駄ン文ロンパ86
2015/04/25 06:00
【傷は勲章】
左右田「田中ぁ、何でお前いっつも包帯巻いてんだ?」
田中「ふっ……これは俺様の身体に流れる毒が外界に漏れ出さないようにする為の術式だ」
左右田「ふ、ふーん……」
田中「……つ、突っ込まんのか」
左右田「突っ込んで欲しいのかよ」
田中「いや、いつもの貴様なら『いや意味判んねぇよ!』とか『厨二病拗らせてんじゃねぇよ!』と言ってきそうだから……」
左右田「それ俺の真似? 何か銀○の主人公みたいだったんだけど」
田中「そういうネタは止めて」
左右田「ごめん」
田中「……で、俺様の腕が気になるのか?」
左右田「あ、話戻すのか」
田中「貴様が聞いてきたんだろうが!」
左右田「ごめんごめん」
田中「全く、これだから雑種は……」
左右田「雑種言うな。それよりさ、もしかしなくても見せてくれちゃったりとか? とか? なぁなぁハムスターちゃんよぉ」
田中「ぐっ……う、うざい……!」
左右田「田中の口から極普通の罵声が飛び出た」
田中「ざ、雑種がぁっ!」
左右田「今更訂正されてもなぁ」
田中「くぅっ……! もう良い、貴様には見せん!」
左右田「ははっ、悪ぃ悪ぃ」
田中「軽いっ! 貴様の謝罪はピクシーの羽根より軽いっ!」
左右田「ごめんなさい……お詫びに死にます……」すっ
田中「極端過ぎるわぁっ! ドライバーの切っ先を自分の目に向けるな! 止めろぉっ!」
左右田「何だかんだで優しいよなぁ、お前」
田中「……貴様、俺様で遊んでいないか?」
左右田「ソンナコトナイゼ」
田中「おい目を逸らすな。ちゃんと俺様の目を見て言え」
左右田「そんなことないぜ」ぎろっ
田中「睨むな。貴様の眼力は覇王たる俺様を一瞬怯ませる程に強力なんだぞ」
左右田「睨んでないのに……」うるっ
田中「す、すまん」
左右田「じゃあお詫びに包帯解け」
田中「何……だと……?」
左右田「……駄目、か?」うるうる
田中「くっ……! 判った、判ったからその棄てられた子犬のような目で俺様を見ないでください! 拾いたくなりますから!」
左右田「此奴ちょろいわぁ」
田中「おい」
左右田「さぁ、早く取れ取れ」
田中「おい、今ちょろいと」
左右田「気の所為だろ」
田中「いや、確かにちょろいと」
左右田「気の所為だろ」ぎろっ
田中「……そうか、そうだな。ああ、気の所為だ。うん……はぁ、何かもう疲れた……」
左右田「早よ包帯」
田中「判ったから急かすな……」ぐるぐる
左右田「おぉ、とうとう中身が」
田中「……これが俺様の邪腕だ」
左右田「噛み痕やら切り傷が……凄ぇ傷だらけだな……痛くねぇの?」
田中「……あらゆる魔獣と闘い、制してきた勲章のようなものだからな。痛みすら心地良い」
左右田「勲章か……じゃあ俺のも勲章なのかなぁ」すっ
田中「……貴様の手も凄まじいな……火傷や裂傷が多い……」
左右田「機械弄ってるとそれに集中しちまうから、気付いたら傷だらけという」
田中「貴様はもっと己の身体を顧みろ」
左右田「んなこと言われても、俺にとって機械は我が子なんだよ。我が子を完成させる為なら、自分の身体なんて二の次だっつうの」
田中「……ふっ。脆弱で臆病な人間だと思っていたが、なかなか見所があるではないか」
左右田「けけけっ、褒めてもお前の部屋にあるパソコンのグレードアップくらいしかしてやんねぇからな」
田中(グレードアップはしてくれるのだな……ツンデレか……)
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