『そうだよ、一々気にしてられないよね。ありがと、トシ』
「あぁ」


真っ直ぐな笑顔が眩しく感じた。同時に、少しだけど胸が痛くなった。

ゆずは、何かがあると必ず俺の所に来る。
幼馴染み…とまではいかないけど、小せェ頃から総悟の隣にいるゆずを見てきた。


ゆずが俺に相談してくるのは大抵、総悟のこと。喧嘩をしてしまっただとか、辛くなったこと、泣きたくなるようなこと。内容は様々だが、やはり総悟に繋がることばかりだ。

それは今も、昔も
変わらねェことだ。





『ううっ、トシくんあのね、そーちゃんがぁ…』

『今日ね、そーちゃんと約束したの!!』

『昨日さぁ、総悟がね…』

『そーいえば総悟がね…』

『総悟が、…彼女、出来たって…』

『トシっ、どうしよう…私、総悟が好き…』




最初はただ、相談にのってやるだけだった。どこか放っておけない雰囲気のゆずを妹みたいに思ってた。
だけどいつしか、総悟を見てるゆずに特別な感情をもつようになっていて。

特別な感情という意味では総悟もゆずもお互いの事をそうに思っているのは、昔から感じとっていた。というより、分かってた。
別に、あの2人の中に割り込めるとも思ってない。敵わない、叶わないって分かってる。
そのへんの諦めはついてるし、2人のことを応援してる。


元気のない顔で俺の所へやって来るゆずは、笑顔で去っていく。総悟を想う真っ直ぐな笑顔を見て、柄にもなく胸に穴が開いたみたいに喪失感が生まれるときもある。

頼られるのは嬉しい。
喪失感が生まれても仕方がない。何より、ゆずの笑顔が見れるなら。俺がゆずを笑顔に出来るなら。

そうだな、喜んで自分の気持ちを押し殺してやろう。


「最終的にゆずが笑っててくれりゃ、な」


それで、良い。



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