く、喰い千切られるぅっ! 左右田の牙で喰い千切られるぅっ!
 本当に絶叫を上げそうになったが、柔らかくて滑ったものが魔槍に纏わり付いてきて――。

「な、なっ――貴様っ、舐めているのかっ?」

 接吻もさせてくれなかった左右田が、まさか口淫をしてくるとは――どうしてこうなった。
 左右田は俺様の問いに対して、見せ付けるように魔槍を舐め上げ、淫靡な笑みを浮かべた。
 どうしてこうなった。
 いや、良いけども。淫らな子は大好きですけども。

「左右田よ、何故こんなにも積極的というか――手慣れているというか、その――もしかして、あれなんですか?」

 もしかして、非処女。
 処女厨という訳ではないが、矢張り初めての相手が俺様――という事実は美味しい訳で。非処女というのは、ちょっと衝撃的というか。
 いや、処女厨じゃないのだがね? 非処女でも左右田のことは愛しますがね? どちらかと云うと処女の方が良いでしょう?
 誰に向けての言い訳か判らない言い訳を脳内でしていると、左右田がちゅっと俺様の魔槍に口付けを落とし、うっとりとした表情で口を開いた。

「あれって何か判んねえけど、初めてだから興奮しちまって――やっぱり本物ってこうなんだなあ。つうか俺、手慣れてる感じする?」

 何回も頭ん中でシミュレーションした所為かな――と独り言ち、左右田は魔槍の先端に舌を這わせる。左右田の舌は常人よりも長いので、巻き付くように絡んできて――堪らない、また逝きそう。
 本当にこれで初めてなんですか?

「は、初めてなのか?」
「あ? ああ、だからまじで興奮するっつうか――ああもう、お前が挑発するから。俺は悪くねえからなっ」

 言うや否や、左右田は俺様の魔槍の先端を銜え、その絶技を生み出す両手で魔槍を扱き出した。銜たまま鈴口やら亀頭冠やらを舐め回し、魔槍本体を手淫してくるものだから――もう無理、逝く。気持ち良過ぎて逝く。

「あっ、左右田ぁっ――駄目、逝くっ」

 半泣きになりながら訴えるも、左右田は全く聞き入れてはくれず――寧ろ、早く逝けと言わんばかりに擦り上げてくるわ、鈴口に舌を突っ込んでくるわで、もう堪えられなかった。
 びくんと身体が震え、俺はまた逝ってしまった。左右田の口内で。
 ――あっ、口内射精しちゃった。
 まさかの事態に俺様は混乱するも、左右田は驚くことも怒ることもせず――何と、魔槍をちゅうちゅうと吸い始めたではないか。尿道に残っていた精液が吸われ、腰が抜けそうになる。やばい、これは気持ち良過ぎて死ぬ。
 あまりの快感に言葉も出ずに身悶えていると、左右田は口から魔槍を引き抜き、舌をべっと出した。
 其処には果して、白い液体が付着していた。紛れもなく、俺様の出した精液である。

「そ、左右田よ。ぺっしなさい、ぺっ」

 力の入らぬ身体に鞭を打ち、何とか手を差し出すも――左右田は舌を引っ込め、ごくりとそれを飲み下してしまった。
 の、飲まれたああああああああっ。

「な、ななななっ」
「意外と味ねえんだな、もっとやべえかと思ってたのに」

 嬉々として宣う左右田に、俺様は嬉しいやら恥ずかしいやらで、どう反応して良いのか判らない。
 そりゃあね、好きな相手に精液飲んで貰えるなんて嬉しいですよ。でもね、何か想像と違うんですよ。
 もっとこう、恥じらい嫌がる左右田に飲んで欲しかっ――いや、俺様は別にSって訳じゃありませんよ? ただこう、情緒のある感じが好きなだけですよ。
 俺様がちょっとした賢者状態に陥っていると、左右田がまた魔槍を刺激し始めた。
 ちょっ、おまっ。

「ま、待て左右田よ。立て続けに二回も出したのだぞ、ちょっとだけで良いから休憩をだな」
「RoundV fight」

 流暢な発音ですね――なんて思っている間に、左右田の撓やかな指先が蠢き、俺様の魔槍に魔力を吹き込んだ。何だかんだでまだ勃つのね、俺様の魔槍。
 自分自身の精力に驚いていると、左右田が己のパンツを脱ぎ捨て、俺様に覆い被さった。
 え、えっ?

