今日は採集の無い自由な日でね。のんびりレストランで朝食を食べていたら、花村君からクッキーを貰ったんだ。
 プレーン味は勿論、ココア味とか苺味とか、色々な味のクッキーがあってね。色鮮やかで綺麗で、凄く美味しそうなクッキーばかりなんだよ。流石、超高校級の料理人だよね。
 でね、僕はそれを大事に永久保存――じゃなくて食べようと、自分のコテージへ戻ろうとしたんだ。そうしたらね、左右田君がプールサイドで泣いているのを見付けたんだよ。
 希望に満ち溢れた超高校級のメカニックである彼が心配になった僕は、どうしたの? って声を掛けたんだよ。すると彼は僕を見て、ソニアさんが田中の野郎と今日デートするんだ――って言いながら、涙をぼろぼろ零して鼻を啜ったんだ。
 何だかとても可哀想でね。あっ、僕如きが左右田君を哀れむなんて烏滸がましいにも程があるんだけども。
 兎に角、何とかして元気付けてあげたかったんだ。僕みたいなゴミ屑に出来ることなんて高が知れているけど、それでも左右田君を放っておくことなんて出来なかったんだよ。
 だから僕はお出掛けチケットを差し出して、彼にこう言ったんだ。


 ――僕なんかで良ければ、愚痴とか聞いてあげるよ。


 ってね。
 普段の左右田君なら、絶対に僕なんかの誘いを受けなかっただろうね。でも精神的に参っていた彼は、僕の誘いを快く受けてくれたんだ! 希望に満ち溢れているよね!
 で、僕は左右田君の大好きな場所――軍事施設へ行ったんだよ。本当は軍事施設ってあまり好きじゃないんだけど、僕如きが左右田君の意志を無視出来る筈がないからね。一緒に行ったんだよ。
 色々探索しつつも最終的には戦車に乗り込んで、僕は左右田君の愚痴を聞いていたんだ。案の定と言うべきか、大半は田中君に対する愚痴だったよ。
 でね、多分十二時くらいになったのかな。時計が無いから判らなかったけど、兎に角お腹が空いたんだよ。
 それは左右田君もみたいで、ダイナーかロケットパンチマーケットに行くかって話になったんだけど――僕は思い出したんだよ、花村君から貰ったクッキーの存在を!
 思い出した僕はクッキーを差し出して、左右田君に言ったんだ。


 ――丁度良いものがあるから、一緒に食べよう。


 って。
 左右田君は何も疑うこと無く僕の差し出したクッキーを食べ、僕も花村君を疑うこと無くクッキーを食べたんだ。
 そう、何も疑わずに。
 食べながら雑談を交わしているとね、何だか身体の調子が可笑しくなってきたんだ。僕も、左右田君も。
 身体の中心が熱くなってきてね、むらむらしてきたというか――欲情してきたというか、勃ってきたというか。勃起してきたというか――そんな訳でね、現在進行形で僕達は戦車の中で蹲っているんだ。
 絶望的だよね!

「――おい、狛枝ぁっ。てめえ、何てものをっ」

 息を荒げながら、左右田君が僕を睨んでいる。顔は怖いけど、今は涙目だから怖くないね。

「ご、ごめんね。まさか花村君が、盛ってるとは、思わなくって」
「花村なら、遣りかねないだろっ。馬鹿っ、鈍感っ」

 薄暗い戦車内でも判るくらい、左右田君の顔は紅潮している。
 熱に浮かされたように虚ろな眼が、何かを強請るように僕を見据えて――いや、いやいや! 僕ってば何を考えているんだろう。
 でも、何だか左右田君がとても厭らしく見えるよ。
 媚薬の効果で身体が熱い所為か、つなぎ服を半分脱いでいて、殆ど見たことのない彼の素肌がシャツの隙間から見えて、凄く凄く美味しそう――って、駄目だ! 落ち着こう僕、落ち着け!
 媚薬効果やばいよ。やば過ぎるよ。そりゃあ左右田君は顔の割にへたれだし、僕の大好きな希望だし、僕より小さくて可愛いけど――男だよ! 男の子だよ! 同性だよ! アウトだよ!
 ああでも、でも――花村君は同性もいける人だったよね。同性愛って普通なのかな、普通なんだね。そうか、きっとこれも希望なんだよ! そうに違いない!
 だから左右田君を食べても問題ないんだ! 凄いよ、希望に満ち溢れているよ!

