『見てください!』
 撮影の休憩時間、届いていたなまえからのラビチャを開く。メッセージに続いて貼られた画像には、わずかにだが開いた桜の花が映っている。咲いてました、と桜の絵文字が添えられた文面に頬が緩んだ。すぐに返信をメッセージバーに打ち込んでいく。
『もう桜が咲いたのか。』
『すっかり春だな。最近だいぶ暖かかったもんな。』
 桜が咲いているのを見つけた時のなまえは、たぶん、わあっと声をあげたに違いない。しばらく感慨深げに見つめた後でいそいそと携帯を取り出してカメラを構える姿が容易に想像できて、思わず笑えてくるほどだ。もし俺と一緒にいる時だったら、目をキラキラさせながら報告してくるんだろう。なまえのそういうところがかわいくて好きだ。
 あいにく今は携帯を見ていないのか、すぐに既読はつかなかった。一瞬思案して、もう一文、メッセージを追加する。
『満開になったら、花見にでも行こう。』
 きっとなまえは二つ返事で了承するだろう。一緒に桜を見るのは毎年やっていることだ。楽しみにしてますね、俺の仕事が終わる頃にはそんな返信が届いているはず。ああ、俺も楽しみにしてる。今日の帰り道、満開の桜の中で笑うなまえを想像しながら、咲き始めの花を探してしまうだろうなと感じる程度には。
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