夏休みの暑い中、部活とかマジでだるい。まぁ全国レベルのテニス部だししゃあないって言ったらそれまでなのだが。しかも今日は朝からの予定だ。低血圧の俺は決まって遅刻する。案の定、寝坊した。時計を見ると、部活が始まってから一時間は経っている。サボっても良かったが、後から部長とかに色々言われんのもうっといから仕方無く家を出る。
『あっ、財前やん』
「…ちわっす」
『相変わらずの社長出勤やねぇ』
「俺、低血圧なんすわ」
『朝起きれないのと低血圧は関係無いらしいで』
「それでも朝は苦手なんや」
『少しは小石川とか見習いやー』
着替えて部室から出て来たところで会ったのは俺等テニス部のマネージャーである名前先輩。この先輩はお節介で必要以上に世話焼きである。まぁだからマネージャーなんかやってるんだろうけど。因みに副部長は一番に部活に来るらしい。俺には到底無理な話だ。
『もう皆、コートで打ち合いしとるで』
「知っとります。さっき見ましたし」
『あっ、そうなん?…って、何、この頭に乗ってる手は』
「いや、先輩てほんまちっさいなー思うて」
『人が気にしてる事あっさり言うな!しかも頭叩くなや!』
「悔しかったら先輩もやってみい」
『くっそー!』
先輩は俺よりも遥かに小さい。15センチくらいの差はあるのではないだろうか。そしてそんな先輩は俺の頭を叩こうと手を伸ばして跳び跳ねてくる。でも、そんな事をしたところで届くはずがない。餓鬼みたいに必死になってる先輩がいやにおもろい。
『何笑っとんねん!』
「先輩が滑稽やから」
『ほんっま、ムカつくやっちゃな!』
「先輩てすぐ熱くなるやね」
『財前が生意気やから悪いんやろ!!』
「おい!マネージャーうっさいで!」
『あっ…すんません』
「怒られとるし」
『誰の所為や!』
「見た目も中身も、此れじゃどっちが先輩か分からへんわ」
『うっさい!!』
ずかずかとコートの方に歩いてく先輩がまたおもろくて、俺は笑いを耐えながら前を歩く先輩の頭を叩いてコートに入った。