「こ、狛枝? お前、大丈夫か? 明らかに正気の顔じゃ――」
「――左右田君、僕と一緒に希望を掴み取ろう!」
「は、はあ? えっ、意味が判らな――んっ」

 押し倒した時に左右田君が何か言っていたけど、よく判らなかった。
 そんなことより希望だよ、希望溢れるキスだよ! 左右田君の唇って意外に柔らかいんだね、希望に満ち溢れているよ! 希望だよ!

「あっ、ちょっ――やめっ、こまえ――んんっ」

 左右田君が僕のことを叩いてくる。けど、全然痛くない。媚薬の所為で弱っちゃったのかな、可哀想に。早く楽にしてあげなきゃね!
 角度を変えながら左右田君の唇を啄むと、段々と彼の抵抗が弱くなっていった。蕩けたように潤んだ彼の瞳が、僕にもっとしてと囁いている。
 希望が僕に輝けと囁いているんだ! 希望の希望には、応えなきゃいけないんだよ! だから僕は悪くないんだ!

「んっ――ふ、ぅんんっ」

 半開きになっている左右田君の口に舌を滑り込ませ、彼の舌に絡み付かせた。粘膜と粘膜が擦れ合い、得も言われぬ快感が全身に疾る。
 キスなんて初めてだけど、こんなに希望と快感に満ち溢れているなんて! もっと遣ろう! 希望だよ希望!
 大興奮で左右田君の口内を貪っていると、彼が僕の身体に縋り付き、自分から舌を動かし始めた。凄く拙い動きだけど、僕のことを涙目で見詰めながらしてくるものだから――可愛いよ! これが希望なんだね! 素晴らしいよ!

「は、ぁっ――狛枝ぁっ、んっ――もう無理っ、我慢、出来ねえ」

 何を? と一瞬考えたけど、左右田君が僕の股間を弄ってきたので理解した。判ったよ左右田君! 君が何を望んでいるのか!
 僕が左右田君のつなぎ服を引っ張ると、彼は服を脱がせ易いように身動いでくれた。待っててね左右田君、今僕が君の希望を輝かせるからね!
 つなぎ服を剥ぎ取り、彼愛用の派手なパンツも奪った。そして僕は自分の指に唾液を絡ませ、左右田君の股間に手を伸ばして――彼の御立派様を無視し、大事な穴に指を突っ込んだ。

「んなぁっ! や、違っ――違うっ、そうじゃなくって、あうぅっ」

 左右田君が、僕の頭をばしばしと叩いてきた。左右田君って意外とバイオレンスなんだね! そういうのも悪くないよ!
 頭を叩かれながら彼の中を指で掻き回し、腸壁を押し広げて解していると、左右田君が叩くのを止めて僕の髪を掴み、ぐいぐいと引っ張ってきた。

「ちが、うっ――やめ、変になるから、やめろってぇっ」

 やめろって言われても、そんな淫らな顔で言われても説得力がないよ。
 あっ、判った。判ったよ左右田君! これってあれだよね、ツンデレってやつだよね! 口では嫌がっても、身体は正直ってやつだよね!
 ということは「やれ」ってことだよね、任せてよ!

「大丈夫だよ左右田君、ちゃんと最後まで遣り遂げるから!」
「ち、違うって――ううっ、やだ、やだぁっ」

 引っ張られた所為で髪の毛が何本か逝ってしまったけど、今はそんなことどうでも良いよ。禿げたら禿げた時だよ、運命だよ! その絶望が希望の布石になるんだよ多分!
 指の本数を増やしつつ、ぐちゅぐちゅと中を弄り回していると、感触の少し違う箇所を指が掠め――左右田君の身体がびくりと跳ねた。

「ひぃっ! う――えっ? あ、今の、えっ? やだ、やめ――抜け、指抜けっ」

 酷く焦った様子で、左右田君が僕の身体を蹴り始めた。全然痛くないし、蹴るというか擦り付いてくる感じだし。
 これはもう、もっとしてってお誘いだよね! 僕には判るよ、股間の希望センサーがびんびん反応しているもの!
 左右田君のツンデレを無視し、指の腹で其処をしつこく捏ね回していると、彼の陰茎から透明な液体がだらだら流れ出てきた。
 気持ち良いんだね、此処が性感帯なんだね! 此処が君の希望なんだね! 僕なんかが左右田君の希望に触れるなんて、凄く嬉しいよ!
 さあ、そろそろ彼の真の望みを叶えてあげないとね――。