「な、何が始まるんです?」
「第三次大戦だ」

 そう言うと左右田は自分の指を舐め、唾液を塗りたくり始める。そしてその指を、己の陰部の後ろ――多分、あそこに突っ込んだ。
 ぐちゅぐちゅという卑猥な音が聞こえてきて、俺様はこれから起こるであろう事態に緊張し、がちがちに固まっていた。
 魔槍もがちがちに固まっていた。

「あ、あわわわ。左右田さん、何を」
「んっ、ちょっと待って。今、柔らかく、してっからぁっ」

 顔を紅潮させながら己の恥部を自分で解し、陰茎を勃起させている左右田はとても淫らで、俺様は凄く興奮しました。まる。
 などと阿呆なことを考えていると、左右田が恥部から指を引き抜き、俺様の股間に跨がった。
 これはもしかして――騎乗位フラグですかね?

「そ、左右田。まさかこのまま挿入れる気か? 俺様、初めては」
「戴きます」

 自分で挿入れたいんだが――と言う前に、左右田は魔槍に手を添えて位置を調整し、ゆっくりと腰を落として、魔槍を己の恥部へ飲み込ませた。
 ぐちゅりという水音と共に、俺様の魔槍が熱くて狭い肉壁に包まれて行って――うわあ、やばいくらいに気持ちが良い。去らば童貞、ようこそ非童貞。
 未知なる快感に身を委ねていると、魔槍を全て飲んだのか、左右田が完全に俺様の上へ座り込み、はああ――と甘ったるい吐息を漏らした。

「あ、はぁぁっ――凄い、熱くてでかくって――やっぱ、指より良いっ」

 左右田が嬉しそうに呟き、恍惚とした笑みを零しながら、身体を上下に揺らし始めた。その動きによって熱く畝る肉壁が魔槍に絡み、ぎゅうぎゅうと締め付けて、中身を絞り取ろうと蠢く。
 き、気持ち良過ぎるって! 何これ、もう自慰じゃ逝けない身体になるぅっ!

「あ、ぐぅぅっ――そ、左右田、待って。良過ぎて、死ぬっ」
「お、俺も良いっ。すっげえ善いっ。俺、ずっとお前のこと想いながら、此処弄ってたから――すっげえ、気持ち良いっ」

 がっつんがっつんと、肌と肌がぶつかり合う程に律動し、左右田が俺様の魔槍を快楽で苛む。あまりにも激しく動く所為で、寝台がぎしぎしと悲鳴を上げていた。
 本当に壊れるんじゃなかろうか。いや、まじで。

「そ、左右田ぁっ。壊れるっ、壊れてしまうぞっ」
「壊れても良いっ、お前になら――壊されても、良いっ」

 そっちじゃねえよ!

「貴様の身体ではなく、寝台がだな」
「は、あっ――もう、やばいっ」

 口からも陰茎からも涎を垂らしている左右田が、更に律動を激しくし始めた。先程よりも中の締め付けが強く、今にも魔槍が魔力を解放してしまいそうである。そして寝台が死にそうだ。

「あ、ふぅっ――左右田、逝くっ――逝ってしまうっ、駄目だ、早く抜けっ」
「ん、はぁっ、出して――中に、出してぇっ」

 惚けた表情をしながら、身を捩らせて御強請りをする左右田は、とても艶めかしく扇情的で――寝台が壊れそうだとか、そんなものはどうでも良くなってきた。
 俺様は左右田の手を握り、本能のままに腰を振った。突き上げるように、何度も何度も。
 中を抉る度に左右田は身体を震わせ、歓喜に満ちた嬌声を上げた。そして俺様の律動に合わせて腰を振り、魔槍を絶頂へと追い詰める。
 もう、駄目だ。

「くっ――中に、出すぞっ」
「ふ、ぁっ――田中ぁっ」

 ぎゅっと俺様の手を握り返し、左右田が蕩けた顔で微笑んだ。

「田中ぁっ、愛してるぜ」

 そんな顔でそんなことを言われたら、俺様もう――もう――惚れ直してまうやろおおおおおおおおっ!

