真っ暗闇。…それはアタシの頭の中か。
遠くからは叫び声やうめき声、敵味方の区別のつかない群れが見えた。
この世界に足を踏み入れたら戻れない、私の頭の中で警報が鳴り響いている。
ソレは、何か証拠があるわけでも無いけれど、直感で感じ取っていた。
「震えてるぜィ」
『…気のせいよ』
嘘、嘘、嘘。
怖くない訳が、無い。
これから死にに行くようなものなのだ。
…それでも精一杯強がってみたりする。
しかし、カタカタと小刻みに揺れて居るのが自分でも分かった。
死ぬのは、怖い。
死にたく、ない。
「安心しな。死ぬときは一緒でィ」
『…護ってやる、とは言わないのね』
「ヘイヘイわーったよ。…出来たら、の話な」
なんという希望の無い会話なんだろう。
けれど、もう躊躇している時間は無くて。
自分の足の感覚を確かめるように踏み出す。
大丈夫、もう震えない。
あなたから伝う体温で、私は強くなれるから。
アタシ達は守れない約束はしない主義。
ならば、
『また、逢おうね』
「あぁ、約束でさァ」
フッ、とお互い微笑んだ後、刀に手を掛け走り出した。
行く先は不明。
けれど、アタシは進む。
もう一度、あなたに逢うために。
再会の約束
(たとえそれがあの世でも)
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シリアス初書き。
080710 のん