「――左右田君、君の希望を輝かせてあげるからね」
「ふ――ふぇっ? 狛枝、何を、言ってんだ?」

 困惑する左右田君の穴から指を引き抜き、僕は自分のズボンとパンツをずり下げた。先走りで濡れて気持ち悪かったので、とてもすっきりしたよ。さあ、希望をもっと輝かそうか!
 僕は息も絶え絶えにぐったりしている左右田君の足を持ち上げ、無駄に元気な自身の陰茎を彼の穴に宛行った。途端に左右田君は顔を引き攣らせ、じたばたと暴れ出した。

「やっ――ちょっ、やだぁっ! 何、何をしようと」
「挿れるんだよ」
「は? えっ、えっ――何で、何でっ」
「やだなあ左右田君、さっき僕の股間を物欲しそうに撫でてきたじゃない。つまりそういうことでしょ?」
「ち、違っ、そうじゃなくて、扱き合いを」
「遠慮することないよ! 僕みたいな無能で無価値なゴミ屑は、生温かいバイブだと思ってくれれば良いから!」
「いや、だから、人の話を――んうぅっ!」

 左右田君が何か言い掛けていたけど、我慢出来なくて突っ込んじゃった。
 堪え性が全く無い、最低最悪の屑である僕を許してね左右田君。希望の塊である君なら許してくれるよね! 僕が何したって、希望なら許してくれるよね!

「いっ、つぅぅ――苦し、いっ」

 無理かなと思っていたけど、無理矢理中へ押し込んだら全部挿入ったよ。凄いや左右田君! 希望は希望を飲み込んで、更なる希望へと成長するんだね! 判るよ!
 ぎゅうぎゅうと締め付けてくる熱い腸壁が気持ち良くて逝きそうになるけど、僕には彼の希望を叶えて輝かせる使命があるんだ! まだ逝っちゃ駄目なんだ!
 彼の中を愛撫するように、ゆっくりと腰を振ってみた。いきなり激しくなんて流石に駄目だからね。僕みたいな糞虫が左右田君を怪我させるなんて、死んでもやっちゃいけないことなんだよ!

「やだっ、狛枝ぁっ、動くなっ、てぇっ」

 僕の律動に合わせるように、左右田君の声が途切れ途切れになっている。とても烏滸がましいことだけど、何だか左右田君のことを支配している気分になってくるよ! 烏滸がましいけどね!
 暫く緩く腰を振り、彼の中を陰茎の太さに慣れさせたところで――僕はさっき左右田君が気持ち良さそうにしていた、性感帯らしき箇所を穿つように腰を振ってみた。
 その瞬間、左右田君の身体が面白いくらいに跳ねて、普段の彼からは想像も出来ないくらいの色っぽい声が漏れたんだよ!
 本人も吃驚していたようで、慌てて口を押さえていたけど――遅い、遅いよ左右田君! 僕の脳内レコーダーに登録したからね、君の希望溢れる厭らしい声を!
 ああ――もっと聞きたいなあ。聴きたいよ! 超高校級のメカニックである君の、淫らで厭らしい声をもっと! もっと! もっと!

「あっ、んあぁっ! やらぁっ、こまえりゃ、やめ――ん、うぅっ! もう、もうっ――めちゃくちゃに、してぇっ」

 喘がせたい一心で性感帯を何度も何度も突いていると、左右田君が突然デレた。
 デレたよ! 僕の腰に足を絡めて、自分から腰を振り始めたよ! 流石だよ左右田君、ツンとデレの配分が絶妙だね!
 律動を止めずに、左右田君の汗ばんだシャツの隙間に手を滑り込ませ、僕よりも少し厚い胸板を指で撫でてみる。
 ぷっくりと勃って自己主張をしている乳首を捏ね回せば、彼はシャツ越しに僕の手を握り、もっと強くしてと言うように僕の手を動かし始めた。もっと強くってことかな?
 要求通りに乳首を抓ってあげれば、左右田君が身を震わせながら、艶やかな吐息を漏らした。激しいのが好みなんだね!

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