駄ン文ロンパ135
2015/09/09 06:00

【傍若無人! 左右田様13】


左右田「〜♪」すたすた

山田「あっ、左右田和一殿! ちょっとお話が!」どっすんどっすん

左右田「……」ぴたっ

山田「ふーっ、左右田和一殿! おはようございます! 少し相談と言いますか、お願いがありまして……」

左右田「……」

山田「……あの……左右田和一殿?」

左右田「豚が喋った」

山田「豚じゃないですぞ! 山田一二三ですぞ!」

左右田「……」

山田「……あの、人の話聞いてます?」

左右田「豚」

山田「だから豚じゃないですって! いやまぁ確かに豚とよく言われますが、一応ヒト科の生き物でしてね」

左右田「何か用か」

山田「えー……まぁ良いです。左右田和一殿は超高校級のマイペースですしね」

左右田「いつの間に俺はメカニックからジョブチェンジしたんだ」

山田「胸に手を当てて、今までの行いをよぉく思い出してみれば良いと思いますぞ」

左右田「……」すっ

山田(本当に手を胸に当ててる……)

左右田「……」

山田「……」

左右田「……」

山田「……」

左右田「何か用?」

山田「思い出してたんじゃないんかーい!」どてーん

左右田「用が無いなら行くぞ」すたすたすた

山田「いやいやちょっと待っ……足速っ! ありますから! 貴方に用ありますから! 何で左右田和一殿は会話のドッジボールしか出来ないんですかね!?」どっすんどっすんどっすん

左右田「出来ないんじゃない、しないんだ」ぴたっ

山田「尚更質が悪いですぞ!」ぴたっ

左右田「……」

山田「はぁ……はぁ……こぽぉ……」ぜぇぜぇ

左右田「……」

山田「はぁ……疲れ……」ぜぇぜぇ

左右田「肉汁が出てる」

山田「汗ですからぁっ! もうこれ以上ツッコミさせないでくだされぇっ!」ぜぇぜぇ

左右田「……」

山田「ぬかぽぉっ……ぶふーっ……」ぜぇぜぇ

左右田「何か用?」

山田「色々言いたいですが我慢しますね……あのですね、実は来週同人誌即売会がありまして」

左右田「同人誌?」

山田「あれ、同人誌を御存知ではない?」

左右田「同人:同じ志を持つ人」

山田「あぁはい、大体合ってます。つまり同じジャンルが好きな者同士が、それに関する書物やグッズを創作――つまり二次創作をし、お互いに萌えを供給しながらわいわい盛り上がるお祭りみたいなイベントです。あっ、勿論一次創作――オリジナル創作というのもありますぞ」

左右田「……」

山田「……何か御不明な点でも?」

左右田「で、何か用?」

山田「あっはい。それでですね、そのイベント……実はコスプレOKなんですよ」ごくり

左右田「……」

山田「……」

左右田「盗撮用カメラを造れば良いのか」

山田「ちっがああああああああうっ! そんな犯罪する訳ないでしょうが! そうじゃなくてですね! 左右田和一殿にコスプレして戴きたいのです!」

左右田「……」

山田「はぁ……はぁ……つら……」ぜぇぜぇ

左右田「どんな?」

山田「おっ、意外に乗り気……苦労した甲斐があった……! えっとですね、このキャラクターなんですが……」すっ

左右田「……」

山田「今回の新刊はこのキャラクターが中心の話でして! ほら、この牙とか凶悪な容姿とか左右田和一殿にそっくりでしょう!」

左右田「……」

山田「ねっ!」

左右田「もしかして喧嘩売ってる?」

山田「ふぁっ!? いやいやそんな、貴方に喧嘩を売るなんて身体が幾つ有っても足りないじゃないですか! 喧嘩なんて売ってません!」

左右田「……」

山田「本当ですって!」

左右田「……」

山田「……」

左右田「コスプレに意味はあるのか?」

山田「いきなり話変えないでくださいよ! あー……コスプレに意味を求められると、人それぞれなので答えに困りますが……理由ならまぁ……」

左右田「ほう」

山田「えーっとですね、今回左右田和一殿に頼んだ理由はズバリ! 売り子をやって欲しいからなのです!」

左右田「……」

山田「あっ。売り子というのはですね、文字通り売る人です。同人誌を刷るのもスペースもタダじゃありませんのでね。お互いの頑張りを認め合う為にも、同人誌を介しての金銭のやり取りが必ず生じるんですよ」

