東堂とルームシェア | ナノ




※ちょっと注意


東堂さんと同じベッドに入ったはいいが、狭い。物凄く狭い。
そりゃあ一人用に作られたシングルなので当たり前なのだが、密着度が半端無い。

「……東堂さん」
「何だ」
「やっぱりわたし床に座って寝るよ……」

これでは確実に朝まで心臓が持たないと分かったので提案したが普通に却下されてしまった。
女の子を床で寝かせて自分だけベッドで普通に寝るのは東堂さん的に許せないらしい。
まあ言いたいことは分からんでも無い。

「だってこれ気まずくない!?」
「気まずい、ものすごく気まずい」

ここでそんなことを正直に暴露せずに素直にドキドキしていればいいものの全部言っちゃうわたし達なのである。お互い気まずいと言っておきながらこの状況のままで居るのが最高にクールだと思う。

「っていうか二人だと布団の中めちゃくちゃ暖かくて今感動してる」
「俺もだ」
「もう毎日東堂さんの布団で一緒に寝るよ」
「今ものすごく気まずい思いをしているのにか」
「ノリで言ってみただけだからそうマジに捉えないで」

何とか気まずさを散らそうと適当な事を言って場を和まそうとしたがどう考えても適当じゃないことを言って逆にもっと気まずくなる羽目になってしまった。
何となくそこから無言が続いたので、寝れないわたしは暇になって体勢を変えようと足を動かす。
その足が東堂さんの足に当たってしまい、家の中で靴下を履かない派のわたしの冷えた足が東堂さんを急襲する。

「ひっ!?」
「あっ、ゴメン」

咄嗟に謝ったが、触れた時の東堂さんの足が暖かくて。離れられずに冷えた足を東堂さんに押し付けると「バカ、冷たい」と東堂さんが逃げる。
ムキになってそれを追っかけている内に、東堂さんの背中に大分密着していて、それに気付いた時にはもう足のことなんてすっかり忘れてこれからどうするかで必死に頭を回転させた。
離れれば良い物の、離れてしまうのも惜しくてすっと背中にへばりついていると東堂さんがもぞりと動いてびくりと肩が跳ねる。

「……東堂さん、起きてる?」
「……ん」
「……もうちょっと引っ付いててもいい?」
「……ああ」

許可を得たので、もう少しだけ引っ付いていようと思う。
ほんと、目は冴えまくりだし心臓はドキドキしっぱなしだしで今夜は全然寝れる気がしない。








全然寝れる気がしない、とか思っておきながら浅いながらも普通に寝ていたらしい。
いつもよりうんとか早い時間に目が覚めてしまったが。
珍しく東堂さんより早く起きれたぞ、と思い東堂さんの寝顔を堪能する。
わたしに背を向けていたのにいつの間にかこっちを向いていて、いつもより幼い表情に思わず顔がにやける。
写真で残したいが流石にダメかなと脳内に焼き付けるだけに留めて、そろそろわたしは昨日のゴキちゃんを片付けようかと布団を出ようとしたのだが。
その時にちょうど足が、東堂さんの股間の辺りを掠めてしまって、思わず動きが止まる。
男性の生理現象だと言うソレだが実際目の当たりにする日が来ようとは。
しかも東堂さんで。
ドキドキしながら東堂さんの顔を見つめたが起きる気配は無い。
これはいけないことだと分かっていても怖い物見たさと近いような感覚で、ついつい東堂さんの股間に手が伸びる。
数度撫でただけで怖くなって手を引っ込めたが、しっかりと硬くなっていたそれに昨日以上に心臓が高鳴っていた。
そうだよね。いくら物凄く理性的な東堂さんと言えど、付いてる物は付いている。

ドキドキしたまま、これ以上東堂さんの近くに居ると心臓がおかしくなると思いそそくさと布団から抜け出したが右手の感覚は生々しく残ったままだった。


140803


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