「俺様もっ――俺様も愛しているぞ、左右田ぁっ!」
「田中っ、田中ぁっ――ふ、あぁっ」

 びくりと身体を跳ねさせ、左右田が射精した。左右田の精液が俺様の黒い服に飛び散り、白い華を咲かせる。
 逝った所為なのか、左右田の中がぎちぎちに締まり、俺様の魔槍も魔力を解き放ってしまった。
 吸われているんじゃないかという程の締め付けで、違う意味で逝ってしまいそうになる。
 腹上死は嫌です先生。
 暫く射精の余韻に浸っていたが、何とか冷静さを取り戻した俺様は、未だに乗ったままの左右田に声を掛けた。

「左右田よ、そろそろ下りてはくれんか」

 放心状態な左右田の手を握り直し、軽く引っ張って下りるよう促すと――左右田が俺様を見据え、こう言い放った。

「One more set」

 ――はい?
 俺様がその意味を理解するまでに、左右田が再び上下に動き始めた。そしてまた魔槍が肉壁に揉み込まれ、その刺激で無理矢理勃たされてしまった。
 勘弁してください左右田様。

「そ、左右田よ。無理だ、枯れるっ。俺様っ、枯れて死ぬぅっ」
「お前は覇王だろ、覇王ならあと六回は逝けるっ」
「無理ぃっ、あの世に逝っちゃうぅっ」
「大丈夫、お前は犯れば出来る子だ」
「いやぁぁぁぁっ」

 蚊の鳴くような俺様の悲鳴が、左右田のコテージ内に響き渡った。




――――




 騎乗位のままで、本当に六回逝かされて気絶した翌朝、俺様はダウン寸前の腰痛状態になった。
 左右田はシャカリキ状態だった。
 普通こういうのって、犯られる側がダウンするんじゃないんですかねえ。

「田中、大丈夫か?」

 大丈夫じゃなくした元凶の左右田が、心配そうにしながら俺様に話し掛けてきた。眉を八の字にして涙ぐんでいるのが愛らしい、許せる!

「ふはっ! 制圧せし氷の覇王である俺様が、あの程度で音を上げる筈なかろう」
「そうだよな、お前があれくらいでへばる訳ねえよな」
「当然だ」
「だよなあ、じゃあ――」

 今日の夜、お前のコテージに行くな――と言って、左右田がはにかんだ笑みを浮かべた。
 ちょっと待ってください。

「ちょっ、ちょっと待て。今日の夜、だと?」
「おう。良いだろ? まだ足りないっつうか、もっとしたいっつうか――お前もそうだろ?」

 いや、俺様はもうお腹一杯――間違えた、魔力が枯渇して腰が砕けそうです。

「いや、あの――そんな、頻繁には」
「――あ?」

 刹那、背中に氷柱を突き刺されたかのような悪寒が疾る。恐る恐る左右田を見ると、悪人面の本領を発揮しまくった鬼が居た。
 えっ、えっ、えっ?

「俺はずっとずっとずっとずっと我慢してたのに、お前があんな挑発して来るから――もう我慢出来ねえんだよ、お前の所為なんだから責任取れ」

 そんな横暴な――なんて、地獄の悪鬼より恐ろしい状態になっている男に、文句を言える勇気が俺様にある筈もなく――。

「――せ、せめて。回数は減らしてください」
「前向きに検討してやらないこともない」

 それって結局、俺様の意見は無視するってことですよね。

「俺様の腰が砕けてしまいます」
「覇王なら大丈夫だろ」

 大丈夫じゃないです左右田様。

「もう覇王辞める」
「覇王辞めても俺の恋人って立場は変わらないから意味ねえよ」

 そうでしたああああああああっ!

「じゃ、じゃあ――」
「まさか俺のこと捨てるの?」

 不安げに揺れる瞳を潤ませながら、左右田が縋るような視線を俺様に向けてきて――こんなに可愛い恋人を捨てる訳がないだろ!

「左右田を捨てるなんてとんでもない! そうではなくて、回数を」
「田中ぁっ」

 左右田は俺様の発言を遮り、甘えるように擦り付いてきて、上目遣いで此方を見詰めながら艶笑した。

「俺のことを愛してるなら、出来るだろ?」

 つうっ、と。左右田が俺様の唇に指を這わせ、その指を己の唇へ這わせる。そして厭らしく笑い、舌舐めずりをするものだから――。

「――ふはっ! 勿論ですとも!」

 受容することしか出来なかった。




 その日の夜、左右田によって俺様の腰と寝台が破壊された。

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