左右田「……」

山田「僕一人で売るとなると、トイレにもまともに行けませんし、食べ物も同人誌も買いに行けない。持ち場を離れると、買いに来てくださった人を待たせることになりますからね」

左右田「……」

山田「それに……悲しいことですが、こういったイベントには盗難事件がよく起こります。なので自衛の為にも、買いに来てくださった人の為にも、持ち場に必ず一人は居た方が良いのです」

左右田「……」

山田「という訳で、人助けだと思って売り子をやって戴けませんか?」

左右田「……」

山田(あれ、先読みして答えたけど間違えた……?)

左右田「……」

山田「……」

左右田「コスプレする必要あるのか?」

山田「ありますよ!!!!!!」くわっ

左右田「!?」びくっ

山田「売り子とは看板でもあるんです! 看板が目立てば目立つ程、皆が注目してくれます! 注目されればされる程、買ってくださる人も増えます! つまり! 僕の萌えをより多くの人達に伝えることが出来るんですよ!」

左右田「……」

山田「判って戴けましたか!」

左右田「ん」こくこく

山田「ならば僕の萌えを発信する為に、協力してください! お願いします!」くわっ

左右田「ん」こくこく

山田「あ、有り難うございます左右田和一殿ぉっ! それでは早速、試着をば……多分サイズは合ってる筈ですが、万が一にも合っていなかった場合、仕立て直さなくてはなりませんので」

左右田「何で俺のサイズを知ってるんだ?」

山田「……」

左右田「……」

山田「あ、鬘も被ってくださいね」

左右田「……」

山田「……」

左右田「何でサイz」

山田「ではトイレで着替えてきてくださいね!」

左右田「……」

山田「……」

左右田「……」すたすた

山田「いってらっしゃいませ」

山田「……」

山田「……」

山田「……大丈夫かな……もしかして破ったりとかs」

左右田「着替えたぞ」ばんっ

山田「無事で良かっ……お、おぉ……! まるで二次元から出て来たかのようなクオリティ……! 僕の作った衣装もさることながら、左右田和一殿の容姿とスタイルが更にクオリティを上げt」

左右田「暑い」

山田「あ……いや、それはそういう衣装なので我慢して戴かないと……」

左右田「田中の服より分厚いし暑い」

山田「そういう衣装なので」

左右田「……」

山田「……」

左右田「……」

山田「さ、最後まで頑張ってくだされば、ちゃんと御礼をしますぞ! そう、例えば――コーラとか」

左右田「頑張る」きらきら

山田(この人、基本的にちょろいのかも知れませんなー……心配になるレベルで)




――即売会当日――




うぞうぞうぞうぞ

左右田「何だこの人の群」

山田「これがヲタクの夢ですよ」

左右田「凄いな」

山田「ささっ、左右田和一殿。彼方に着替える場所がありますので、スタッフの指示に従って着替えてきてください」

左右田「ん」すたすた

山田(ふー……いやー、一人じゃないって良いですなー)

山田(売り子は左右田和一殿に任せて、僕は同士達に挨拶と萌え交換を……)

山田(あ、左右田和一殿が好みそうな書物やグッズも買いましょうかね。流石にコーラだけでは……ねぇ……)

