とある孤独な男の日記

【廃墟にて発見された、古びた日記帳より】




 ○月△日
 絶望がどうのと世間が騒がしい中、超高校級の絶望を名乗る男を捕まえた。縄で縛り上げてな。

 名前は左右田和一(そうだかずいち)というらしい。気狂いのようにげらげらと笑いやがって。五月蝿かったから、無理矢理猿轡をしてやった。
 恨めしそうに俺を睨んでいた。気持ち悪い眼で睨んでいた。むかついたから目隠しもして、ベッドに放り投げておいた。

 これからあれをどうしようか。未来機関に売り渡すのが一番美味しいが、少し楽しませて貰おうか。

 顔も身体も、悪くないしな。




 ○月×日
 飯も食わせて、トイレに行かせた。今のところ暴れたり逃げようとする様子はない。
 が、彼奴のつなぎ服を脱がして乳首を吸ったら滅茶苦茶暴れた。縄で縛り上げてはいるものの、超高校級の絶望だ。何をしてくるか判らない。気を付けよう。




 ○月□日
 今日もつなぎ服を脱がした。風呂に入れる為だぞ。
 で、ついでに胸を揉んだら滅茶苦茶暴れた。だがしつこく何度も何度も揉んでやったら、段々温和しくなってきた。
 素質があるのか、気持ち良さそうにしてやがった。超高校級の絶望だなんて言っても、所詮は人間ってことか。

 身体を洗ってやった後、縄で縛ってベッドに押し倒し、穴ん中に指を突っ込んでやった。
 猿轡のお蔭で増しだったが、五月蠅いの何の。叫ぶわ暴れるわで大変だった。やはり絶望はやばい。
 何とか解してチンコぶち込んでやったけど、始終俺のことを睨んでいやがった。絶望と憤怒ってやつ? すげえ眼がぐるぐるしてて怖かった。
 でも興奮した。中出ししまくってやったら、涙目になってたのが可愛いかったわ。




 ○月▽日
 今日も犯してやった。ずこずこ突っ込みながら胸を弄くり回してやったら、白目剥いてびくんびくんしてやがった。
 それでも俺のことを睨んでくるんだから、結構しぶとい奴だと思う。
 でも身体がすっげえ淫乱だから、何回かきついのをしてやりゃあ堕ちるな。




 ○月○日
 彼奴の乳首とチンコにローター貼り付けて、尻穴にバイブ突っ込んで強さを最大にしてから外出した。勿論、全身縄で縛り上げてな。

 で、二時間くらいしてから帰ったら、奴が精液やら涎やら涙やらに塗れた姿で気絶していた。
 ローター取ってバイブ抜いてから頬を叩いてやると、彼奴は意識を取り戻した。が、俺のことを見るなり「解体してやる」とほざきやがった。
 むかついたのでバイブをまた突っ込んで、最大にしてまた放置してやった。
 今も五月蠅い。猿轡付けときゃ良かった。




 ○月◇日
 昨日酷いことをした分、今日は縄を解いてじっくりねっとり抱いてやった。
 彼奴は困惑した様子で俺を見ていたが、優しく丁寧に犯してやったら、少し嬉しそうにしていた。
 此奴、ちょろい。
 乳首をちゅうちゅう吸ってやったら、何を思ったか俺の頭を撫でてきた。赤ちゃんプレイかっつうの。
 しかし、結構良かった。また気が向いたら優しく優しく抱いてやろう。




 ▽月□日
 昨日ので堕ちかけているのか、あまり抵抗しなくなってきた。
 相変わらず絶望がどうのと呟いているが、彼奴は今の現状が絶望的だから温和しくしているのか?
 それだと彼奴に餌をやってるみたいで、何か嫌だな。
 けど、絶望が嫌がることなんて判らない。何をしても「絶望的だ!」って言って喜ぶドMなんだろ? 絶望って。
 考えるのが面倒だな。

 とりあえず今日は女装させてみた。メイド服だ、メイド服。でも結構良いガタイしてやがるから、微妙な出来だった。
 だが、彼奴が恥ずかしそうにしながら、顔をひくひくと痙攣させていたから、まあ良しとしよう。
 しかし「ご主人様と言え」と命令したら「黙りやがれご主人様」とか言ってきた。生意気だ。
 むかついたので無理矢理チンコしゃぶらせてやったら、彼奴はすっげえ苦しそうにして泣いてた。
 ざまあみろと思ったけど、此奴の歯、よく見たら肉食獣みたいに鋭いじゃねえか。こんな口に突っ込んだの? 俺?
 でも噛まなかったということは、何だかんだで喜んでるってことか?
 絶望の為に? それとも――いや、ないない。




