*学パロ


八乙女先輩が何か言う。なまえ、と名前を呼んだところまでははっきり聞こえたのに、肝心のところが花火の音に紛れて聞こえなかった。先輩、なんて言ったんだろう。「八乙女先輩、もういっかい、言ってください」今度はちゃんと聞き取れるように、背伸びして顔を近づける。「いや、……」八乙女先輩が私の頬を触る。細くてすらっとした指。それだけじゃない、八乙女先輩の顔がぐっと近づいて――え? すぐそこにあるまつ毛に思わず息を止めた。どん、どん、と花火が打ち上がる音だけがして。八乙女先輩、もしかして、私にキスしてる。「……や、やおとめ、せんぱ」「なまえ」唇が離れてすぐ、八乙女先輩はまじめな表情で私を見つめた。八乙女先輩、さっき言おうとしたことって、それって。答え合わせはすぐ。きっと私の予想は合っているはず。どきどきしながら見つめた唇が紡いだのは、すから始まる、三つの音だった。


診断メーカーでお題お借りしております:聞こえなかった告白
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