左右田「山d……豚、着替えてきたぞ」

山田「態々言い直す必要ありましたかね!? とまぁツッコミはこれくらいにして……うんうん、やっぱり素晴らしいクオリティですぞ!」

左右田「で、売り子すれば良いのか」

山田「はい、宜しく頼みますぞ! 僕はちょっと萌えの旅に出ます故、大変ですが頑張ってくだされ!」

左右田「ん」

山田「では!」どっすんどっすん

左右田「……」

左右田「……」

左右田「暑い」

男「あ、凄いクオリティですねー!」

左右田「?」

男「わぁ、騎士様そっくり!」

男2「すげぇ、騎士様だ騎士様!」

左右田「???」

男3「てーか山田さん居ないね、騎士様が売り子?」

左右田「ん」こくり

男「そっかー……スケブ描いて貰いたかったんだけどなー……」

左右田「スケブ?」

男2「スケッチブックにね、好きなキャラ描いて貰いたかったんよ」

左右田「ほう」

男3「てーか騎士様も絵とか描ける感じ? もし良ければ描いて欲しいにゃーん」

左右田「無理だにゃーん」

男「騎士様可愛いな」

男2「えー、山田さんの友人なのに絵ダメなん? 小説専門?」

左右田「機械専門」

男3「機械?」

左右田「超高校級のメカニック」

男「……き、騎士様すげぇええええええええっ!」

男2「凄いじゃん! やっぱり超高校級の同人作家ともなると、同じ超高校級の知り合いが出来るんだなぁ!」

男3「てーか手先器用なら絵とかもいけんじゃないのかにゃーん? せっかくだから騎士様描いてよー」

左右田「騎士様って何だ」

男「コスプレしてるのに知らんのかい!」

左右田「頼まれただけなんだよ」

男3「じゃあ適当で良いからさ。あとサインも欲しいにゃーん」

左右田「……」

男3「此処にある本全部、観賞用保存用布教用で三冊ずつ買うからお願いにゃーん」

左右田「判った」かきかき

男2「現金だな騎士様!」

男3「良いじゃん現金でも何でも。いやー、超高校級のメカニックのサイン入りイラストとか家宝物だにゃー」

男「確かに。俺も描いて欲しいなー……」

男3「買ってから頼めば良いにゃー」

男「そうだな」

左右田「出来た」

男2「早っ!」

男3「おーどれどれー……!?」

男「ど、どうした?」

男2「何描いて貰っ……何これ」

左右田「バイスプライヤー」

男「何それ」

左右田「工具」

男「工具!?」

男3「適当とは言ったけど、まさか工具を描くとはにゃーん」

男2「でも凄い上手いぞ。実物知らねぇけど判るわ、上手いって」

男「お、俺にも工具描いてください!」

左右田「ん」かきかき

男2「あ、俺にもー」

左右田「ん、これ描き終わってからな」かきかき

女「何か彼処賑やかだね、行ってみようか」

女2「うん」

男4「何だ何だ?」

男5「行ってみよ」

わいわいがやがやわらわら




――――




山田「いやー、昨日は本当に有り難うございました! はい、これは御礼のコーラです」すっ

左右田「コーラ」きらきら

山田「あとこれは昨日帰宅後に左右田和一殿が気に入りそうなものを厳選した、同人誌とグッズの詰め合わせセットです」すっ

左右田「……」

山田「何で露骨に嫌そうな顔するんですか!?」

左右田「……」

山田「……骨格がしっかりした絵の書物とお洒落な缶バッジばかりなんですけどねー」ぼそっ

左右田「貰う」きらきら

山田(判り易いなぁ)

左右田「サンキュー山田」

山田「だから豚じゃ……なん、だと……!?」

左右田「どうした豚」

山田「ぶひぃっ! せっかく名前呼んで貰ったのに畜生!」

左右田「ドンマイ」

山田「それを貴方が言いますか……まぁ良いです。ところで左右田和一殿」

左右田「何だ」

山田「何か僕のブログに『次の新刊は工具の擬人化でオナシャス!』とか『寧ろ工具のままでの工具×工具のエロ同人誌ください』って感じのコメントが大量に書き込まれてるんですけど……心当たりありません?」

左右田「知らん」



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