 ▽月○日
 昨日突っ込んでやらなかった分、今日は全身を縛ってからバイブをぶち込んでやった。強さは弱でな。中途半端な刺激がずっと続くように。
 で、放置したまま漫画を読んでいたら、身体を身動かせて「止めてくれ」って泣いていた。
 それでも放置していたら、今度は「もっと強くしてくれ」って強請ってきやがった。淫乱め。
 あくまでも無視を貫いて放置してやったら、最終的には「ぐちゃぐちゃに犯してください」と懇願してきたから、仕方なく抱いてやることにした。
 余程放置プレイが堪えたのか、結構乱暴に突っ込んでやったのに、文句も言わずあんあん喘いでやがった。淫乱め。
 おまけに「もっとして」と強請ってくるものだから、俺の体力がやばかった。若さが羨ましい、妬ましい。




 ▽月×日
 吃驚した。吃驚した。吃驚した。
 帰ってきたら彼奴、家事してやがった。縄で縛ってた筈なのに。
 どうやって抜け出したんだと聞いたら、関節外したとか言ってきやがった。絶望舐めてた。絶望やばい。
 でも掃除とか洗濯とかしてくれてた、料理も。毒入りかと思ったけど、彼奴も食べていたから食べた。美味かった。絶望の癖に。
 しかも壊れかけだった電子レンジまで直してくれていた。何なの此奴、意味判らん。
 絶望を名乗る前はメカニックだったとか言ってるが、そんなことより何のつもりなのかと問いたい。逃げられただろ、何してんだよ。
 で、聞いてみたら「あんたのことが気に入ったから」とかほざいて、めっちゃ怖い顔で笑いやがる。いや、顔は元々怖いんだけどね此奴。
 気に入ったからって、やっぱり此奴ちょろいわ。絶望ちょろい。




 ▽月△日
 今日から拘束するのは止めることにした。多分逃げないだろうと踏んだからだ。
 逃げられても問題ねえし、第一に此奴は超高校級の絶望だ。今は未来機関に追われて、隠れ場所に困っているお尋ね者だし。おまけに俺に懐いてるし、逃げないだろ。多分。
 帰ってきたら「おかえり」って言われて「ただいま」って返すの、何年ぶりかな。悪くない。

 昨日犯せなかった分、今日はたっぷり犯してやった。
 まさか「キスしたい」って強請ってくるとは思わなかったが。だって俺、おっさんだし、不細工だし――いや、何でこんなこと書いてんだ俺。恥ずかしい。いや、日記だから良いんだけど。ああもう!
 とにかく今日は普通の一日だった! 終わり!




 ▽月◇日
 何だかんだで懐かれている。悪い気はしない。今日も美味い飯が食えたし。
 未来機関に売り渡すつもりだったのに、その前にちょっと摘み食いするだけのつもりだったのに、どうしてこうなったんだ。
 絆されてしまっている。完璧に絆されてしまっている。やばい、拙い。
 だって此奴は指名手配中の絶望で、超高校級の絶望とか言われている恐ろしい奴で、人も沢山殺してるっぽい奴で――いつまでも傍に置いておく訳にはいかないだろう。
 だけど、だけど俺は、どうしたら良いんだろう。俺も彼奴を気に入ってしまっている。手放すのが惜しい。出来るなら、ずっと傍に置いておきたい。
 しかし、そんなこと上手くいきっこない。だって相手は未来機関だぜ?
 無理だろ、いつまでも匿うなんて。もしかしたらもう、場所がばれてるかも知れねえし。今は泳がされているだけかも知れねえ。
 どうしたら良いんだろう。
 とりあえず外には出さないようにしよう。今まで通りに。




