「あーーーーー腹いったい……」 ようやく全員にドリンクとタオルを配り終えたので少し休憩しようと隅っこの方の椅子に座ると今まで忙しかった為忘れていた生理痛が思い出したかのようにやってきたので思わずお腹を抱えてしまう。 あーーーーと母音をひたすら伸ばしていると何となく痛みが和らぐ気がするので声を出しつつ丸まっていると、「どうした名前」とやって来たのは声的に東堂だろうか。 顔を上げると案の定カチューシャが目に入った。そしてその隣に居る新開もどうしたという目でこっちを見ている。 「ぽんぽん痛いのか?」 「そう、ぽんぽん痛いの」 珍しく具合の悪そうなわたしを心配してか幼い言葉を使う東堂に乗っかって頷くと「そうか」と呟いた東堂は何でお腹が痛いのか察したらしい。 「バッファリンならあるぞ、飲むか?」 「そこはノーシンピュアじゃないか?いや、効き目で言ったらロキソニンか?」 「……とりあえず、ノーシンピュアとロキソニンは置いといて、東堂は今何て言った?」 「バッファリン」 「………」 「……バファリンじゃないか?」 「バッファリン」 「いや小さいつ要らないでしょ、言ってみ、バファリン」 「バッファリン」 「だから小さいつ要らないだろ、ほら、バファリン」 「バッファリン」 だからどうしてそこに小さいつが入る!と「バ・ファ・リ・ン!」と新開と二人でどうにかして東堂に小さいつを抜かせようとするが返ってくるのは全て「バッファリン」で思わずため息が出てしまう。 何で小さい子相手に教えるみたいに高3の男に言い聞かせてんのに一向に出来ないんだと新開とバファリンバファリン言っていたらなんだかバファリンがゲシュタルト崩壊してきた。バファリン……。 「そういえばこないだ新開に優しいねって言ったらバファリンと申しますって言われてめっちゃ笑った話東堂にしたっけ?」 「されてないが何だその面白すぎる返しは」 「尽八もやるか?名前、振ってやって」 「ぽんぽん痛いの心配してくれる東堂は優しいねえ」 「バッファリンと申します!」 「ぶっ…!」 ここでもやっぱり小さいつが入る東堂にネタのせいもあって思わず噴き出す。 新開も同じように噴き出した様で、「もう俺より面白いからそれ尽八にやるよ」とまで言い出す始末だ。 その後も散々バッファリンバッファリン言い続ける東堂にだんだん面白くなってきたわたしたちは訂正するのを止めて休憩時間中ひたすら笑い転げた。 「そういえば、名前、ぽんぽんは大丈夫なのか!」 「あっ!そういえば痛くなくなってる!」 「ヒュウ!尽八のバッファリンのおかげだな!」 「ほんとに!ちょっともっかいやろうよ。新開、振ってあげて」 「尽八のおかげで名前のぽんぽん治ったってさ。尽八は優しいなあ」 「バッファリンと申します!」 本日2度目の大爆笑であった。 140417 ×
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