大失敗
左右田「くけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ!」
田中「そ、左右田が怖い!」
日向「指差して笑うなぁっ!」
田中「これ笑ってるんですか! リアル発狂じゃないんですか!」
狛枝「田中君、覇王キャラが崩壊してるよ……」
七海(まさか失敗するとはなあ……)
日向「な、なあ七海……これ、大失敗だよな……俺、目が潰れたりするのか……?」
七海「凄い発想だね、吃驚したよ。ううん……此処で大失敗するとは思ってなかったから、何も考えてないんだよね……」
日向「じゃあペナルティー無しか?」
左右田「次に目星する時、マイナス補正掛けちまおうぜ」
日向「おい」
七海「うん、じゃあそうしよっか」
日向「おいぃぃっ!」
狛枝「とりあえずさ、今度は三人で目星してみるべきじゃないかな」
田中「どうやらこの俺様が動く時が来たようだな……」
左右田「絶対成功してみせるぜ!」
日向「……」
七海「よしよし」
日向「ううっ……七海マジ天使……」
【目星】
狛枝(75)→99→大失敗
田中(50)→60→失敗
左右田(50)→76→失敗
左右田「くけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ!」
田中「Oh……」
狛枝「んうああああああああっ! 大失敗!」
七海「出目が荒ぶり過ぎるよ……」
日向「狛枝も大失敗か! 仲間だな!」
狛枝「仲間だね日向君っ!」
七海(まさか誰も成功しないなんて……凄いダイス運だなあ)
七海「ううん。じゃあ四人は、何も気付かなかったね」
日向「一体何の目星だったんだろう……」
田中「貴重な情報だったかも知れんな」
狛枝「いや、もしかしたら名状し難い冒涜的な何かに対する目星だったのかも……」
左右田「それなら失敗して正解だったな!」
七海(違うよ……と言いたいけど、ネタバレは厳禁)
七海「もうこの部屋には何も無いけど、どうする?」
日向「目星失敗は痛かったが、仕方ないな……とりあえずさっきの紙を持って、次は階段の下に行くか」
狛枝「僕もそれに賛成だな。日向君の後を、錆びたロボットみたいに付いて行くよぉ……」
日向「緊張症を何とかしてやりたい……」
田中「俺様は左右田を抱き竦め、引き摺りながら日向に付いて行くぞ!」
左右田「俺は暴れながら田中に引き摺られるぜ!」
日向「こっちはこっちでカオスだな!」
左右田「殺人衝動だから仕方ない」
田中「仕方ないな」
日向「まあ、付いて来てくれるだけ良いか……」
七海「皆の様子を想像すると……」
日向「……くっ! やめてくれ七海っ、何かシュール過ぎて笑いそうになる!」
狛枝「うぃーんがしゃんうぃーんがしゃん」
日向「おい其処ぉっ! 変な動きと擬音を付けるなぁっ!」
田中「よっこらせっ」
左右田「ぎにゃーっ」
日向「もうそれ二人羽織じゃないか! 田中の学ランがでかすぎて、左右田の顔しか出てないじゃないか!」
七海「よし、その状態で話を進めようか」
日向「ふぇぇ……」
七海「階段を下りた四人は……地下に行くんだね?」
日向「あ、ああ」
狛枝「がっちがちの身体で日向君にへばり付いて行きます」
日向「おい」
左右田「田中の赴く儘になります」
田中「俺様は日向の命を虎視眈々と狙いつつ付いて行く」
日向「おい!」
七海「じゃあ、四人は奇妙な状態で地下へ行きます」
日向「ふぇぇ……」
七海「下りの階段を下りた四人は……少し開けた部屋に着きます。光が届かないため暗いです。蝋燭が灯っており、この光のお蔭で辛うじて物が見えている状態になります」
日向「何かあるのか?」
七海「奥に鉄製の扉があるだけだね」
日向「扉か……開きそうか?」
七海「鍵が掛かってるね」
日向「鍵って、もしかしなくても果物籠に入っていたやつか。それを使って扉を開けるぞ」
七海「あっ、その前に目星して欲しいな」
日向「うっ、目星か……」
左右田「日向と狛枝はマイナス補正食らうんだよな」
七海「そうだけどね、部屋が暗いから皆目星マイナス20だよ」
田中「えっ……」
狛枝「蝋燭が灯ってるなら、それを使ってみるのはどうかな」
七海「ナイスだよ狛枝君。それならマイナス10にするよ」
日向「でかしたぞ狛枝!」
七海「でも日向君と狛枝君はペナルティー分を加えてマイナス50だよ」
日向・狛枝「 」
【目星】
日向(99−50)→67→失敗
狛枝(75−50)→2→大成功!
田中(50−10)→6→成功!
左右田(50−10)→15→成功!
七海「うん。鍵を開けることで一杯々々だった日向君以外は、扉に警告が書かれていることに気付くよ」
日向「落ち込む」
田中「よーしよし」
狛枝「よちよち」
左右田「よしよし」
七海「よしよーし」
日向「嬉しいが……あ、アンテナがもげる!」
七海「さあ、日向君をよしよししたところで警告文を開示するよ」
【警告】
高貴なる人々が眠る場所。
生きた人間の入る場所でない。
何人たりとも立ち入るべからず。
それでも入りたいというのならば覚悟せよ。
ただし、神聖な果実があれば守りになるだろう。
狛枝「成る程。日向君にも教えるね」
七海「大成功した狛枝君は、驚く程すらすらと日向君に伝えられたよ」
田中「あまり嬉しくないボーナスだな……」
日向「神聖な果実……もしかしなくても:桃」
左右田「それしか見付けてねえし、多分そうじゃね?」
日向「違っていたら凄いな」
狛枝「違っていたらデスシナリオじゃないですかー、やだー」
日向「とりあえず皆、一個ずつ桃を持っておいた方が良いよな」
田中「皆が所持出来る程、桃があったのか」
日向「あっ」
七海「沢山あるよ」
日向「ありがとう七海! じゃあ皆に一個ずつ配るぞ」
狛枝「あああありがとう日向きゅんっ! と言いながらぎこちない動きで受け取るよ」
日向「きゅんやめろ」
田中「俺様は文句を言いつつも、何だかんだで受け取るぞ」
日向「お、おう」
左右田「食べる」
日向「やめろ」
左右田「冗談だって。ぶつぶつ意味不明なことを呟きながら受け取るぜ」
日向「こ、怖い!」
七海「ふむふむ。で、残りの桃は日向君が持つのかな?」
日向「ああ!」
七海「そっか……」
日向(えっ……何あの意味深長な笑み……怖い……)
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