 □月○日
 あれから何日経ったかな。とりあえず今日も平和だ。いや、全然平和じゃないけど。まだ絶望がどうのと騒ぐ馬鹿が居るし。

 彼奴は絶望に関するニュースをテレビで見ると、愉快そうにからからと笑いながら身体を震わせて「何て絶望的なんだろう」と、陶酔しきった様子で呟く。
 まだ、絶望してるんだな。
 俺との生活に絶望してるってことなのか?
 そりゃそうか、だって毎日のように男に犯されてんだもんな。しかも俺みたいな、不細工なおっさんに。そりゃあ絶望的だよな。
 じゃあ、此奴が逃げないのは、俺が絶望生産機だからか?
 丁度良い隠れ蓑だからか?
 俺は、やっぱり、愛されないのか。




 □月×日
 彼奴を犯しながら、絶望しているのかと聞いてみた。すると「絶望してると思う」って曖昧な返答がきた。
 どっちなんだよ。そう聞いたら「前ほど絶望的に絶望的な絶望はしていない」とか、言葉遊びみたいな答えを返してきやがった。理解出来ない。
 今の生活は絶望的か? 一番聞きたかったことを聞けば、彼奴は「絶望的じゃない、けど判らない」と答えた。判らないって、こっちが判らねえよ。
 でも、良かった。絶望的じゃないなら、それで良い。喩え嘘でも、それで良い。

 一緒に風呂へ入って、身体を綺麗にして彼奴を寝かせた。寝顔は幼い。これが世間を騒がせている絶望だなんて、夢みたいだ。
 夢なら、覚めなくて良いのに。




 □月△日
 見付かった。見付かってしまった。未来機関を名乗る、頭に変な寝癖の付いたちっこいのが、俺の家にやってきたんだ。
 匿っている絶望を引き渡せと、寝癖野郎の仲間の、いけ好かない眼鏡に言われた。断ればただじゃ済まないと。
 ふざけんな。何がただじゃ済まないだ。もう彼奴は俺の家族みたいなもんなんだよ、ずっと一人だった性的倒錯者の俺に出来た、たった一人の家族なんだよ。なのに、なのに、なのに!
 彼奴、温和しく出て来た。窓から飛び降りてでも逃げれば良かったのに、彼奴、温和しく出て来やがった。
 何でだよって言ったら「これ以上は迷惑かけられねえ」とか言いやがった。何だよ、今までずっと養ってやってただろ、今更だろ。
 お前が居なきゃ誰が家事してくれんだよ、料理もう作ってくれねえのかよ、掃除は、洗濯は、セックスは――おかえりは、一体誰が言ってくれるんだよ。
 なのに彼奴は、ただ笑って「今までありがとな」って言うだけで、寝癖野郎と一緒に行っちまった。
 殺されるんじゃ、ないのかよ。寝癖は「殺しはしない」とか言ってるけど、其奴等は本当に信用出来るのかよ。置いていかないでくれよ、なあ和一。和一。
 眼鏡野郎に「無事に保護出来た謝礼だ」とか言って金を投げて寄越してきたけど、こんなもん貰ったって、意味ねえんだよ。
 だってよ、俺、また一人じゃないか。
 一人で生きるのに、こんなにも金なんて要らねえよ。金より返してくれよ、和一を。俺の家族なんだよ。
 なあ、未来機関は未来の為の機関じゃないのかよ、何で俺の未来を握り潰すんだよ。
 俺みたいな最底辺の人間の未来なんて、守る価値もないってことかよ。俺のささやかな幸せすらも、握り潰しちまうのかよ。こんなの、こんなのまるで――ああ、そうか。
 これが、絶望ってやつか。

 和一、俺、お前の気持ち、やっと判ったよ。お前も俺と同じ気持ちなんだな。だから、離れたんだな。絶望する為に。
 愛してるよ、愛してる、ずっとずっとずっとずっとずっとずっと愛してる。
 この世でたった一人の、俺の家族。お前が俺のことをそう思ってくれていたかまでは判らねえけど、俺はお前のこと、家族だと思っていたからな。

 なあ、和一。お前はまだまだ絶望し足りないんだよな。
 お前も、俺と同じ気持ちなんだよな?
 だったらさ、俺が死ねば、もっと絶望してくれるよな?
 和一、和一、俺の大事な大事な家族。お前が俺の死を知ることが出来るように、ニュースで取り上げられるくらい派手に逝ったら、お前にも伝わるよな?
 和一、待ってろよ。今、お前に最高の絶望を届けてやるから。




 日記は此処で終わっている。

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