阿部は怖いです。

「誰が怖いって?」
『げっ、阿部…』

ほらきた。

「俺の何が怖いか言ってみな」
『…すぐ怒るとこ』
「あぁ?」
『ほ、ほら怒ってんじゃん』
「これは別に怒ってねーよ」
『じゃあいつもは怒ってんの?』
「…まぁ」
『な、なんで!?』

また怒られるかも、と思いつつ聞いてみた。すると阿部は普段からは想像もつかない顔をしてきた。頬を赤く染め、そっぽをむいている。…こんな可愛い阿部は一生に数える程度しか拝めないかもしれない。

「可愛いとか言うんじゃねぇ!」
『怒るとこ其処!?』
「あー、くそっ」
『それよりも何でいつも怒るのさ』
「…お前が」
『わたしが?』
「すぐ水谷とかに、抱きつくからだろーが」
『だって文貴とはいとこだもん』
「それでも、見ててムカツク」
『そしたら今度から阿部に抱きつこうか?』
「……」
『う、嘘ですごめんなさ…』
「…なら」
『へっ?』
「俺以外の奴に抱きつくんじゃねーぞ」
『…うん?』

聞き返したつもりが肯定だと思われたのか、阿部はいつものニヤリとした笑みを浮かべた。でもいつもの恐怖ではなく、不覚にもときめきを感じた。

(この気持ちに気付くのは、そう遠くはないのかもしれない)



「名前−!おはよー!」
『わっ、文貴!』
「お前…昨日約束したよなぁ?」
『こ、これは私からではなく文貴からであって…』
「問答無用」
『ええええええ!?』
「ねぇー、何の話?」
「『黙れクソレ!』」
「えぇ〜!?酷いよぉ〜」




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とばっちり水谷

りく

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